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【 #球春到来 】兵庫ブレイバーズ全体練習~心は熱く~

寒くても気持ちは熱く

2月4日、家を出る前に天気予報アプリで天気を調べると、8時台がマイナス3℃、9時台が0度という気温が表示されていた。
車を三田に走らせている途中に見えた気温計の表示も0度という状況だった。

そんな「近畿のシベリア」と言われる三田市。本拠地「アメニスキッピースタジアム」に通じる階段の横の植木にも霜が降りていた。

城山公園の植木に降りた霜

「でもまあ昨日とかに比べたら全然マシ。昨日は来た時に雪積もってたから。11時ぐらいになったら暖かくなってくるんやけどね」
監督3年目となる橋本大祐監督がスマホを見せて言った。

そんな環境ではあるが、1月から練習を始めていたこともあり、選手たちの動きはしっかりとしていた。

「久保(康友)の加入は大きいかな。今年42歳になるけど一番にグラウンドに来て練習前から走ってる。工宜なんかも刺激受けて早くから練習しているしね」

この日久保康友投手は練習を欠席していたので直接話を聞くことは叶わなかったが、効果は徐々に表れているようだ。

練習前に集まる選手たち
アップの様子

アップから大小の動きや緩急を組み合わせたダッシュを実施。
選手たちの吐く息は白かったが、しっかり汗をかいていた。

アップでダウンしかかった田渕航平捕手

キャプテン柏木寿志選手

練習の先頭を引っ張ったのは、3年目の柏木寿志選手だ。3年間で体はかなり大きくなり、存在感もひときわだった。

柏木寿志選手

「9時半からアップで!」「アップからしっかりやろう!」
今季からキャプテンとしてチームの先頭にも立つ。

「今季はみんな意識が高いなと思います。若くて元気のある選手が多いので今年は上位に行けそうだなと思っています」

柏木自身もオフ返上で1日1000スイングすることを続けている。

「今まではとにかく力強く振り回しているような感じだったんですが、ミートして飛ばすということが練習からできています。バッティングにも自信がつきました」

昨年ドラフト候補にあがり、リーグ2位の4本塁打を記録したが、打率は.263。木村豪コーチも「柏木はもっと数字を残せたら打線の軸にもなれる」と期待を寄せる。

「開幕戦でホームランを打ちたいなと思っています。今年は打率4割、ホームラン10本以上、40盗塁を目標にしています。最低でも4-4(4割40盗塁)ができればと思っています」

そのあと打撃練習では、引っ張るだけではなく、外角のボールを右中間に弾き返すなど、これまでにない器用な面も見せた。
また、後輩にも積極的にアドバイスをするなど、キャプテンとしての動きも垣間見えた。

田渕(右)にバッティングのアドバイスを伝える柏木

さらにレベルアップした柏木の姿が楽しみだ。

楽しみな投手陣

投手陣はA班とB班を分ける、という運用をしている橋本監督。
A班は主力組、B班は育成組といった形だ。なんせ投手だけでも現在18人登録されている。新加入の久保投手、過去2年実績を残している小笠原智一投手、西村太陽投手など、層は厚い。

新加入の投手の中で変わった経歴を持つ選手がいた。
染矢啓士郎投手だ。

チューブトレーニング中の染矢

社会人チーム・バイタルネットでは捕手として活躍。しかも4番を任されるなど、チームの中心として活躍していた選手だ。

しかし、「自分が受けていた『いいボール』を自分も投げてみたい」という思いから投手に転向。今季からの転向なのでまだ野手にも投げていない、これからの段階だ。

ブルペンの傾斜を使ってスローイングを試す染矢

ちなみに九州共立大時代は、かつて兵庫に在籍していた服部健太さんと同級生。今回の入団も服部さんのアドバイスもあったようだ。

「でも投手やってみて思いました。キャッチャーだった自分、結構ピッチャーに好き勝手言ってたなぁって」

投手になってみて思う苦労。しかし橋本監督は「面白いシュートを投げる」と一定の評価をしているようだ。

豊富な投手陣に割って入ることができるか、注目してほしい。

そしてもう一人、工宜投手がブルペンでキャッチャーを立たせた状態で50球を投げ込んだ。

ブルペンで投げ込む工宜

指にできた疣の切除を行うなど、昨年は2試合にとどまったが、指の状態は良好。この日はボールを受けた田渕やブルペンを見ていた橋本監督が驚くほどボールに力があった。低い位置から投げ込まれるボールはホップするように伸びていった。

「アンダースローになってようやく慣れてきたと思います。ボールも去年より強くなったことを実感しています。もっともっと投げ込んでいきたいと思います」

同じNPB出身の久保投手とも話をして刺激を受けているようだった。
「日本ではこうだけどメキシコだったらこうだった、というような話もします。練習一つ一つ僕らと同じようにやっているので見習っていきたいなと思います」

工宜が見据えるのはNPBへの復帰。
「1日でも早く復帰できるように、7月末の期限までに戻れるように開幕からフル回転していきます」

投げ込みの後、橋本監督と話し込む工宜

起用法はまだ未定だが、与えられた場所でフル回転し、アピールしていく。

また、橋本監督がもう一人の名前を挙げた。
「(山科)颯太郎がいい感じやった。あとは打者に投げさせてどうなるかやな」

ランメニューのポール間走では終始余裕の表情で走り抜けた。

3年目の山科

昨年防御率が38.57と大荒れしてしまったが、もともと持っているポテンシャルや体力は誰もが認めるもの。

激しい走り込みで選手たちがへたり込んでいる中、この表情だ。

「ちょっと1年目の自信あるときのしゃべり方に戻ってきたな」とは橋本監督の評。あとはマウンドで結果を残すだけだ。

練習を終えて

橋本監督、木村コーチが口をそろえて言うのが「打線の軸がいない」だ。
昨年は最初から「神吉亮太を4番にしよう」と決めていた。柏木も軸にはなりうるが、適正として4番に据えるのか1番に据えるかなどはまだ決まっていない。

「打撃練習とかも、ボールを場外まで何度も拾いに行かないといけないぐらい飛ばす選手とかがいてくれたらいいけどね。脚の速い選手は柏木を筆頭に山崎(照英)もいるし、投手も守りも悪く無い。現状は守り勝っていくチームになっていくかな」

橋本監督は練習終了後には野手陣に「スイングスピードを意識して振り込むように」と注文を付けた。
投手陣にも「堺シュライクスや06ブルズにBCリーグや四国ILからの移籍組がやってきている。ストレートで抑えられればいいけれども、それだけじゃ抑えられないケースも出てくる。どうやって抑えられるかしっかり考えながら練習に取り組んでほしい」と練習に臨む姿勢を改めて示した。

今より少し暖かくなるころに、どんなチームに仕上がってきているか、楽しみだ。

#球春到来  

(文・写真 SAZZY 取材日:2月4日)


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