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今月読んだ本の感想(1月編)

今年の目標は、40冊本を読むこと!

今月はホラー系を中心に摂取したい気分だったので、ちょっと怖い感じのお話が多め。

微•ネタバレありです。

恐い間取り2、3/松原タニシ

「恐い間取り」シリーズは無印を読んだことはあるけど、続きがでているとは知らなかった。見つけたので読んでみた。

著者の松原タニシさんは、「事故物件住みます芸人」だ。実際に事故物件に住んで、その恐怖体験を本にしたのが「恐い間取り」シリーズである。

「2」は安定して面白い、単なるホラー体験談としてだけでなく、「死」について考えさせられるような話も多い。

無印で語られた、松原タニシさんの住んだ「事故物件」たちの後日談も豊富だ。無印の復習にもなる。

これは個人的わがままにすぎないが、本に載ってる男の顔が画面半分を占める写真が怖くて嫌だった。怖いのが苦手だけど好きなので、文章で摂取しているところに、視覚的に怖い心霊写真が出てきて、ひえ……もうやだ……となりました。

「3」は、無印と比べて、松原タニシさん自身の経験ではなくて、他の人から聞いた怖い体験が多めだった気がする。

もはや、「それは間取り関係あるのか…?」みたいな体験談も多いし、パンチのあってしっかりオチる怖い話というより、ふわっとした「不思議だね」くらいの話に終始した印象。

逆にそれがリアルではあるし、怖いの苦手な人にはおすすめかもしれない。

個人的には無印が1番面白かった。
「部屋」と「恐怖体験」の結びつきが強固で、どの部屋にも「この部屋だからこそ」の怖さがある。
幽霊っぽい怖さもあれば、ヒトコワもあり、とてもわくわくして読めた。

殺人事件が起こった部屋に、殺人犯が戻って来た(?)話とか最高だったな……。


怖い村の話/都市ボーイズ

「これは私が実際に体験した話なのですが…」みたいな、いろんなとこから集めた怖い話の短編総集編みたいな感じの本だった。

「村」の話を中心に、閉じたコミュニティの独特な文化の怖さが感じられる内容だ。

しかし、嘘っぽすぎる。

もちろん、私は怖い体験談をいつも鵜呑みにしているわけでは無い。しかし、「実際の体験談」系ホラーはエンターテイメントとして、「本当にあるかも?」というリアリティが欲しい。

今ホラー系って一大コンテンツになってるけど、大きく二分して「創作系」と「実体験系」に別れると思う。

創作系は、明らかに創作なことはわかるが、一つのお話として独立したクオリティの高さがある(小説とかね。雨穴さんの「変な家」も創作系に位置すると思う)。

対して「実体験系」は、創作とはわかっていても、「本当にあるかもしれない」リアリティを持たせることにより、真に迫った怖さを演出することができるものだと思う(それこそ「恐い間取り3」とか)。

「怖い村の話」は「実体験系」だけど、あまりにも嘘っぽすぎて、昭和の眉唾ホラーとしての枠を出られていない感じがした。コンビニに置いてあるごてごてした本に書いてあるやつ……。

特に「幼い頃に大人から性暴力を受けて、性の快感に目覚め、今は風俗嬢をしている」とかいう設定が出て来て「え?」と思ってしまった。
発想があまりにも男すぎる。

性暴力を受けて快感には繋がらないし、風俗嬢はエッチなことが好きだからやってるわけじゃありません。AVの見過ぎ……。

こういうところで結構萎えてしまい、実体験系にも創作系にもなれてない中途半端な感じが面白くなかったな。
ある意味、古き良き昭和ホラーなのかもしれないけど。

そういう幽霊チックなホラー話とかよりも、実際に起こった事件の解説が面白かった。

静岡県上野村村八分事件(村の不正選挙の告発をした一家が、村八分にされた事件)とか、「つけび村」の放火殺人事件(村人5人を殺害し、被害者宅に放火。加害者は村の人々とのトラブルを抱えていた)とかの話は良かった。


犬を盗む/佐藤青南

資産家の高齢女性が殺された現場には、犬がいたはずだ。なのに、その犬がどこにもいない……犯人は、金目当てだったのか?それとも、もしかして犬が目的……?という感じのストーリー。

読みやすい文章で、ページ数も少なめ。さらっと読める。

別で記事を書いたので、詳しくはこちらを参照のこと↓↓↓

https://note.com/oishii_monaka/n/ncc857d1ae47e


怪物/福田和代

定年間近の刑事:香西は、「死の匂い」を嗅ぐことができる不思議な能力を持っている。そんな香西の心残りは、「くるみちゃん誘拐殺人事件」の犯人を挙げられなかったことだ。
「死の匂い」を嗅ぐ力で、犯人が誰かはわかっているというのに……。

やがて香西は、橋爪という男が失踪した事件を追ううちに、最新鋭のゴミ処理施設の研究員:真崎と出会う。
真崎の研究室で「死の匂い」を嗅いだ香西。こいつが橋爪を殺したに違いない……!!香西は、独自に調査を始める。

という感じのストーリー。
「くるみちゃん誘拐殺人事件」と、「橋爪失踪事件」は、それぞれ別の事件だが、2つの事件はやがて関連を持ち、とある1つの結末へと向かっていく。

この物語は、結構胸糞が悪い。
たくさんの悪人が出てくるけど、誰も罰されることなく終わる。
天罰的展開はあるっちゃあるけど、それも罪の重大さに対してあっさりしている。

香西だけは「正義感」を持って行動していたのだけど、それも段々ブレてきてしまう。

こちらの気持ちも、がんばれ香西!→このじいさんは何してんだ?という冷めた気持ちへと変わってしまった。

この世に正義なんてないんだ……!!みたいなエンドなので、ハッピーエンドを求める人にはお勧めしない。あと、性的暴行にまつわる描写があるので注意。

現実でも、どれだけの「怪物」が、素知らぬ顔で暮らしてるのかと思うとゾッとしますね……。

けど面白かった。事件に次ぐ事件、新たな展開がテンポよくやってくるので飽きない。事件の結末がどうなるのか、わくわくしながら最後まで読めた。

死体の処理方法として出てきた技術は、実際に実現可能なのだろうか?もう実用化されてたりする?
化学ってすごいな。


残穢/小野不由美

言わずと知れた、超有名ホラー小説。
怖い怖い聞いていたので、映画は見れんな……文字ならいけるか……と思い、意を決して読んだ。

実は読んでる間は、あんまり怖いと思わなかった。どちらかと言うと「ほう…興味深い…」みたいな気持ちで、途中からはまるで民俗資料を読んでいるかのような感覚で楽しめました。

怖かったのは、読み終わった後。
私はこの物語を読んだことによって、「穢れ」に触れてしまったと捉えられる。ということは……。

畳に何かがこすれる「サッ……」という音が、今にも聴こえてくるのではないかと思うと怖すぎて、しばらく音楽かけて生活してた。

これを読んだあなたにも何かあるかも」系ホラーがめちゃくちゃ嫌いなんですが(怖いから)、「残穢」はそれが露骨じゃなくて「もしかして…?」とほんのり香らせてくる感じが、不気味でよかった。

あと、作中に愛知県にまつわる話が登場して、かなりドキッとした。「残穢」では、実際のホラー作家さんが登場人物としてでてきたり、「これは実際にあったことかも……?」と思わせるのがすごく上手。

小野不由美さんの別の著書「鬼談百景」とリンクする部分もあって、わくわくが倍増しました。


おわり

というわけで、今月読んだ本は6冊
特に良かったのは、「恐い間取り2」と「残穢」かな〜。

来月もこれくらい読めたらいいな。

ここまで読んでくれてありがとう!
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