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少数株主としての戦い(検査役選任申立てと勝利)⑪

1.前回のサマリ

みなさま、こんにちは。前回、「少数株主としての戦い(利益相反の疑い)⑩」で、相手からの答弁書(反論)で利益相反行為の疑いが発見され、かまた、平成24年-26年の計算書類を入手することができました。利益相反行為により会社へ損害を与えた場合は、その取締役は特別背任罪(会社法960条)の刑事的背金を負う可能性があることを指摘しました。その利益相反行為(代表取締役X氏が自身所有の土地Bを会社に無断で売却)したことについて、さらに責任追及をするため、再度裁判所を通じて、その取引を行った経緯と土地の購入金額を開示するよう依頼しました。

代表取締役会社の土地模様

2.利益相反行為の責任追及

代表取締役X氏が所有する土地Bを会社に売却した事について、自己株式として購入する原資として土地A(飛び地)を売却することにより、商品の大量配送を必要としており、隣接する土地Bを会社が購入したとの説明であり、株主総会の決議(土地Bを購入することは承認していない、前社長の8,000株をX氏が購入する決議)もなし。
その点に対して、土地Bを誰からいくらでX氏が購入したのかについて裁判所を通じて、相手へ証拠と共に説明するよう依頼しました。

3.相手の主張崩壊

数週間後に相手から回答がありました。なんと、代表取締役X氏は、土地Bを会社に買い取らせる2年前に、近所の方から1,300万円で購入し、それを無断で会社に3,000万円近い金額で買い取らせていたのです。何とも無茶苦茶な。相手は、下記のような言い訳で締めくくられました。

  • 大量配送に備えて、会社が土地Bが必要だったこと

  • 会社の為を思ってやったので、いけないこととは知らなかったこと

  • 法的アドバイザーがいなかったこと

実際、後に計算書類等からわかるのですが、会社が土地Bを購入後売り上げも右肩下がりで下がっており(土地Bを購入する前の方が売り上げが大きいことからどういうこと?)、大量配送の理由は一切理由になっていないこと、法的アドバイザーは顧問税理士がいたことから、それは虚偽であることは自明でした。(顧問税理士が入れ知恵をした疑い)あれだけ、悪態をついて逆ギレをしていたけど、結局相手がすべて悪いことが明らかになりました。つまり、代表取締役X氏は、自身が所有する土地Bを無断で会社に倍の金額で売り付け、その利益をもって前社長の8,000株を取得したことが証拠と共に明らかになったということです。しかも、計画性もあり、その不都合な事実を隠ぺいするため、株主総会の議事録を偽造したりと悪質極まりないものでした。

4.申立ての取り下げ

相手の違法行為とその証拠を入手できたことから、最後裁判所に代理人である弁護士が招集されて、申立てを継続し、検査役を選任するかどうかを問われました。裁判官の心証や決定的な相手の違法行為の証拠を入手できたこと、早期解決をするため、取り下げが良いと判断しました。
裁判所も、代表取締役X氏に会社法のかなりの問題があったこともあるが、相手へ裁判外で解決するよう注意を促し、こちらの取り下げでこの検査役選任申立てが幕を閉じたのです。
この申し立てについては、完全私たちの勝利で終えること、つまり、相手の犯罪行為により、会社が不当支配されていることが明らかとなり、これで解決するのかと安心しておりました。。。。。

<今振り返って思うこと>
次の記事でお話ししますが、結果として、これが直接的に解決になることはにはなりませんでした。
ですので、このような申し立ては、裁判所の心証も大事ですが、申立てを実行し、白黒はっきりさせてください。今回の場合ですと、代表取締役X氏が前社長から8,000株を会社の資金を流用して自身の株として取得し、支配権を得たことに対して、その有効性を問う内容となります。というのは、取り下げしたとたん、相手の態度がガラッと変わって、約束を守ろうとしなくなったからです。相手は、モンスターだと思い情け容赦は一切いりません。徹底的に、法的手続きを進めて相手の責任追及することをお勧めします。

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