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他人を罰したいという欲望、あなたにもあるよね?『セブン』感想

「セブン」と言う映画、面白かったので感想。
ちなみに私は他人のこと全然許せないタイプです。


【あらすじ】

スパゲッティの皿に顔を突っ込んだ状態で死亡した男が見つかる。この事件の調査を担当することになったのは、ベテラン刑事のサマセットと、新米刑事のミルズ。
調査を進めていく中で、次々と連続殺人がおこる。サマセットは、これが「7つの大罪」に見立てた犯行だということに気づく。

やがて明らかになる、犯人の真の目的に、サマセットやミルズも無関係ではいられず……。


【こんな人に刺さりそう】

•刑事ものが好き
•バディの仲が深まっていくのを見るのが好き
•7つの大罪を題材にした作品が好き
•人の善悪観が気になる

注意:性的暴行を想起させるシーンがあります。


【ネタバレなし感想】

「7つの大罪」に基づいた殺人であるため、7つの殺され方があるのですが、バリエーション豊かで面白い(…と言っていいのかわかりませんが)。

「この罪に対しては、どのような殺され方をするのだろう?」とワクワクしながら見た。

サマセットとミルズは、最初はあまり仲がよくないのですが、やがて打ち解け、お互いをバディとして認め合うのもアツい。

犯人の最終的な目的がわかったとき、思わず「私ならどういう選択をするだろう?」と考えてしまった。 


【ネタバレあり感想】

サマセットとミルズの関係


物語冒頭、サマセットは引退間近で、やる気満々のミルズに対して、そこまで協力的ではないように見える。
ミルズは、そんなサマセットに若干イラついている様子。

2人の関係が変わるのは、ミルズの妻:トレイシーがサマセットを夕食に招いたところだ。

この夕食会で2人は打ち解け、協力して事件を解決しようとしていく。つまりトレイシーのおかげ。

最初はぎこちない雰囲気で過ごしていた2人が、事件を解決するための「相棒」になっていく過程は、バディものに燃えるタイプの私としては、とても好きなところ……!!

最初から仲良しなのではなく、仲良くなっていく様子を見られるところがいいですね。 

犯人がやったことは正しい?

この映画を見て感想を語る上で外せないだろうな、と感じるの「犯人がやったことを正しいと思うか」ということ。

もちろん大半の人が「正しくない」と答えるだろうけど、どう正しくないのか。

殺人そのものが悪だから、犯人には裁きを下す権利がないから、被害者を殺すことに正当性がないから、などの理由があげられるだろう。

それらをまとめると、犯人の正しくなさは「正義を理由に、自分の欲望を満たしているだけだから」ということになると思う。

例えば、1番初めの「暴食」の罪においても、「太った見た目で他人の食欲を減退させた」と説明していたが、正当性がない。
太っている人を見る=食欲が減るというのは、多くの人がそうである、つまり一般的で常識的な感性とは言えない。あくまで犯人が「そう思った」だけである。

殺すという行為そのものが悪いにせよ、殺した理由が、一般人から見ても「まあ、被害者って結構悪いやつだしな…」と思わせるようなものであれば、犯人は英雄視されたり支持されたりしただろう。

終盤、終始冷静で朴訥な様子の犯人が、「なぜ彼らを殺したのか」かを語る時は怒りを帯びた様子で早口に語るのが、彼の潔癖感を表していてよかった。

内容としては全く共感できないが、犯人の異常さ、「彼なりにここにプライドがあるんだ…」と感じさせるシーンであった。


「色欲の罪」を正当化するならば

ところで、1番気になったのは「色欲」の罪だ。
色欲の罪を代表するものとして、犯人は「売春婦」を選んだが、私としてはこの選択にすごく疑問を感じる(まあ他のも疑問ですが、特に、という意味でね)。

「色欲の罪」を代表するならば、それは性を売っている側である売春婦ではなく、性を買っている側である買春男であるべきだ。

売る方はなにも好き好んで性を売っているわけではなく、生きていく上で仕方なくしている行為だ。つまり性を楽しんでおらず、彼女たちにとってはむしろ性は消極的行為である。

積極的に性を楽しんでいるのは買春男のほうだ。
そもそも性的な行為を「楽しむ」という場合、それは両者の合意に基づいて行われるものだが、金を理由に行った合意は真の合意といえるのか
金を払う側は楽しいだろうが、払われた側は金で苦痛を我慢しているにすぎない。

それは「慰謝料払ってレイプをなかったことにしてる」ことと同じではないのか。

そう思うので、性を売る女をバッシングするわりに「男が風俗いくのは普通だよね〜」という風潮のある昨今の世界には納得がいかない。

本作では、売春婦に直接手を下したのは買春男で、「殺したという罪の意識に苦しむ」という意味では、買春男にも間接的に罰が与えられているのかもしれない。

しかし、「正当性を持たせる」という意味では絶対逆の方がいいな。「お前も突っ込まれる側になってみろ!」みたいな感じで売春婦が買春男を殺していたら、私はこの犯人を支持したかもしれない。

7つの大罪を題材にした作品では、「色欲の罪」は女性の姿で描かれることが多い。
しかし基本的には、性を手放しに楽しんでいるのは男性であり、性を楽しみつつも、性によるマイナスの面を一身に引き受けるのは女性である。
その点でも、「快楽にふける罰」を受けるのは男性であるべきだろう。


自分流・7つの大罪妄想

さっきから、正当性がないとか正しくないとか言ってるけど、じゃあどういう人が殺されてたら私は納得したのか?ということで、「私が犯人ならこういうやつを殺す」という妄想をしてみた。
あくまで「私なら」という観点で組んだので、他の人の意見は知らないよ。

暴食
暴飲暴食としての「暴食」というより、食べ物を粗末にするということが「暴食」の本質だと考える。
よって、食べ物を粗末に扱うネタをして面白がるYouTuberを暴食の罪と考える。

色欲
買春する男。理由は先ほど述べた通り。

強欲
強欲は「金銭欲」という意味合いが強いらしいので、税金取るだけ取って国民に還元しない政治家

憤怒
インターネットの世界には、他人のまっとうな意見であっても、気に入らないとキレまくってる不思議な人がいますね。
というわけで、他人に攻撃的なクソリプを送りまくって粘着する、匿名のネットの住民

傲慢
私がこの世でもっとも傲慢だと思う人間、それは自身が恵まれた環境で育ったことを理解していない人間です。
なので、今の自分があるのは全て自分の努力の結果であると信じ、弱い人間を努力不足だと切り捨てる、想像力のない人間

怠惰
これは、自ら努力せずに他人の努力のうえにあぐらをかくこと、と解釈しましょう。
よって、私が大学生のとき、中国語のテストで私の解答をカンニングしてきたA君


【おわり!】

ここまで読んでくれてありがとう!
「セブン」面白かった!
私が犯人なら、7つの大罪にどういう人を当てはめて、どういうふうに殺すか、想像してしまった。

犯人は悪いやつだけど、みんなの中にも懲罰的感情はきっとあるから、部分的に犯人に近かったりするのかもしれないね。
そういう感情に気づいたら、他人を攻撃することはやめて、ゆっくり趣味の世界にひたろう。

例えば映画を見るとかね!
もなかちゃんのnoteを読むとかね!

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