![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132458287/rectangle_large_type_2_aa5b2474d42e23359046017f471b234f.png?width=800)
今月読んだ本の感想(2月編)
「2月は逃げる」というけど、本当にあっという間に終わってしまった。
歳をとるにつれどんどん一年が早くなっていくように感じるな。このままでは気づいたらおばあちゃんになってそう……。
2月はあまり調子良くなくて、今月読んだ本は少なめ。
微•ネタバレありですのでご注意を。
『殺戮にいたる病』/我孫子武丸
女性の胸部と下腹部を切り取るという、残忍な連続殺人事件をめぐり、事件にかかわる3人の視点が入り乱れる。
犯人である蒲生稔、息子が殺人犯なのではないかと疑う蒲生雅子、そして被害者と親交のあった元刑事の樋口。
三者それぞれの思惑はやがて一つの結末に収束していく。蒲生稔が追う「真実の愛」の正体とは。
グロテスクな殺人シーンに注意
一般的なミステリは、犯人が誰かわからない状態ですすむことが多いかな?と思うのだが、この本では最初から犯人が誰かわかっている。
つまり、犯人視点が描かれており、その殺人シーンが非常にグロテスク。
女性を姦淫し、殺し、体の一部を切り取るまでの一連の行為が詳細に描写されている。
なので、読んでいて結構しんどいというか、気持ち悪いというか、気分悪くなる。
でもそこに興味を持って手に取る人も結構いると思う……というか、私はそうだったので、本当はあまりちくちく言えない笑
とにかく、私は「殺人シーングロいよ!」という評判を聞き及んで、興味本位に読んだにも関わらず、わりと気分悪くなった。それ程描写力が高く、細かい。
しかし気分悪くなったとはいえ、「不快」だったわけではない。
むしろ殺人シーンを読んでいる間は「快楽」に近い心地を得た。犯人•蒲生稔の心理描写と自分の心を重ね合わせて、稔が殺人から得る快楽を自分に直結して送り込む感じ。
私はミステリとか読んでも推理しないタイプの人間なので、犯人視点で事件を追えるのがすごい楽しかった。
その他、単純にグロテスクであること以外にも、女性をレイプするシーンも犯人視点で書かれている(過激なものではないが)ため、性暴力の描写が苦手な方も、注意が必要だと思う。
また、かなり昔に書かれた本なので、今の時代にはない偏見とか、言葉の定義の違いとかもわりと見られる。
犯人の思考のベースとなってるエディプスコンプレックスも、現代では批判的な見方があるし、本作での「フリーター」の定義も現代とは異なっている(しかもフリーターなだけで何故かボロクソに言われる笑)。
そういう細かなひっかかりは、「まあ昔の本だしな〜」でスルーを推奨する。
息子に過干渉な母親
本作の逸脱なところは作品の設定やグロテスクな殺人シーンはもちろん、立場が異なる3人の心理描写にあると思う。
私は殺人犯にも、息子が殺人犯ではないかと疑う母にも、引退した刑事にもなったことはないが、3人の心理描写を読んで「たしかに、この立場の人ってこう思いそうだな」というところが多かった。
特に蒲生雅子の、「平穏な家庭を守りたい」がために、暴走しているところ、「こういう毒親いそう〜」と思った。
他者境界を失い、息子と自分を同一視する母親はわりといがちだなと思っていて、この現象は特に「母と息子」間で見られる特有の現象だと思う。
逆に、父親は子供を「他人」と思いすぎな気がするけど、一旦それは置いておくとして。
蒲生雅子ほど極端な行動はしないにしろ、「雅子みたいな心理状態の母親」というのは日本の至る所にごろごろいて、そして男の人たちがなんとなく持っている「おかしさ」みたいなものって、紐解いていくとわりと母親由来だったりする。
そういう「母と息子」の間の歪さが、蒲生雅子パートにはよく現れていて、面白かった。
『ネット依存症』/樋口進
スマホのスクリーンタイムがえらいことになっていることに気がついた。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132408780/picture_pc_5ca3268097713d0c4e74d397bd8e085c.png?width=800)
↑ここまで酷くはなくても、1日最低5時間くらいは平気で使っている。
5時間もあれば、映画2本、本1冊くらい消化できるのに……!!
完全にネットに依存している……。
そんな自分に危機感を覚え、本書を手に取った。
著者の樋口進先生は、依存症を専門とする医師の方。なんとエタノールパッチテストを考案した人でもある。すごいね!
ネット依存の定義
ネット依存の医学的な定義はまだ定まっていないらしい。
インターネットというものがここまで身近になったのはわりと最近のことで(本書は2013年に書かれたもの)、まだ研究が進んでいないからだそう。
それでもさしあたりの指標みたいなものはあって、問診票の何点以上とったら危ない、みたいなものは開発されている模様。
ネット依存の問診票が3つくらい乗ってたんだけど、私がやってみたら全部重度のネット依存症であるという結果だった。
こんだけやってりゃ当たり前ですよね〜。
私自身、何度も何度もネットの時間を減らそうと試みたものの、試みは全て失敗に終わっている。
そういうところもまさしく依存だ。人生がめちゃくちゃになっていく気配を感じる……。
ネット依存は治せるのか??
結論からいうと治せるっぽいんだけど、やはりそれなりに時間がかかる模様。
ネット自身が問題というよりも、自分自身の精神的な問題が「ネットに依存する」という形で噴出してるケースとか、精神障害や発達障害が重なっているケースなどは、なかなか治療が難しそうだった。
私はまさしく上記のパターンであるから、簡単に治療できないだろうなあ……。
ネットがしたいというよりも、しんどくてうずくまってる間はネットしかできないんだよね。それが長時間ネットをする原因になっているので、うずくまる時間をどうにかするしかない。
また、樋口先生が名誉院長を務める「久里浜医療センター」ってところがあって、そこでネット依存症の専門外来があるそう。
そこでは認知行動療法とか、泊まりがけのプログラムだとか、そういった方法で治療しており、薬物療法には頼らないそうだ。
うーん、個人で症状を良くする方法や、家でできる方法はなかなかなさそうだな……。
ネットに依存してしまって困ってる人向けじゃなくて、「子供が」ネットに依存してしまって困ってる家族向けな感じの本だった。
余談だけど、ネット依存症対策が1番進んでるのは韓国なんだって。へー。
韓国って、社会的問題が生じた時、すぐ国民が反応して対策してるイメージ。
本書で紹介されてた問診票も、3つ中2つは韓国で作られたものだった。すごい!
大人になったZ世代
本書は2013年に書かれたものだから、情報としては古い。「ネット依存」も、パソコンからオンラインゲームにログインして遊ぶという状況が基本的な想定であり、今みたいに誰でもスマホを持っていたり、SNSアカウント持っていたりが当たり前、という想定ではなさそう。
また、ネットを触るようになった子供(Z世代)を中心にかかれているけど、今もうZ世代って最初の人間が20代後半とかで、大人なんだよね。
そういう世代的なズレがあって、なかなか「今現在のネット依存」の解決になるヒントは少ないかもしれないと思った。
また余談だけど、「10代後半からまるまる10年間引きこもってたけど、社会復帰がしたい」というケースがあって、やはり非常に困難であるということが言われていた。
以前読んだ岡田尊司先生の本にも、「ネットは一度に得られる情報量が多く、使っているうちに一瞬で時間が過ぎてしまう。玉手箱みたいだ(要約)」ということが書かれてた。
怖過ぎる……。私もネット触ってたら、一瞬で3年くらい過ぎてた。
他人事と思えない……絶望……。
そう思った次の日のスクリーンショットがこちらです。↓
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/132442065/picture_pc_2f14f0f9d175c44a8adc600f79d17dfa.png?width=800)
私はもうおわりです。
おわり
今月読んだ本は2冊。
先月に比べるとだいぶ少ない。
だんだんあったまってきたし、ネットの時間を本に代替えできるくらい元気になりたいものです。
早く春が来て欲しいね〜。
ここまで読んでくれてありがとう。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?