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カサンドラ症候群2 発達障害とはどんなものか?


発達障害とグレーゾーン、そしてその家族やパートナーが陥る『カサンドラ症候群』について、カウンセリングをしている神田裕子です。

前回は、カサンドラ症候群とは何か?について述べました。今日は、そのご家族やパートナーにどのような障害があるのか、『発達障害』について書いていきます。

カウンセリングに来られる方にも二通りあって、発達障害の特性によって生きづらさを抱えている当事者の立場がひとつ、そしてその家族やパートナー、さらには企業・組織の上司や同僚が悩みを語りに来られるのが二つ目です。

これは、厚生労働省が発表している『こころの病気を知る』のページです

ここに書いてあることは、当事者ならびにそのご家族・パートナーにとっては、十分に理解していることでもあります。でも、対処方法が個々の特性によってかなり隔たりがあるので、一概には「こうしたらよい」と言えない点について今後どうするかが課題となります。また、当事者はそうとしかできないつらさを抱えていること、でもそのために、周囲は確実に疲弊していくことを考えると、早急に対策を講じなくてはいけないのです。

発達障害は、生まれつき生じる脳の働き方の違いです。幼少のうちから、おそらくは行動面や情緒面に、特徴があると言われています。大人になってからも生きづらさを感じることがあります。でも、家族や友人、職場の同僚が見守りながらサポ―トしてくれると、特性を活かした人生を送ることができるのです。

発達障害の種類は、次の通りです。

●自閉スペクトラム症とは・・

コミュニケーションの場面で、

①言葉や視線表情・身振りなどを用いて相互的にやりとりをしたり、自分の気持ちを伝えること、相手の気持ちを読み取ることが苦手です。

②また、特定のことに対して、関心やこだわりが強いです。

③さらに、感覚の過敏さ(五感のどれかが極端に敏感)を持ち合わせていることもあります。

●注意欠如多動症(ADHD)とは・・

ADHDの有病率は、だいたい学童期の小児(小学生くらいまで)の3~7%くらいではないかと考えられています。そして、ADHDと診断された子どもたちの脳の状態は、「前頭葉」や「線条体」と呼ばれる部位の「ドーパミン」の機能障害が想定されます。この点では、遺伝的要因も関連しているのではないかとも言われています。

ADHDの診断については、米国精神医学会のDSM-5に記載されていますが、次の条件が全て満たされたときにADHDと診断されます。

①「不注意(活動に集中できない・気が散りやすい・物をなくしやすい・順序だてて活動に取り組めないなど)」と「多動-衝動性(じっとしていられない・静かに遊べない・待つことが苦手で他人のじゃまをしてしまうなど)」が同程度の年齢の発達水準に比べてより頻繁に強く認められること

②症状のいくつかが12歳以前より認められること

③2つ以上の状況において(家庭、学校、職場、その他の活動中など)障害となっていること

④発達に応じた対人関係や学業的・職業的な機能が障害されていること
その症状が、統合失調症、または他の精神病性障害の経過中に起こるものではなく、他の精神疾患ではうまく説明されないこと

このように、ADHDの診断は、医師の診察で観察された行動上の特徴に基づいて行われています。ですから、”それ単独で診断ができる”ような確固たる医学的検査ではないのです。ここで診断に迷うのは、一部の神経疾患・身体疾患・虐待・不安定な子育て環境は、たまに「ADHDそっくりの症状」を子どもに引き起こす可能性があることです。医療機関の紹介や、小児科・小児神経科・児童精神科医師による医学的評価にはばらつきがあることを考えると慎重にならざるを得ません。

次のチェックリストをしてみましょう!

■活動していないと落ち着かず、家で座って静かに過ごしていること(本を読んだり、テレビを見たり)ができない。
■注意力や集中力に欠けるため、他人と話していても話の筋を追えなかったり、内容を忘れたりする。そのために、面と向かって話しかけているのに、話を聞いていないような様子に見えると他人にしばしば指摘される。
■単調な仕事や読書、計算を持続することが苦痛である。
約束の時間に遅れたり、約束を忘れたり、締め切りに間に合わなかったりすることが多い。
■仕事や家事などの課題を遂行できず、途中で投げ出してしまう。
■短気で、些細なことで自分を見失い、しばしば爆発的に怒ってしまう。
■鍵や財布など生活・仕事の必需品を頻繁に紛失する。
■騒音や雑音があると、すぐに注意が散漫になる。
■しばしば他人の質問をさえぎって、一方的にしゃべりだしてしまう。

             (仙台マドレクリニックWEBページ参照)

オトナの発達障害の場合→

計画的に物事を進められない、そわそわとして落ち着かない、他のことを考えてしまう、感情のコントロールが難しい、などの症状の現れ方がきっかけとなって来所されます。女性に多いのは、不安や気分の落ち込み、気分の波などについて自分でコントロールできないつらさからお越しになります。

●学習症(学習障害)とは・・

知的発達には問題がないのに、読む・書く・計算するなど、特定の事柄のみが難しい状態を指し、学業成績や日常生活に困難が生じるのです。

●チック症や吃音とは

まずチック症とは、①まばたきや顔をしかめる、口をゆがめる・とがらせる、舌を突き出す、鼻をピクピクさせる、首を左右に振る、といった動作性の症状(運動チック)、②咳払いや鼻・舌を鳴らす叫び、単語を連発する、などの音声性の症状(音声チック)に分類されます。

吃音というのは、いわゆる”どもり”のことです。話し言葉が滑らかに出ないという「発話障害」の一つです。

例えば

■音のくりかえし(連発)「ほ、ほ、本」
■引き伸ばし(伸発)「ほーーーん」
■発語せずに間があいてしまう(難発・ブロック)「・・・・ほん」


以上のような症状をまとめて発達障害と言います。

ただ、どれにもきっちり当てはめられない場合もあります。グレーゾーンと呼ばれる「どこからどこまでそうであると言うことができる・できない」個人差もそうですし、発達障害がいくつか重なって特性を持つこともあります。

さて、では社会生活を送るうえで、どんなふうな生きづらさをもつのでしょう?

自閉的な傾向がある人は、とにかく無口です。ですから、”そういうものだ”とわかっていないと、

「なぜ返事すらしてくれないの?」

という不満を周りから持たれることになります。また、叱られたり、ケンカをしたとしても、

「ここだけは譲れない」「あれだけは許せない」

という”根に持つ部分”さえ除けば、なぜかすぐにケロリとして何事もなかったかのような行動をします。ケンカ相手からすると、

「あれだけ怒っていたのに、何?この態度・対応は‥」

と不思議に思うでしょう。ミスをしたその場では、本当に申し訳ないと思っているのです。でもそれを忘れて、1か月後には同じミスを繰り返してしまう、なんてこともあるのです。そうすると周りからは、

「また?懲りないね…」

と思われます。

こんなふうに誤解を受けやすい・・これは、性格が悪いのではなく、(むしろ良すぎるのですが)常識がわからない、空気を読めない、忘れっぽい、という特性によるものと言えます。周りの理解を必要とするのは、そういったことからです。

一方で彼ら・彼女らは、とても忍耐強いのです。

例えば、好きなことであれば同じ作業を何時間でもし続けます。さきほどの”叱られる”についても、定型発達の人からすると凹んでしまいそうな「あんなにきついこと」を言われていても平気なのです。周りからバカにされているのがわからないのかな?と思われそうなことでも、当の本人は意外と平気です。ケンカをしても叱られても、次の日にはいつも通り「おはようございます!^^」と元気よく挨拶するのです。そうすると叱る方としても「叱っても叱ってもついてくる人はかわいい」の言葉通りで、発達障害を抱える人は、得意先からご指名で呼び出されるくらい好かれることもあるのです。

追記ながら、キャリアカウンセリングで実施する「適性検査」にも触れましょう。私はどこまで発達障害の人の傾向をつかんでくれるものか・・と、ほんの少し懐疑的です。

能力のデコボコは結果として出るでしょう。でも、それ以外に見られるその人の「良さ・らしさ」というオリジナリティが、残念ながらそれほど表現されないように思うのです。心理検査の限界、そして今後はAIの限界にも通じるように思います。人の心は、AIによって替わることは可能か?という質問にあくまでも「NO!」と言いたいのです。それが能力だけではなく、発達障害を抱える人たちのピュアさまでも測ることのできるものであってほしいです。

あ、私が使う「あなたの周りの困ったちゃん」とは、発達障害の人たちを言っていることもありますが、それ以外にもパーソナリティ障害があるのです。最近気づきましたが、SNSでは「モラ夫」という表現で発達障害のあるパートナーを称しています。でも、果たしてそうとしかできない発達障害なのか、それとも、性格が著しく偏りを持つ器用でずるがしこいパーソナリティ障害の人が起こしているモラル・ハラスメントなのか、がはっきりしません。そこを区別したいと考えています。


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