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【転職】この求人、飲食業界20年の俺はこう見る!

今日は俺も働いたことがある、とある会社Aのレストランの求人を見ていく。


飲食業の求人をしっかりと読んでみる。


この会社にはマジで嫌な思い出しかないから、求人を見ているだけで冷や汗が出てくる。理想と現実。光と闇。募集要項には「光」の部分が多く書かれているが、光の影に潜んだ、影が俺には良く見える。

今日はその話をしていこうと思う。

俺がこの会社Aで働いていたのが約6年前だ。あの頃から、少しは業務内容や待遇の改善があったかもしれないので、事実半分、エンタメ半分の記事としてみてほしい。

俺は今までの20年間、様々な業態(パン屋、カレー屋、ホテル、ハンバーガー屋、蕎麦屋、ピザ屋、レストラン)の飲食業で働いてきたので、求人サイトに載っている事が事実なのか、ちょっとそれは言い過ぎだろ。っていうのも、だいたいわかっているつもりだ。

なので、これから飲食業で初めて働こうとしている君や、飲食業から違う業態に転職しようとしているあなたの少しでも参考になれば嬉しい。この事実がわかった上で、それでも働こうと思うのであれば、本当に楽しい仕事になるだろう。

それじゃあ上から見ていこう。

仕事内容

まずは【仕事内容】から

接客や調理をメインに、食材、シフト、販促などの店舗管理全般にも携わっていただけます。

これはよくあるパターン。

まず、接客や、調理の現場スタッフは「現場の仕事」がもちろんメインなので、シフト、販促等はその「現場も仕事」が終わってから、若しくは営業中に抜けてやるか、休憩時間を削ってやることになる。

たとえお店の営業中に抜けれたとしても、お店が混んできたら呼ばれるし、呼ばれなかったとしても、現場スタッフの冷たい目線を浴びる事になる。

要は店が閉まらないと、満足に集中して作業が出来ない。

イコール、みなし残業が増えるということだ。

キッチン業務

キッチン業務(食材の仕込み、調理、盛り付け)
マニュアル完備・シェフが直接指導しますので経験が浅い方もご安心ください。調理スキルに磨きがかかります。

まず、シェフが直接指導なんてあり得ない。指導ではなく指示だ。安心なんてしてはいけない。仕事ができなければ、使えないやつって思われて、はい終わりだ。そんな甘い世界じゃない。

たとえ聞けたとしても、入社後1週間だろう。決して安心してはならない。人は自分のミスを喜ぶ。そうなる日は近いぞ。

そして、俺は「経験者だから」と言われ、初日からほったらかされた事がかなりある。ただ、それが普通の世界。ぶっきらぼうなやつ=「職人気質」だから。というよくわからない解釈で、シェフや料理長と呼ばれる人は、権力で部下を押し付けてくる。まぁ、ほんとにそうゆう世界(1+1=2ぐらい)なので、そこを会社に訴えてもらちがあかない。その世界に入ったら、こちらが受け入れなければならないのだ。

「マニュアル完備」も謎。「完備」だから、なんなんだ?確かに無いよりはあったほうがいいが、結局マニュアルを見ている暇なんてない。

レシピに関しても、見ていたらオーダーが溜まって行って、はいゲームオーバーだ。

つまり、マニュアル完備=会社は完備しているんだから、早く覚えろよ。休みの日も使って覚えてこいよ。そう言っているように聞こえる。マジで現場は戦場だから、マニュアルを見ている暇なんて現場にはない。(厨房では)

そして、その「マニュアル」も現場が作っているパターンがある。

こうなったら終わりだ。

定時に帰れることなんて、まずないだろう。俺はこのマニュアル(レシピなど)を現場の仕事が終わって作っていたからよくわかる。8:00に電車に乗って出勤〜22:30まで営業と片付け、そっからマニュアル制作だ。終電ギリギリまでやって、みんなで走って駅まで行って終電で帰る。で、また翌日は8:00に電車に乗って出勤だ。

マニュアル完備・シェフが直接指導しますので経験が浅い方もご安心ください。調理スキルに磨きがかかります。

俺の経験上だが、この文章だけでここまで想像してしまう。

ホール業務

■ホール業務
上質で落ち着きのあるレストランのため、高い接客スキルが身につけることができます。またお客様とのコミュニケーションを楽しむことができます。

まず、こういった業態(ちょっと気取ったレストラン)のスタッフは、接客スキルが高いと自分なりに解釈してしまっている人間が多かった。自分の接客に酔っている人ばかり。(まぁそうゆう人間しか残らない業界だから仕方がない)で、後輩もそれを真似て、個性のぶつかり合いでカオスだった。

給料

月給 30.2万円~40万円

上記には固定残業代:100000円~200,000円/40時間相当分が含まれます。
※上記を超えて残業をした場合は、別途残業代をお支払いします。※経験・能力等考慮の上優遇します。

求める人物像・資格・飲食業界経験者(ジャンルは不問)優遇いたします。

●昇給年2回
●賞与年2回

【年収例】
28歳 アシスタント職候補/400万円
35歳 店長・シェフ候補/550万円
40歳 店長・シェフ/700万円


いや、まずみなし残業40時間って。鬼かよ。

まぁ確かに俺がいた時もそうだった。

ってゆうか、この40時間を超えそうになってくると会社側にかなり調節されますけどね。早く帰ってくださいとか。あれとかこれとか。

年収もこう見ると高く見えますが、

「基本の労働時間」+「みなし残業」+「休憩時間がろくに取れない」+「休日の会社からの連絡、LINE、スラック」などなど、これを考えると結局は時給800円?くらいなんじゃないかと思う。俺はそうだった。(この問題は、飲食業だけの問題ではないと思う)

求める人物像だって、飲食業経験者なら誰だっていいんだ。だって、他のお店から来たってやること(厨房だと、納品が来て、片付けて、仕込みして、料理して、発注しての繰り返し)は同じだから。

違うのは、「作る料理」と「人」が変わるだけ。あとはどの店に就職しようが、大抵は同じ問題を抱えている。

  • 長時間労働

  • 残業

  • 人員不足

  • 募集しても人が来ない

  • パワハラ

  • 休憩が取れない

  • 休日も仕事

  • 人間関係


大抵の店はこの問題を抱えている。そう、つまり労働環境においては、どこで働くかはあまり関係がない。

福利厚生

・経験、スキルを十分に評価され (ろくな評価はされない、上がっても1000円)
・週休2日制(月8日だろうが、休日もバンバン連絡は来る。これ休みなのか?って思う)
・有給休暇(気軽とれる空気ではない)
・産前産後休暇(男性は難しい)
・育児休暇(男性は難しい)
・7日以上の連続休暇可能(マジでこんなことあり得ない)
・無料まかないあり(これはありがたいが、厨房で立ち食いだった)

まとめ

誰でも入れる飲食業界。そこは優しいと思う。いや、誰でもいいんだ。

ただ本当に誰でもいいから入れていたら、大変なのは現場だ。

その人達を教育するのは現場の人間だから、ただでさえ忙しいお店に「未経験者の新人」が入ってきたら、ありがたいのだが、マジで大変になる。

だから、こちらも忙しいと満足に教えられず、すぐに独り立させなくてはならなくなり、そして新人が辞める。(大抵は飛ぶ。辞めると言ってくれたらまだマシだ。)

今までの教えた時間がマジで無駄になる。良い経験になったなんていう、綺麗事じゃあ済まされない。こんな「負のスパイラル」に入ってしまうのは日常茶飯事だ。

以上、改めて現実は厳しいなと思う。

こんな記事を書いていても、まだ俺は飲食業で働いている。

この記事は飲食業界はやめておけ!という内容の記事にするつもりはない。

その業界を知った上で、入るか入らないのかを決めて欲しいだけだ。飲食業界もよく考えてみたら、良い点もあるのだろうが、今は思い浮かばないので、思い浮かんだらまた記事にしようと思う。

イラスト/Chisato

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