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Modern Classic Car Owners

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イギリス『TopGear』誌の香港&中国&台湾版に寄稿した日本のモダンクラシックカーオーナーの記事の日本語オリジナル版。
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2021年3月の記事一覧

オースチンの流儀やアメリカ車からの影響を日本人なりに消化した、日産セドリック・ワゴン

オースチンの流儀やアメリカ車からの影響を日本人なりに消化した、日産セドリック・ワゴン

 日本の自動車産業が1960年代から急激に発展していった背景として、その直前までのヨーロッパメーカーとの提携の影響を無視できないだろう。
 日産はイギリスのオースチンと、いすゞもイギリスのヒルマンと、日野はフランスのルノーと提携し、既存の乗用車を日本でノックダウンやライセンス生産し販売していた。
 トヨタやスバルは単独で自力開発を進め、ホンダやマツダは後発組だから、ようやく4輪車開発に着手し始める

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1963年夏、軽井沢の六本辻で ファセル・ヴェガ ファセリア1600 F2

1963年夏、軽井沢の六本辻で ファセル・ヴェガ ファセリア1600 F2

 かつてフランスに存在した高級車メーカー「ファセル・ヴェガ」を、ご存知だろうか?

 1954年から64年までの間に、クライスラー製の大排気量V8エンジンを搭載した大型の2ドアクーペや4ドアセダンをパリで生産していた。豪華な内外装を持ち、最上級の仕上げが施されたモデルばかりで、生産台数も限られていた。僕も未だに国内外の路上で遭遇したことはなく、アメリカのペブルビーチ・コンクールデレガンスとイギリス

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好青年が持ち帰ったトライアンフ・ヘラルド

好青年が持ち帰ったトライアンフ・ヘラルド

 もしも20歳の頃に戻れるとしたら、何からやり直すか?
 まずは、真剣に勉強するべきだろう。いや、倒れるくらいまでスポーツに打ち込むのもいい。あるいは、複数の外国語をマスターすることを最優先したい。それなら、数年間、外国を働きながら旅すれば難しくないのかもしれない。
 はるか昔のことを、ああでもないこうでもないと言い訳することはできる。でも、もう実行は難しい。それが歳を取るということだ。そんなこと

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知性で走るシトロエンCX 25GTi

知性で走るシトロエンCX 25GTi

 1988年から90年までの、たった2年間だったけれども、初期型のシトロエンCXに乗っていたことがある。壊れてばかりいたが、大いに魅了された。新車で売られていたら、今でも買いたくなるくらい素晴らしかった。
 世の中に、クルマと呼ばれるものは数多く存在していても、他のどのクルマとも似ていなかった。独自の考え方と設計で、走りっぷりや使い勝手なども他に類がなかった。
 オリジナリティというのはここまで追

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