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【06ブルズ】田中時織が感じた「見られていること」と「指2本分の差」

選抜チームで感じたこと

9月12日、田中時織はリーグ選抜チームの一員としてオリックス・バファローズとの試合に臨んでいた。

先頭打者として入った1打席目はセンターフライ。相手投手のボールの勢いに圧された。

「1打席目勢いに負けて打ち損じてしまって……同じことをしちゃだめだと思って次の打席に立ちました」

長さにして指二本分。ほんの少しだけバットを短くして持った。振りぬいた打球は打ち負けることなくレフトの頭上を越えた。俊足を飛ばして一気に三塁に到達。この試合唯一の打点を挙げた。

ただし、この結果には悔しさがあった。

「普段通りバットを長く持って打ちたかったですね」

少し感じた力の差。微差ではあるが、今後の課題になっていくであろうポイントだ。

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(9月12日 オリックス戦で打席に立つ田中。バットを少し短く持っている。撮影:仲木威雄)

下を向くな みんなが見ている

「守備範囲がアピールポイント」という田中。シーズンが進むにつれてセカンドの守備範囲がかなり広くなった。定位置から離れた打球にも追いつき、しっかりアウトにする。

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(田中のセカンドの守備。二塁ベース際までしっかり追いつきアウトにする)

シーズン当初と大きく変わった守備の動きに田中はこう答えた。
「見られているという意識が変わってきました」

ある日の試合、田中は送りバントのサインが出た。
しかし結果はスリーバント失敗の三振。
「やってしまった」という表情を見せ、田中は天を仰いだあと肩を落としてベンチに帰っていった。

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(バントを失敗した田中)

その試合後、ミーティングで桜井広大監督は野手を集めてこう説いた。

「ミスはあるよ。エラーも、バントの失敗も。でもそこで下を向いたら、こういう言うのは目に見えるものではないけれど、どんどんチーム内に伝染していく。もちろんその姿はファンの方も見ている。下を向いている選手を応援しようとは思ってくれない。しっかり前を向いてやっていこう」

少しずつ変わっていった。守備面では、多少の打球が二遊間を抜けなくなってきた。バッティングもクリーンナップにつなげるために振り切るようになった。

「本当は調子がいいときは反対方向に打球が行ってくれるんですけど」とは田中の談だが、後ろに川崎皇翔、孫入優希ら打撃に定評のある打者が控えているだけに、田中の役割は大きい。

そうしていく中でNPBのスカウトも田中に注目するようになっていった。

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走塁面でも、9月21日の試合では初回に四球で出塁。すかさず二塁へ盗塁を決め、送りバントの後、1死一三塁の場面となった際にダブルスチールを敢行。脚で1点をもぎ取った。

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「自分の長所は脚の速さと守備範囲、そして反対方向へのバッティングだと思っています。バッティングは意図的に流せるようにしていきたいです。シーズンも佳境ですがこのあとも勝利に貢献していきたいです」

付け加えると長打も打てる。振り切った打球がひとたび外野を超えると三塁まで悠々到達できる。ホームランも記録している。この打球を「NPB相手にバットを長くして打つ」ことが課題となる。

ここにきてチームは連敗。怪我人も出ている。しかし首位とのゲーム差はまだそこまで広がっていない。逆転優勝へ、そして自身のNPB入りへ、ラストスパートをかけていく。

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(取材日:9月16日、9月18日、9月21日 SAZZY)

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