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夫婦の距離感が近すぎると興奮しなくなる!程よい距離感を作るために必要なもの

セックスレスの相談やカウンセリングを行っている金子です。

今回のテーマは「夫婦の距離感」です。

夫婦の心が密接に結びついていると、肉体的にも結びつきたいという気持ちになりやすいとされています。レス解消のためにも心の結びつきは大切です。

しかし、「距離感が近すぎて興奮しなくなった」という人も少なくありません。

夫婦の程よい距離感をどのように作れば良いのでしょうか?

親密さを感じると心も体ももっと近づきたくなるが…

パートナーに親密さを感じる日ほど、興奮度も高くなるという研究は複数あります。

親密さというのは、愛情深い触れ合いや、各々が体験した出来事の報告、感情の開示などによって得られるものです。

また、自分の問いかけに対し、相手がしっかりと反応してくれているという認識によっても得られます。

このような体験により親密さを感じると、心も体ももっと近づきたいという気持ちが芽生えます。それが性的な興奮につながるのです。

一方で、距離感が近くなりすぎると、自分の時間やスペースを確保したという欲求も生じます。

息苦しさを感じることもあります。それによって別れたいと思ってしまうこともあるとコロンビア大学の研究者らの調査で分かっています。


程よい距離感を作るために持つべきもの

つまり、希望する距離感を得られると興奮は高まりますが、それを超えると興奮は落ち始めるということです。

そして程よい距離感は人によって違います。そのポイントを知るのは難しいものです。

ではどうすれば良いのでしょうか?

無理に距離感を調整しようとする必要はありません。

その代わり、適度に独立した心を持ちましょう。

お互いの心が独立し、分離感を持つことで、距離感が近づき過ぎても、そのデメリットを消し、興奮を維持してくれるのです。

これはパートナーとの間に壁を作るということではありません。

お互いの感情は別のものという認識を持つということです。

また、何か挑戦したいことがあるとき、相手に気を遣いすぎず、自主的に行動することも含みます。

近い距離感と独立した心は相互に作用する

近い距離感を持ちながら、独立した心を持つということに矛盾を感じるかもしれません。

しかし、この2つは直線上の両極端にあるものではありません。

円の上にあって相互作用するものなのです。

ロマンチックな関係に組み込まれたいというニーズと、個人として独立していたいというニーズのバランスについて調べた、社会心理学者エリカ・スロッターらの研究があります。

この研究によると、カップルは親密なニーズが満たされていると感じたとき、独立した自分でいることへの関心が強まり、独立した自分でいると感じたとき、自分とパートナーの親密さにフォーカスしようとする傾向があることが分かっています。

どちらかのニーズが満たされると、もう片方を求め、それが満たされると再びもう片方を求めるというサイクルが存在するのです。


適度な独立心を持つ方法

適度な独立心を持つために何をすれば良いでしょう?

それは関係の外に興味を持ったとき、それに積極的に参加することです。

趣味やサークル、習い事でも良いのです。自分の新たな一面を目覚めさせるような行動を起こすことです。

するとあなただけでなくパートナーも興奮を維持することができます。今まで知らなかった側面を見ることとなり、新鮮さが甦るからです。

また自己分化することも必要です。

パートナーの気持ちを理解することは大切ですが、気持ちに引っ張られてはいけないということです。

相手が不機嫌だからと自分までそうなってはいけません。

感情の境界を曖昧にしておくと、心の独立を阻害する大きな要因となります。

心の独立が果たされることで、夫婦はお互いの行動や心理が完全には読めなくなります。

このように適度に「謎」の部分を残しておくことは、長年一緒にいる夫婦の興奮を冷めさせないためにも大切なことです。

完全に理解できる異性よりも、ミステリアスな部分のある異性のほうが性的興奮は高まりやすいのです。

<参考文献>
・Frost, D. M., & Forrester, C. (2013). Closeness Discrepancies in Romantic Relationships: Implications for Relational Well-Being, Stability, and Mental Health. Personality and Social Psychology Bulletin, 39(4), 456-469.
・Erica B. Slotter, Caitlin W. Duffy, Wendi L. Gardner,
Balancing the need to be “me” with the need to be “we”: Applying Optimal Distinctiveness Theory to the understanding of multiple motives within romantic relationships, Journal of Experimental Social Psychology, Volume 52, 2014, Pages 71-81, ISSN 0022-1031.


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