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「結局、いま本当に体にいいことってなんですか?」 ベストセラー連発、注目のサイエンスライター 鈴木祐さんに聞きました 前編

「あれを食べるといいらしい」「この運動がいいらしい」など、世の中に健康に関する情報はあふれていますが、結局、何が本当に体にいいのかわからない!という人も少なくないのでは?

そんな迷える私たちのために、年に5,000本の科学論文を読み、国内外の学者や専門医にインタビューを重ねる新進気鋭のサイエンスジャーナリスト、鈴木 祐さんが、最新の科学によって証明されている健康メソッドだけを厳選してまとめたのが『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』です。このたび、本書がamazon Prime Readingで読める一冊に選ばれたことを受け、鈴木さんにお話を伺いました。

――『不老長寿メソッド 死ぬまで若いは武器になる』はどのような内容か、改めて教えていただけますか?

不老長寿のための考え方と、さまざまなデータを参考にしたすぐに実践できる具体的な行動方法を紹介しています。

人類の祖先であるホモ・サピエンスが登場して20万年、私たちの暮らしは驚くほど飛躍しましたが、肉体そのもののつくりはほぼ変わっていません。

原始のライフスタイルは、現代を生きる私たちの脳にも受け継がれています。そのエッセンスを落とし込み、人生100年時代を迎えた現在、ただ長生きするだけでなく、健康寿命を延ばすための83のメソッドを、食事、睡眠、スキンケアなど多方面から説いた一冊です。


――本書の一番のポイントはどの部分でしょうか。

基本的な考え方はシンプルです。「苦痛」と「回復」を繰り返すこと。自分の心と体へ意図的にダメージを与え、そのダメージを徹底的に癒やすという考え方です。

「すべての物質は、多すぎれば有害だが、少なければ有益に働く」という「ホルミシス」という原理があります。これは、1888年にドイツの科学者ヒューゴ・シュルツが見つけたもので、生き物にとって本来は有害なものでも、ほんの少しなら良い効果をもたらすこともある、というものです。ワクチンの仕組みなどは、まさにこの原理にもとづいていますよね。

運動やストレスもこれに該当します。適度な運動やストレスは人間の成長に必要であり、正しく回復させることが肉体的・精神的にとって重要なのです。

では、どれぐらいの運動やストレス、食事が「適度」なのか? これを本書で詳しくまとめています。


――本書はどんな人にぴったりだと思われますか?

いつまでも若々しく、健康で長生きしたい人。美容や健康食品など多くの情報に振り回されたくない人、正しい情報を得たいが精査する時間がない人な
どに、とくに読んでいただけたらと思います。



――昨年2月の発売から1年ほどが経ちました。本書に対する反響はどのようなものでしたか? また、印象に残った感想などはありますか?

健康へのモチベーションが高まった、生活習慣を変えたことで健康診断の数値がよくなった、大人になっても成長痛があることを喜べるようになった、などの感想をいただいています。


――本書の売行きを分析したところ、「男女比=3:1、10代~40代:50代=3:1」となっています。不老長寿というタイトルのイメージから50代~の女性層が多いかと予想していたのですが、この読者層についてどう分析されますか?

単純に表紙のカラーイメージから男性が手に取りやすかったのかなと思いますし、私の読者層の比率とほぼ同じと見ています。

一生のテーマでもあるので、幅広い層の方に読んでもらえるのは嬉しいですね。


――鈴木さんが今いちばん若々しいと思っている著名人はいらっしゃいますか? その方のどんなところに注目されているか伺いたいです。

芸能人、著名人は基本的に年齢より若々しい方が多いですが、日本人だと女優の石田ゆり子さんや安達祐実さんは表情まで含めて若さを維持されてると思います。

芸人ではアインシュタインの河井ゆずるさんが、実年齢より10歳は若く見えます。30代までは遺伝や美容整形などで若さを保つことができても、40代以降はそれまでの食生活や運動の有無で顕著に差が出てきます。


――そうですよね、私も40歳を過ぎて、そのことを切実に感じます。では、本書に掲載しきれなかった情報、もしくは最近の論文などから健康に関する新情報があれば教えてください。

たとえば、コロナ禍で自宅飲酒が増えたという方がいらっしゃるかもしれません。アルコールと健康に関する面白い研究があります。

オックスフォード大学精神医学科などの実験では、2万5378人の被験者の年齢、性別、学歴、飲酒量、脳の健康状態、記憶力テストなどのデータを分析し、その結果、次のような傾向が見られました。

・1週間当たりのアルコール消費量が多いほど、脳の灰白質*密度が低くなる
・個人の生物学的および行動学的特性を考慮しても、アルコールによって灰白質の体積が最大で0.8%減少する
・喫煙や肥満と比較した場合、飲酒の脳への影響はほぼ4倍だと推測される

*灰白質とは、脳の神経細胞が集まったエリアを指し、おおまかに大脳皮質を意味する。ここは人間の思考や感情をつかさどる部位として知られる。

研究チームは「飲酒量が脳にもたらすダメージ閾値はなく、どのようなアルコールを適量飲んだだけでも脳に悪影響がある。また、これまでアルコールの脳ダメージは特定のエリアに限られると考えられてきたが、実際には脳のほぼ全体が影響を受けるようだ」とコメントしています。

Topiwala, Anya & Ebmeier, Klaus & Maullin-Sapey, Thomas & Nichols, Thomas. (2021). No safe level of alcohol consumption for brain health: observational cohort study of 25,378 UK Biobank participants. 10.1101/2021.05.10.21256931.

ちなみに、私は7、8年間お酒をほぼ飲んでいません。それまでは毎晩のように飲んでいましたが。


――そうなのですね。やはり最新のメソッドに沿って健康管理をされているんですね。

※前編はここまで。後編では、さらに興味深い最新の情報について伺います。公開をお楽しみに。

*本書は2/25からamazon prime reading対象タイトルに。プライム会員なら読み放題で本書をお楽しみいただけます。

*インタビュー:デジタル・プロモーション部Y

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