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村井理子×宮下奈都による大好評イベントの模様をお届け!(No. 883)

考える人 メールマガジン
2020年10月1日号(No. 883)

村井理子×宮下奈都による話題の対談
「村井さんちと宮下さんちの生活」掲載!

先日行われた、村井理子さん×宮下奈都さんの対談記事「村井さんちと宮下さんちの生活」を掲載します。

村井さんのエッセイ『村井さんちの生活』の刊行を記念して行われたオンライントークイベントは、生配信チケットが事前に完売という人気ぶり。アーカイブ配信も含めて多くの方にご参加いただきました。

村井さんと宮下さんは以前からTwitterでのやりとりはあれど、初顔合わせ。自分で切り開いた「書く」という仕事、家族や愛犬との楽しい生活、地方で暮らすということ……多くの共通点のあるお2人のトークは大いに弾みました。

〈後悔が多いのが育児〉(村井さん)、〈子どもっていくつになってもずっと可愛い値を更新し続ける〉(宮下さん)など、心に留めておきたい名言がいくつも飛び出した対談は今週のアクセスランキング1・2位をゲット! まだお読みになっていない方もぜひお愉しみください。

前編 子育てほど、正解がわからないものはない

後編 私のもとに、私が帰ってきた!

アクセスランキング

■第1位 村井理子×宮下奈都「村井さんちと宮下さんちの生活」
前編 子育てほど、正解がわからないものはない


■第2位 村井理子×宮下奈都「村井さんちと宮下さんちの生活」
後編 私のもとに、私が帰ってきた!

■第3位 呉座勇一「名ぜりふで読み解く日本史」
第2回 「成り上がり」秀吉の劣等感と自負心

第2回もランクイン! 今回は豊臣秀吉の名ぜりふ。NHK大河「麒麟がくる」で佐々木蔵之介さんが演じて話題ですが、「叩き上げ」のリーダー特有の複雑な心の機微とは?

最新記事一覧

■小谷みどり「没イチ、カンボジアでパン屋はじめます!」(9/25)
3. 「未亡人」と言わないで

配偶者に先立たれた自らを「没イチ」と名付け、同じ境遇の人々に残りの人生を楽しもうと呼びかける小谷みどりさんの連載2回目。小谷さんが没イチになった日のこと、そして気づいた〈かわいそうなのは私ではなくて、人生を楽しめなくなった夫〉という事実。


■大高郁子「考える猫のその日暮らし」(9/28)
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愛猫からの猛烈な「私を見て」アピールを交わしながら、仕事に集中できるか……!?


■津村記久子「やりなおし世界文学」(9/29)
乾いた不思議が漂うハーンの日本

今回はラフカディオ・ハーン(小泉八雲)の『怪談』。津村さん曰く〈松江は、自分の行った場所の中ではもっとも日本らしい日本〉。松江を愛した八雲の「怪談」は〈乾いた不思議〉に満ちている。


■村井理子「村井さんちの生活」(9/30)
彼を待つあいだ

単行本『村井さんちの生活』が好評の村井さんが、長男くんを駅まで迎えに行った日のこと。乗っているはずの電車から降りてこない。あれ?と思って待ってる間に思い出したのは、昔、大阪駅ではぐれた日のこと――。


■猪木武徳「デモクラシーと芸術」(9/30)
第21回 国家は文化芸術を主導すべきか?――政治体制と芸術家たち

大反響「ショスタコーヴィチ」編、ついに完結! 「スポイルされた神童」プロコフィエフに苛立ち、似非ヒューマニストに毒づく、天才ショスタコーヴィチの真意とは……? ナクソス・ミュージック・ライブラリーで聴きながら読む連載!

編集長のお気に入り

◎宇佐見りん『推し、燃ゆ』河出書房新社

春から延期になっていた第33回三島由紀夫賞が、宇佐見りんさんの『かか』(河出書房新社)に決まりました。宇佐見さんは21歳の大学生。佐藤友哉さんの記録を抜いて、最年少での受賞となりました。選評は「新潮」11月号(10月7日発売)に掲載されます。

『かか』は昨年2019年に第56回文藝賞を受賞した作品です。同時受賞が先日『破局』で芥川賞を受賞した遠野遥さんの『改良』でした。

28歳の遠野さんは平成生まれ初の芥川賞作家と言われていましたが、宇佐見さんはもちろん平成生まれ初の三島賞作家。というか、もはや平成ゼロ年代でもなくて平成11年生まれですから、歴代三島賞受賞者の中で飛び抜けて若いことになります。坂上陽子編集長になってからの「文藝」の勢いと文学地図の更新が、新人作家たちの背中を押しているように感じます。

『かか』は、単行本が出た直後、信頼している目利きの読書家・アナウンサーの宇垣美里さんがラジオで「生まれた淀み、しこりのようなものを描いている」と褒めていたのを聴いて、すぐに読みました。心を病んだ母と浪人生の娘の関係を描くテーマの面白さはもちろん、一人称で描きがちな話を「うーちゃん」の三人称で、しかも架空の方言のような言葉で語る、その語り口と距離感の選択に驚きました。この作品を書いたとき、彼女は19歳だったそうです。

第二作の『推し、燃ゆ』は、『かか』と比べると一見読みやすいですが、テーマはもっと今日的です。「推し」のアイドルを「解釈」することに心血を注ぎ、なんとか生きている女子高校生。ある日、そのアイドルが事件を起こしSNSで炎上する、という話。「好き」とも違う「推し」という感覚と距離感、現代の若者の生きづらさを繊細な文章で描きます。小説の終わらせ方にも、極めて意識的な選択を感じました。

宇佐見さんは高校時代から中上健次が好きで、『19歳の地図』から『奇蹟』『日輪の翼』まで、ずっと読んできたそうです。なるほど、中上を補助線として引くと、宇佐見さんが語りたいことをどのように書くか、語り方や語り口を細かく、何より正確に選択して作品を紡いでいることが分かってきます。「SNS時代の中上健次」とでも言いましょうか。おそらくこれから10年間、彼女の存在を軸に彼女の同世代の小説家志望の書き手が、切磋琢磨して彼女の背中を追いかけ、新しい小説が形作られていくのではないか、と予想します。

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