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ロックダウン中のNYからバリー・ユアグローが柴田元幸に送った"産地直送"掌編小説(No. 870)

考える人 メールマガジン
2020年6月25日号(No. 870)

病気を理解するにはどうしたらよいのか?
精神科医・斎藤環と歴史学者・與那覇潤が選ぶ映画4選!


対談本『心を病んだらいけないの? うつ病社会の処方箋 』(新潮選書)が好調の精神科医・斎藤環さんと歴史学者・與那覇潤さん。

お2人が選んだ《「病気から回復中の人」にお薦めの映画》記事も好評でしたが、今週は《「病気を理解したい人」にお薦めの映画》4本をご紹介。

当事者を支える立場である家族・友人や医療スタッフの方にぜひ観て頂きたい映画ばかりです。

前編
https://kangaeruhito.jp/article/15291

後編
https://kangaeruhito.jp/article/15300

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編集長のお気に入り

◎バリー・ユアグロー『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』(柴田元幸訳) ignition gallery

アメリカの作家バリー・ユアグローといえば、新潮社から刊行した『一人の男が飛行機から飛び降りる』などで知られる不思議な作風の作家ですが、彼はロックダウン下のニューヨークで正気を保つために掌編小説を書き、翻訳者の柴田元幸さん(当サイトで「亀のみぞ知る 海外文学定期便」連載中)に直接送っていたそうです。こうして誕生した12篇のものすごく短い小説が、5月末に44ページの冊子のような薄い本になりました。

遅ればせながら読んだのですが、これが可愛くて小さい、つい机の上におきたくなるような本なんですよ。

なんとユアグローがこの小説を書いたのが、4月5日から5月11日、このリトルブックがignition galleryから発売されたのが、5月29日。いくらなんでもすごいスピードじゃないですか。柴田さんの仕事が多岐に渡り、翻訳が早いことは知られているかと思いますが、柴田さんの仕事がいくら早くても、普通の出版社ではこんなスピードで本は出せません。柴田さんのあとがきによると、 ignition gallery の熊谷さんにこういう本が作れないかと打診したのは5月11日。デザインを横山雄さんに発注。あとがきを書いたのが5月15日とのこと。この機動力と産地直送感には脱帽です。

初版1200部をウェブサイトとごく一部の書店で販売し、2週間でほぼ完売し、増刷したとか。確かに、zineという概念が人口に膾炙してきた今、ライブハウスや小劇場で売っている希少なグッズのようで、ついつい欲しくなる佇まいの本です。取り扱い先が限られていて手に入りにくいというのも、一期一会感があって、気持ちをそそります。販売書店はこちらのサイトでご覧ください。

ちなみに、「亀のみぞ知る」の最新情報にも載っていますが、ユアグロー/柴田元幸訳の仕事でいうと、現在、小社のPR誌「波」で「オヤジギャグの華」が連載中です。10回目までは原文と一緒にウェブ上でも公開してますので、ユアグローの作る不思議な世界をまだ未体験の方は、そこで簡単に触れることができます。また「波」6月号にはこの『ボッティチェリ 疫病の時代の寓話』の冒頭の一篇「ボッティチェリ」が掲載されています。

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