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「町の書店を増やしたい」を考える 3.「書店は地域の文化拠点であるから守りたい」を段階的に考えていく

前回までのお話・・・

1.増やしたいのか、減らなければいいのか

既存の書店も守りつつ、新規出店(既存タイプも新しいタイプも)も増えるといいなというお話。

2.増やしたいのは「誰?」「何のため?」

国や地域など社会全体のことを考えている人、出版業界で働く人、書店好き・本好きの消費者、の3つの視点に分けて考えました。

そして、ここから先は
「国や地域、社会全体のことを考えている人」が
「国力や国民の幸福度を上げるために、文化の向上を図るため」
文化の拠点としての書店を増やしたい

という部分について話を進めていきます。

※このページは、思考を整理するための自分なりのノートです。勉強不足の部分や考察を別途深めたい部分も多いので、随時書き加えたり別途ノートに書いていく予定です。このノートが、書店を増やすための具体的な活動を考えている人の参考になれば幸いです。



3.「書店は地域の文化拠点であるから守りたい」を段階的に考えていく

(1)最終的な目標は「幸せな社会の実現」

書店の減少を危惧する話のなかで、その理由としては、書店は「地域の文化拠点」であるから減らしてはいけないといった言い回しをよく見かけます。

逆に、これ以外の理由について具体的な文言はあまり見かけません。少なくても現時点ではアンテナをちょっと張ってる程度の私のもとには届いていません。
※個人的に寂しいからとか自身が経営しているからといった理由はここでは置いておきます。あくまで、個人レベルではなく、国や地域などの社会全体を考える視点です。

町の書店を減らしたくない派である私も、この文言を疑うことなく「そうだそうだ」と思ってきたわけですが、でも、ふとこれだと具体的にどういうことか見えてこないのでは?ここに何らかヒントが隠れているのではないかと疑問が湧いてきました。少し深堀りしていきたいと思います。

①「書店」の位置づけ
・書店は本との出会いの場である
・書店には地域の文化拠点としての役割がある
・生活圏内にふらりと立ち寄れる書店があることで、
 市民・国民の生活の一部に文化や情報が自然と取り組まれる。

②「本」の位置づけ
・本は知識や教養を高め、人として成長するのに不可欠である
・本は文化の基盤であり、日本の重要なコンテンツの一つでもある

③国や地域の視点から目指していること
・読書によって、人々が人として成長する。
 知識も広く深くなり、思慮深く、多様性を認め合えるようになる。
・文化を維持・向上させることで、人々の幸福度や地域力・国力も上がる。
・幸せな社会の実現


つまり、
" 地域の文化拠点としての「書店」で
 人々が「本」を通じて知識や教養を高め人として成長することで
 文化自体のさらなる向上と
 最終的には、成熟した幸せな社会が醸成されること "
が期待されているように思えます。


これは私なりの答えですが、ここからはこの仮定に沿って、もう少しずつ深く考えていきます。

(2)文化とは

とても漠然とした言葉なので、次の話に行く前に一度確認をしておきます。とりあえず辞書をいくつか。

①(文化(ぶんか)とは? 意味・読み方・使い方をわかりやすく解説 - goo国語辞書
文化(ぶんか)の意味や定義 わかりやすく解説 Weblio辞書
日本の文化 - Wikipedia


私なりに①~③を要約すると、「人々が築き上げてきた生活の特に精神的な成果であり、今後も世代を通じて伝承されていくもの」が文化であり、広義での「文化」の範疇はめちゃめちゃ幅広いことがわかりました。

文化の拠点としての書店、本といった文脈からとらえると、以下の二つの「文化」の捉え方ができるかと思います。
A. 「学問・文学」、娯楽(狭義での文化)
B. 本という形で世代を通じて伝承していく人々の生活全て(広義での文化)

「国や地域の行政機関やそれに類似する視点を持つ人」が
「地域の文化拠点」であるから書店を減らしてはならないと考える上で念頭に置いているのは A か B か・・・。Aだけで捉えて、「文化といっても他にも色々あるのに、読書文化や文芸を優先させて守るとはどういうことだ」的な議論も見かけました。
でも、私は基本はBのことを言っているのではないかと思うのです。
相撲も美術も演劇も数学も料理も染色も着物も音楽も・・・何もかも本にすることで今までの文化を今と未来に伝承していくことができる。
一見くだらない本も、ゴシップも、漫画も、誰かのエッセイも、今この時代の記録として将来研究対象になるかもしれません。

というわけで以降はBを中心に、必要に応じてAと切り分けながら考えを進めていきます。

あと「書店文化」という言葉もありますが、、以下の理由から今回の本筋から離れてしまいそうなので、ひとまず置いておきます。
①文化の中の一つにフォーカスしている(Bではなく、Aレベルの話)
②国全体の視点だけでなく、現在書店文化の中で生計を立てている主観的な視点も強く入ってきそう


次回予告

4.本:誰がどんな本をどんな風に読めばいいの?

5.書店:求められる役割について考える


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