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大臺 序乃壱

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此のお話は日本が嫌いな日本人へ…。  日本を愚かと思う日本人へ…。  日本が貧しい国であったと思う日本人へ…。  日本人として誇りを持てぬ日本人へ届ける物語。  此れは我等が…
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2022年9月の記事一覧

大壹神楽闇夜 1章 倭 6 敗走4

大壹神楽闇夜 1章 倭 6 敗走4

 殺しても…
 どれだけ殺しても敵の数は減らない。
 寧ろ増えて行っている様に思えた。だが、其れはそう感じているのでは無く実際そうなのだ。未だ城壁の外からは多くの兵士がゾクゾクと城壁を越え侵入して来ている。もしもこれが餓死寸前の状態では無く万全の状態であったのなら神楽達は既に全滅していた事は確かである。
 だが、本来の力を発揮出来ない倭兵秦兵は今の八重軍にとっては恐るに足らぬ存在でしかない。其れで

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大壹神楽闇夜 1章 倭 6敗走3

大壹神楽闇夜 1章 倭 6敗走3

 八重国と卑国の主力船は葦船である。勿論高天原で使用した木造船も存在はしているが其れは未だ数が少ないと言えた。
 葦船は製造も簡単で見た目よりも頑丈であり、取り分け小回りが効くのも利点である。海に面した伊国にも葦船はあるが倭兵を迎え撃つだけの葦船は無かったので伊都瀬(いとせ)達は葦船を急造した。
 末国を制圧した蘭泓穎(らんおうえい)達は亀浜から出雲に向かう。となると蘭泓穎(らんおうえい)達は伊国

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大壹神楽闇夜 1章 倭 6敗走2

大壹神楽闇夜 1章 倭 6敗走2

「葉流絵(はるえ)…。倭人は何をしておるんじゃ ?」
「さぁ…。分かりよらん。」
「じゃかぁ…。葉流絵にも分かりよらんじゃか…。」
「謎が謎を呼んでおるじゃかよ。」
「じゃよ…。」
 と、葉流絵と千亜喜(ちあき)は炭をせっせと何処かに運んで行く倭兵を不思議な目で見ていた。二人は秦国の民に紛れ秦国の民を亡命させる為に間者として潜入していた。勿論間者として潜入しているのは二人だけでは無い。既に数十人の

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