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3. 私たち一生「グリーン」

ブレイディみかこ×ヤマザキマリ「パンク母ちゃん」第3回

 60万部を超えるヒットとなった『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』の文庫化を記念して、ブレイディみかこさんとヤマザキマリさんの対談の第3回をお届けします。

 「こんな話をしたのは初めて」というヤマザキさんに、「今日が初対面だとは思えない」というブレイディさん。最終回となる今回は、数々の修羅場をくぐり抜けてきたふたりが目指す“境地”について。「一生グリーンであり続ける」とは、どういうことなのか!?(編集・構成:「考える人」編集部)

※注 記事をそれぞれ単体で買うと1本500円×3=1500円ですが、全3回を【1000円】で読めるお得な有料マガジンもございます。マガジンを最初に購入すると、すでに配信中の第1回第2回を追加購入することなくお読みになれます。

We love トラック野郎

ヤマザキ ブレイディさんのお連れ合いはトラック運転手なんですよね?

ブレイディ もともとシティ(註:ロンドンの金融街)の銀行に勤めていたんですけど、リストラされて。他の金融関係の仕事に就くかなと思ったのですが、そこでの人間関係に疲れていたみたいです。労働階級出身で、子どもの時にトラックの運ちゃんに憧れていたこともあって、あっさり大型ダンプの運転手に。運転している時は基本ひとりじゃないですか、そういうところも性に合っていたみたい。

ヤマザキ 私も子どもの時から映画の「トラック野郎」が大好きで(笑)

ブレイディ えー! まだ共通点があるの?

ヤマザキ 桃次郎(註:菅原文太演じる主人公の名前)ですよ。DVDは全巻持ってて、イタリアとポルトガルの家にそれぞれ常備してある(笑)。落ち込んでいる時に観るんです。フェリーに乗るのが好きだったんですが、それはトラックの運転手さんがいっぱいいるから。

ブレイディ もはやフェチだ。

ヤマザキ トラックの運転手っていろんな方がいらっしゃるけど、みなさんどこか朴訥として真面目じゃないですか。命削って仕事しているし。実際にトラック運転手さんと忘れられない思い出もありますね。中には、一瞬だけど恋愛に発展するかも、というぐらいの出会いがあって。

ブレイディ ヤバい。私たち詩人とトラック野郎を愛している(笑)

ヤマザキ 私が今まで出会ったなかで、忘れられない運転手は……。

ブレイディ その話も聞けちゃうんだ(笑)

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