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【読書感想】 感応グラン=ギニョル

イメージイラスト
あくまでイメージです💦


感応グラン=ギニョル 空木春宵

なんと美しい文章と世界観…‎߹ㅁ‎߹)💕

昭和レトロで耽美でSFとは…大好きです💕

この痛みも、
呪いも、
私だけのもの。
退廃と奇想、呪縛と変容。
創元SF短編賞出身の鬼才、
待望の初作品集。

昭和初期、浅草六区の片隅に建つ芝居小屋。
ここでは夜ごと、ある特殊な条件のもと集められた少女たちによる残酷劇が演じられていた。
その日、容姿端麗で美しい声を持つ新人がやってくる。
本来ここには完璧な少女は存在してはいけないはずなのに。
彼女の秘密が明らかになるとき、〈復讐〉が始まる――。
分かち合えない痛みと傷を抱えて生きる孤独な魂を描いた全5編。

Amazon 内容紹介より



空木うつぎ春宵しゅんしょうさん。

初読みの作家さんです。


短編集一作目の『感応グラン=ギニョル』のページを捲るともうチャカポコ聞こえてきそうな文章…(≧∀≦)


芝居小屋、劇の開幕シーン、時代背景が昭和初期なので、もう頭の中は『ドグラ・マグラ』や乱歩の世界…💕


何より美しいのは文章表現…。

読んでいて気持ちいいです.☆.。.:*・°


「美」が『美』にグレードアップしました(分かりにくい笑)


私、百合小説は苦手なのですが、そこがメインではないのでさほど気になりませんでした。


どの話も斬新でしたが、特に『感応グラン=ギニョル』と『Ranpo Sicks』が凄くいい⁝(ᵒ̴̶̷᷄⌑ ᵒ̴̶̷᷅   )⁝


読んでいる途中、どうなるのか予測つかない所もまた素晴らしい…。

怪奇ゴシック
レトロ
SF
百合
ホラー…も少し
で、痛み
(-_-;)

が融合したSF小説
です。

美しい装画からは想像付かない…。

一見ホラーミステリかと思いますよね(^▽^;)

【感応グラン=ギニョル】

芝居小屋で見せ物とされる見た目の酷い少女達…。
その中に美しい少女が加わる。
相応しくない少女に欠落しているのは、心。
彼女の不思議な力により、新しい世界の幕が上がる…。


いやぁ〜耽美な世界…。

劇団『浅草グラン゠ギニョル』の看板は、
「きれいはきたない、きたないはきれい」

興味本位で演劇を観にくる客達。

彼女達は「見せ物」なのです。

この話の「感応」が強く伝わるのは「読み手も一員である」というところ。

劇団員達の「苦痛」を読者も味わう事になります。


そして結末では頂点に達します。

満員御礼なハズですよ…。


【地獄を縫い取る】

近未来SF。
この世界ではネット上の「蜘蛛の糸」という官能伝達デバイスによって、五感を感じる体験ができる。
エンパスという技術で感情も共有できる。
主人公はエンパスを使った、ネット上の小児愛者を捉えるためのAIを制作。
人間と区別のつかない精巧なAIを作り出す。


「感情の共有」が『感応グラン=ギニョル』と通じているところで、こちらも酷く痛いです…(^▽^;)

エンパスを繋ぐと、AIとまるで本物の人間と違わぬような性行為ができる。

ターゲットは小児愛者。

主人公のジェーンは、自分とそっくりのAIをつくる。

こんなんできたら、皆使いますよね…。

ジェーンは被害者のあらゆるデータを駆使してAIを作り出しているので…ものすごく痛い。

この話は、読んでて辛かったです。


【メタモルフォシスの龍】


これまたすごい世界観…。

失恋したら、女は蛇、男は蛙に変身してしまう世界。
なので、自治区では政府が恋愛禁止を命じる。
失恋した主人公は、愛する人を喰らうため、自治区を出る。


蛇だから、蛙を食べるんですね…。

振られた男は蛙に。食べられたくないので避難専用の島が存在します…(^▽^;)

いつの世も男は…笑

失恋で心が痛い話。

振られた女は恨みを募らせ体はどんどん蛇に…。


主人公テルミの世話をするルイは夜の仕事をする美しい女性。

彼女が日を追うごとに蛇化する姿を想像すると…むむむ…耽美かな…(-ω-;)

感覚バグってきそう…。

ラストは驚く展開です。


徒花あだばな物語】

時代は戦争真っ只中。
戦禍により両足をなくした少女。
病気を発症し、ある女学校に収容される。
生徒達は、3年生になると「ゾンビ化」する。


またまたすごい世界観(何回言ってるんだ)

ゾンビ化の度合いも生徒によります。

ゾンビになる前に生徒同士で行う儀式のようなものがあるのですが、若干の百合要素ですかね。


教壇にいつの間にか置かれているノート。

そこに書かれた小説が、謎を解くキーとなります。
こういうの好き💕

どの作品通してみても、必ず最後に真相が明らかとなり、きちんとロジックが解明される。

空木春宵さん作品の魅力のひとつなのだろうと思います。

そこも凄く良いです‼️


【Rampo Sicks】


この話が1番好きです(〃´-`〃)💕

タイトルにもある、江戸川乱歩の世界。
と言っても、出てくるのは作品名のつけられた名前やモノ。
この世界では、美醜が逆です。
美しい人は狩られます。美醜探偵団によって。
『きれいはきたない、きたないはきれい』が箴言。


美醜探偵団に捕まると「美醜値が規定内に収まるまで其の容貌を損壊される。」そうです…(-_-;)

痛いよ…。

空木春宵さんの描く美女の表現……‎߹ㅁ‎߹)

ほぅ……と、酔いしれますよ…。


各作品の世界に必ず美醜が取り上げられていますが…拘りなのかな。

読んでいるうちに、醜が美に思えてくるから不思議……。

ディストピアのお話です。

はい。大好きです。



短編だからと、途中でやめずに最後まで読むことをおすすめします‼️

純文学が好きでSFと融合しても抵抗ない方。

極度に現実離れした美しい世界観に浸りたい方


おすすめです‼️(*´艸`)💕


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