見出し画像

読了『渋イケメンの旅』

こんにちは。
ヒノカンです。

皆さんは、大学生最後の卒業旅行でどこにいきましたか?
私は、2年生の時からすでに決めていて貯金をしていました。

インドに行きたい。

すごくインドに行きたい。

好き嫌いがハッキリしやすい国インド。
そして、旅行すると人生が変わると言われるインド。
タージマハルと、スパイシーなカレー。
人がたくさんいるガンジス川。
甘ったるいチャイ。
心揺さぶるペイズリー柄の民族衣装。
そして、渋く濃いイケメン。
私は、あまりインドを知らない。だからこそ魅惑的なのだ。
印象として、ごっちゃごちゃしてそう、というのがある。
日本のように、アスファルトで全て舗装された道、車が全て信号の規律を守り、
時刻通りに来る電車、といった当たり前の決まった日常空間から外れて、
日本とは反対の?
ごっちゃごちゃしてるインドに行きたいのだ。
あと、あの満員電車に乗ってみたいし、ガンジス川に足入れてみたい。

でも、まぁ

努力しても、新型コロナウイルスの影響で、
私の卒業旅行は絶望的なんですけどね。
社会人になってから、有給取って10日から1ヶ月くらい行けたらなぁ。

そして、そんな私の”インド行きたい欲”を満たす本を今回は読みました。
写真家の三井さんが、インドをバイクで7周するほど旅して、
そこで感じた事、経験した事、かっこいい働く人たちを記録している。
初めは写真集かなと思ったが、
紀行文がたくさん書いてある。写真のページも大きいので、両方とも楽しめる。

働く男の姿がかっこよすぎるインド

働く男たちがとにかくかっこいい。
肉体を伴いながら、働くことで得た筋肉がたくましく、
加齢により刻まれた皺が、まるで木の年輪のように、渋く、
その人の人生の深みを表していた。
日本だと皺が増えるとおじいさんになると嫌がれるが、
それが全くなく、むしろ、皺が男たちをかっこ良くしていた。
「イケメン、萌える」と言うと軽薄に思えるほど、
彼らの渋さに、尊敬したくなった。
歳を重ねるほどの魅力をこの人たちは知っている。

特に魅力的なシーンはチャイ屋に集う渋イケメンたちだ。
インドでは、宗教的な理由で、飲酒ができない。
男たちが仕事の後の一杯はチャイであるそうだ。
10メートルに1軒はあると言う、インド版コンビニのようなチャイ店の周りで
働く渋イケメンたちは集うそうだ。
そこでは、仕事合間か仕事後のリラックスした表情の渋イケメンたち。
本書では、様々な渋イケメンたちが登場するが、
この場面の渋イケメンたちはどこよりも、ふにゃと気が緩み、笑顔なのだ。

これが世に言う、「普段気難しい顔した推しが時々見せる笑顔に尊死する」と言われる、
ギャップ萌え
なのだろうか。(数行前に萌えると言う事は軽薄だと言ったのに)

彼ら…と言うか、日本人の私たちも、
生きるために働いて、働いて、働いている。
それが、肉体労働か、デスクワークかは変わるが、
それの後の、自分への褒美のひと時は、どんな人もフニャ笑顔にする魔法がある、とフフフと笑いながら感じた。

それだけでなく、

彼らの仕事には、「収入のために」だけでなく、
仕事に対する誇り」が溢れていた。
彼らが渋イケメンなのは、単に彫りが深い顔の造形美というだけでなく、
彼らの仕事に対する真摯さと、仕事に打ち込むたくましさが大半を占めている。
要するに、
仕事に真剣な渋イケメンがかっこよすぎて汗さえもまぶしすぎる。

インドの人は、
仕事に対する誇り、自分の地域の伝統行事への誇り、家族を持つ誇り、
様々な誇りを胸に、真剣に生きていた。
それがとてもとてもかっこいいのだ。

生甲斐をもって生きている渋イケメンたち

渋イケメンたちの生活環境は、日本と比べてとにかく悪い。
例えば、格安ホテルは掃除されてなさすぎてシーツにヒルみたいな人の血を好む虫がうじゃうじゃいたり、
プラスチックゴミを燃やして捨てるから、燃焼時の有毒ガスが立ち込めていたり、
公害、が公害として訴えられていないで、そのまま生活に溶け込んでいた。
だけど、渋イケメンたちは、そんな状況を「悪い」「ダメだ」と思わず、
生きて食うて、未来につなげていくためにかっこよく生きていた。
祖先から生きてきたこの土地で生きるために。
それから、自分と周りの仲間たちと生きるために。
シンプルで逞しかった。
なんというか、、、自分で表現できないのが疎ましいんだけど、
日本人と違う価値観と幸福論がそこにある気がした。

最近バズったツイッターで、
「人間として生きて、日本人として生きて、それなりの家庭で生まれたらそれだけで、人生ガチャSSRひいたようなもんだよな」
というのをつい数日前に見かけた。

 SSRとは、スマホゲームのカードガチャの最高レア難度。
 本書を読んでそうではない、と感じた。
 それなりの家庭で、人種差別が大々的にない日本(と言っても日本人が多いからだけど)で、差別とか格差とか考えずとものらりくらりと、推しについて語ったりしてHAPPYに暮らせる日本と比べたらインドの渋イケメンの暮らしは過酷だ。
 しかし、彼らは過酷さを不幸に全く思っていない。写真の彼らは、(日本人からしたら)過酷な生活で鍛えた肉体と、円熟した表情がかっこよかった。
 自分がおかれた環境でどれだけ、懸命に生き、幸せを享受できるか、それができるかどうかが人生ガチャSSRかRかを分けると分析した。

というのだろうか。
難しくて、自身の表現力の拙さが申し訳ないのだが、

ああ

彼ら渋イケメンたちと実際に会って、彼らの幸せとは何か、
聞いてみたい、

インド行きたいな、

と一層思えた、今回の一冊でした。

画像1

『渋イケメンの旅』
三井昌志 ¥1600+tax 雷鳥社
公式サイト


この記事が参加している募集

読書感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?