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「ソレ」は愛情?それとも執着?『RUN』感想

『RUN』という映画を見たのだが、これ先月見た10本の映画の中で、1番面白かった。
おすすめするから聞いてくれ。

感想はすべて個人的なものです!


【あらすじ】

生まれつき体が不自由な少女、クロエ。彼女は自立を望み、大学受験の合否発表をまつ身。
クロエの母ダイアンは、そんなクロエを溺愛し、献身的に支えてきた。

ある日クロエは、ダイアンの買い物袋から、薬の瓶を発見する。それはクロエがいつも飲まされている薬だが、なんと薬の瓶のラベルが貼り替えられていた。本当は何の薬なのか、不安感を覚えたクロエは、薬の正体を探ろうとする。

やがてそれは母ダイアンへの不信感へと変わっていく。


【こういう人は刺さりそう】

•「毒親」というワードに関心がある人
•愛情とは何か、疑問を抱いてる人
•ヒトコワ系ホラーが好きな人


【ネタバレなし感想】

生まれつきのハンデを背負いながらも、目標に向かって努力するクロエをとても応援したくなる。
そしてクロエを献身的に支えるダイアンは、まさに母の鑑。娘の夢を応援しながら、自立の手助けをする。なんていい母なの…

両者の間に流れる温かな時間……ほのぼの…

……と思いきや、あれ?雲行きが怪しくなってきたぞ??

クロエに飲ませてるカプセルはなんなの〜!?!?!?
なんでそれを娘に飲ませてるの〜!?!?

献身的で愛情深い母•ダイアンに対して一気に不信感が募る。

自立の過程において、子が親離れすることは必須だが、親からすればいつまでも子が心配なもの。
そうはいっても、ダイアンの行動は一線を越えている。

クロエがんばれ〜!!という気持ちと、ダイアンこえ〜!!という気持ちが交互に襲ってきます。

そして、クロエは体が不自由であるため、走って逃げることはできない。じゃあどうやって逃げるのか…?クロエのアイデアも見どころ。


【ネタバレあり感想】

カプセルの正体がわかった時点で、
「代理ミュンヒハウゼン症候群…!!」と思った。なのでそこからの展開がわりと予想できるな〜みたいなことを考えていたが、甘かった。

クロエ、ダイアン双方とも「そこまでする?」と思うくらい、己の目的を果たすのに必死。

クロエが自立のために頑張っているのが伝わるので、がんばれ…まけるな…と応援しながら見ていましたが、ダイアン怖すぎて終始ひえ〜!!!としておりました。


1番身近な人が敵になる恐怖

本来なら、親というものは子供の絶対的味方であるはずで、最も信頼できる身近な大人だ。

しかし、親という人物が、得体の知れない敵になるという恐怖は、毒親育ちならおなじみの怖さかも知れない。

ダイアンみたいな方法でなくとも、子供に対して依存的で、子供が幸せになることが許せない、ダイアンみたいな親はたくさんいる

そういう意味でこの映画はとても身近で、誰の身にでも起こりえたかもしれないホラーとして、他のヒトコワ系ホラーとは一線を画しているように思う。


郵便屋のおじさんありがとう

郵便屋のおじさんが、ダイアンの言うことよりクロエのことを信じてくれたのにすごく感動した…

私は精神病もち障害者なので、私の言うことに対して「まあ精神病患者の言うことだし、間に受けないでおこう」みたいな態度を取られることがたまにある。

そういう時はものすごく悲しくなって、傷つくので、郵便屋おじさんのシーンもハラハラしながら見ていたが、おじさんありがとう…!!お前が死んだ時が1番悲しかったかもしれん…!!

あと、「銃がある」というのは強いですね。

いかに武器持ちといえ、それがナイフとかなら、女が男を一撃で殺すのはなかなか難しい。それくらい男女の身体差というものは大きい。

でも銃というものを普通に持ってる文化圏だからこそ、女であるダイアンが、男であるおじさんを殺すことができたんだなあ。と思った。


毒薬を飲んだ娘を助けたこと

地下室のシーンで、クロエが毒薬を飲んでたけど、あれはダイアンから逃げるためでもあるが、クロエに対するダイアンの愛情を試すシーンでもあったのかな、と思った。

自分がクロエにやってきたことがバレるリスクを考えれば、そのままクロエを放置することで、「クロエが自殺してしまった」というストーリーを作ることもできたはず。それによって「娘に先立たれたかわいそうな私」を演じることもできる。

けどダイアンはそれをしないで、すぐに救急車を呼んだわけです。ダイアンのクロエに対する気持ちは明らかに歪んでいるけど、自分の犯罪がバレるリスクを考えても、それよりもクロエに死んで欲しくなかった

「クロエに死んでほしくない」という気持ちが、愛情なのか、クロエがいなくなったら生きていけないからなのかはわからないけど…


何が1番の復讐になるのか

ラストシーンはものすごく印象的。クロエ、幸せになってよかった…という感情と、きっちり復讐しろ!!いいぞ!という感情が同時に湧く。

ところで、クロエ的には「自分が飲まされていた薬をダイアンにも飲ませる」というのが1番の復讐なのかもしれないけど、それよりもダイアンにとっては「自分がいなくても、クロエが幸せに生きてる」ほうが辛いだろうなと思った。

ダイアンにとっては、「自分がいないとクロエが生きていけない」状態が理想で、そのために全てを捧げていたので。

クロエが周りの人々に愛されて、自立して生きている。すなわち、自分がいなくてもよかった、という事実を突きつけられることの方が苦しいんじゃないかと思った。


【おわり!】

ここまで呼んでくれてありがとう!
『RUN』は映画配信サイトで見られるので、是非見てみてほしいな!みんなの感想も聞かせてね。

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