あなたの人生、片づけます
断捨離という言葉がなかなか受け付けない。
本当はすごく良い意味なんだろうけど、元々物に愛着を持ってしまい捨てることに深い罪悪感を持ってしまう私。
どうでも良いものですぐに捨てれるものもあるけど、なんで物って溜まっていくんだろう。
そんな私が、秋に読んだ一冊で、ちょっと心も体も動き出した。
それが、垣内美雨の「あなたの人生、片づけます」だ。
今まで片付け本、断捨離、ファッションの本あらゆる有名どころの本を読んできたけれど、どれも長続きはしなかった中で、きっと一番心が動かされた本だ。
と言ってもこれは小説で、片付け方が書いているわけじゃない。
でも最後、泣いていた。
片付け本で感動するなんてと思いながらも。
私は片付けが苦手なんじゃなくて、もっと奥深くに原因があったのかもしれない。そうちょっと思った。
親も片付けが苦手で、美しい食器も沢山あったけれど、何も物がのっていない食卓で食事をしたことは、数えるほどだったような気がする。
母は芸術家肌で、小さい頃から家で籐工芸の教室を開いていた。
その時だけ、生徒さんがくるリビングは美しく片付いていた。
物を片付けるより、作る方が好き、これは母譲りかもしれない。
家が片付いていなくても、お料理を作る方が好きで楽しい。
実家の断捨離がなかなか進まず、私の中学校や高校の模試の成績まで出てきて持ってこられたのには驚いた。
私もその実家を出て就職した時に、荷物がほとんどない暮らしをした。
はじめての一人暮らし。
休日はすることが何もなくて、粘土で星型のオブジェを作ったりしていたな。
結婚してからも、そんなに荷物はなかったし、二人目が1歳になって本格的にフルタイムで働くまでは、家はとても片付いていたし、インテリアにも凝っていた。
リビングには画集を並べ、飾り棚は半分ぐらい空間だった。
それがどこからおかしくなったのか、飾り棚にあった画集は子どもが破るかもしれないと場所を移動させ、飾り棚は収納へと変わっていった。
先日、クローゼットを大掃除していると古いデジカメが見つかった。
中にはデータが入っていて、それをめくっていくと、結婚当初二人で暮らしていたマンションのインテリアが映し出されていた。
私にもこんな時代があったのよ、と子どもに言っても信じてもらえないだろうか。小さな可愛い好きだけをちりばめたインテリアがそこにあった。
天井が4mもあるコンクリート打ちっぱなしのデザイナーズマンションだった。
涙が出そうなくらい懐かしかった。
どこでどう間違えてこうなってしまったのだろう。
美しく好きなものだけに囲まれる暮らしは、フルタイムで働きながら子育てするなかで優先順位を落としてしまったのだった。
そして、この化石のような初期のデジカメ。
出力型のようで、線がどこにあるかわからずデータを取り出せていない。
線は家の中にはあるであろう。(笑)
まあ、失ったものを嘆いていてもしょうがない。
失ったものよりも得たものの方が大きいのだから。
下記は昔のブログに掲載していた19年ぐらい前の写真だと思われる。
子どもの物が一切ないからだ。
現在の家だ。一階のガレージは旦那の仕事場である塗装の工房になっている。
築20年の中古の戸建てを購入し、かれこれ20年住んでいる。
良く考えると人生で一番長く住んでいる家だ。
さて、話を本に戻そう。
作家、垣内美雨さんは、現代社会の問題をさらりと描く方。
特にタイトルがどれもわかりやすく秀逸である。
老後の資金がありません
夫の墓には入りません
あなたのゼイ肉、落とします
姑の遺品整理は、迷惑です
子育てはもう卒業します
等々。
まだ読んでいない本も多いけれど、とても読みやすく良い意味で悪意がない。難しい問題もさらりと爽快に仕上げているのだ。
「あなたの人生、片づけます」は、色々問題があって家が片付かない人、片付いているけど物が多すぎる人、片付けどころか料理も掃除も何も出来なくなっている人など、色々な事情を抱える人が登場する。
主人公の片づけ屋は、単に整理整頓の片付けだけをする人ではなく、その人たちの抱える悩みをちょっとサポートする形で颯爽と片付けていくのだ。
ここにはとても書けないようなことも沢山それなりにあって、意外と繊細ででも大胆で私の心はいつも定まらない。
40代、更年期障害の影響か感情もゆらゆらとうごめく。
色んなことに迷い傷つき、それでも恵まれた人生を歩んでいると思う。
なのに自分に自信が持てなかったり、山あり谷ありだ。
それでも片付けることは出来ると教えてもらった気がする。
読み終えた後は、そうだ、やっぱり片づけよう、そう深く心に誓ったのだった。それは、片付けないと、私の人生はストップしたままだ気が付いたから。
そう、目標は現在の家の写真を載せられるくらいにね!!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?