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chapter 1-1: 始まりの朝に


これは夢だ、そう自分が自分に告げる。

目に映るまるで靄がかかった様に彩度の低い光景も、壁を一枚挟んだように弱く反響しながら聞こえてくる声も、そのどれもがここが現実ではないとオレに告げていた。
そう、これは夢だ。オレはこの景色を知っている。
16歳のクリスマスイブイブ、雪はない。吐く息をことごとく白く染める。肌を刺すような冷たい季節、だがこの場所だけは季節が入れ替わったような錯覚を覚えた。この会場だけは汗がにじむ様な熱さがあり、そのステージは人々の熱狂に包まれていた。

——女神がいた。

視線の先には女神たちが闇夜に光のラインを描きながら駆けまわっている。夏に引き続き、開催される冬のエアリアルソニック――エースの全国大会、その決勝の舞台で、彼女達は夜空の星のような輝きを放っている。

――少女は、オレの親友で幼馴染で……その少女はその熱狂の中心で一際大きな輝きを放ち、人々の視線を集める。
ほんの数年前、オレと少女にとってそこは夢の世界だった。そんな夢のステージで彼女は誰よりも眩しい輝きを放つ。まるで小説の主人公のように、映画のヒロインのように、最高速で栄光の階段を翔け上がっていく。それは神話のような光景だった。この世界に本当に女神(ヴィーナス)がいるならば、彼女こそがそうなのだと、そう思った。
光の粒が雪のように降り注ぐ、ただただ美しいその光景だけが印象に残っている。試合内容はもう覚えていない。そう、気が付いたら栄光は彼女の、彼女達の頭上に輝いていた。あまりに圧倒的だったのだろう。試合の顛末がどうにも思い出せない。
そんなあまりにも鮮やかで美しい記憶の中で、最後に覚えているのは試合を終えた彼女が、チームメイトの元へと駆け寄ってくるシーン。誰もが歓喜の声を上げ、鳴りやまぬ拍手が響きわたる栄光のそのウィニングロードの先で――彼女を待っているのは、オレじゃない。オレじゃなかった。
彼女と、よく知る少年の2人が、祝福の輪の中心にいる。誰もが称賛を惜しまない。光り輝くスポットライトの下に2人はいる。オレの姿はこの場にいる誰に眼にも映っていない。歓喜の円の外側、越えられない壁の向こう。その光景を見ていた雑踏の1人――それが自分だ。その物語のどこにも自分の居場所はない――名前のない登場人物、その物語の中でのオレは無色透明の――


  * * * *


――視界は真っ暗だ。

筋張った感じで首が少し痛む、嫌な目覚めだ。目を閉じているから、とかそんな暗さではなく、目の前の遮蔽物によって外界の光から遮断された完全な黒の世界。ピピピというシンプルな電子音が頭のすぐそばで鳴り響いている。毎日自動セットになっているアラームだった。
オレは側頭部のやや後よりのところに両手をかける。右手の指先の感覚でスイッチを特定すると軽く押し込むと、小さくカチッとボタン音がする。すると真っ黒だった視界が一瞬白く飛んだように明るくなり、そうして見慣れた自室の景色へと変わった。先ほどまで画面であったはずの眼前のディスプレイは景色を透過するクリアモニタへとその姿を変えている。そのまま指先の感覚で顎のあたりで止められていたセーフティロックを外すと頭部を覆っていたそのヘッドギアを外す。軽く髪の毛のゴミを払い落しながら、外したヘッドギア――ヘッドマウントインターフェースをテーブルに無作為に置いた。

インターネットへの接続ツールとしては比較的一般に知られるレベルにはなってきているヘッドギアタイプのモニターだが、まだまだ須らくご家庭に普及しているとは言い難い。別にモニターという事であれば20世紀から存在する基本的な平面ディスプレイでまったく問題がないのだ(加えて大量生産品は安いのだ)
体感型アトラクションゲームなど人をよりその仮想世界に没頭させるためのインターフェースであり、愛用者の多くはゲームプレイヤーといった感じである。
昨晩ネットゲームをしていた所までは覚えている。そうか、こんなものを装着したまま気が付いたら寝落ちしていたらしい。無理な姿勢で寝ていたからだろう、首を左に傾けると引っ張られるような痛みがはしる。
夢を見るなんて久しぶりだった。
でもなんで今さらあんな過去の夢をみたんだろう……

『オハヨウゴザイマス、ゲームシナガラ寝落チトハイイ御身分デスネ』
人の声ではない、明らかに機械が生成した無機質な声がする。どことなく少年のような、少女のような、そういった幼さを感じさせるが決して人のものとは思えない声。だが声はするが視界の先――見慣れた部屋にも、その先に続く廊下と玄関を見てもその人影が見当たらない。白の壁紙に明るめの木目フローリングという可もなく不可もなくといった様相の長方形7畳のワンルームマンションの1室。下がクローゼットと机になっている機能型2段ベッドを置いてしまうと、後は脇にコタツにもなる膝丈ほどの正方テーブルと座椅子くらいでもうスペース的には限界、しかしながら1人暮らしには十分な部屋である。

今オレがいるのが長方形の部屋でいうと一番奥――部屋の幅と同じサイズのベランダへ通じるサッシ窓の手前にテーブルと座椅子を置いている。部屋に1つある扉の先には短めの廊下、キッチンも廊下に備え付けてあるだけで独立はしていない。バスルームとトイレが別である事はちょっとした価値には違いないが、とにかく玄関からこの部屋まで、見取り図で捉えればどこにでもありそうな物件だ。

そんなごく一般的なワンルーム、当然オレは1人暮らし。じゃあさっきの声はなんなのかというと……

『デモ余暇ヲ、家デネットゲームヲシテ過ゴスノハ青春的デハアリマセンネ』
再び聞こえてきた声は先ほど脱いだヘッドギアから聞こえてくる。
「オレがどう過ごしたっていいだろ別に」
オレはヘッドギアを軽くコツンと右の甲で叩く。机の上に無造作に置かれていたヘッドギアのバランスがその衝撃で変わって、カタンと音を鳴らしてズレた。インターネット端末でもあるヘッドギアからの声、ネットの先にいる友人との会話チャットもこのヘッドギアを使えばもちろん可能だ。
だけど、これはネットの向こうの誰かの声ではない。先ほどまでヘッドギアから聞こえていたはずの声が、今度はテーブルの上にあるフラットな板状のデバイスから聞こえてきた。
『世間デハ、ゴールデンウィークハ行楽デ過ゴスモノダト、記憶領域ニアーカイブサレテイマス』
「うるさいな。そういうのはメディアが作ったトレンドでしかないんだっての」

オレは答えながら、声がするその端末を手にした。

カテゴリ的にはタブレット型端末と呼ばれる板状のデバイス、5インチ程度の片手に収まるそれは電話やインターネット機能に加えて、電子マネーや身分証明にもなるというマルチタスクな――生徒手帳だ。真っ暗な画面の側面部についている物理ボタンを押すと、誤操作をロックするための画面が現れる。

――桜山学園高等学校2年 神谷野翼(かみやのつばさ)

画面中央には学校の校章と共に、持ち主である自分の名前と学年が表示されている。学生証としての意味もあるため、ロック画面にも持ち主や学校名が表示される仕様なのだ(もちろん個人情報はロックを解除しなければ見れないわけだが)パスコードによるロックを解除する。すると様々なアプリケーションのアイコンがアレイ状に規則正しく並ぶホーム画面が開く。
電話や連絡用のメッセージ送受信に、メディア関連など――特段変わったアプリケーションは入れていない。そんな端末の画面を見ると、通知が1件、学校からの連絡事項などの情報が届くメッセージツールが起動していた。授業の変更や、部活の大会情報などが通知されてくるアプリケーションだ。とりあえず画面をタッチするとポップアップが起動した。
――学校周辺情報――
地域情報として、警察からの注意事項が書いてあった。結構頻繁に来る安全啓蒙の情報だ。交通安全週間であったり、安全な登下校の徹底など。めんどくさい感じだ、と思いながら軽く眺めておく。最近は高齢者や子供をターゲットにしたひったくりへの注意、というのがトピックスになっていた。とりあえず軽く眺めた後に、メッセージアプリをオフにする。その端末は学校から支給されている事もあって、セーフティも働いており何をインストールしたのか把握されるため、あまり変わったものをインストール出来ない事もある。だが、そんな特段変わり映えのしない画面が、手にした少年に向かって話しかけてくる。

『午後ノ1時ヲ回ッテイマス。昼食モマダデハアリマセンカ?』
「別にいいよ、そんなお腹すいてないしさ」
『コンビニマデ行キマスカ?』
「だからいいって。冷蔵庫になにかあった気がするし」

もしここに人の目があればハンズフリーで誰かと電話をしているようにしかみえないだろう。しかし電話はしていない、間違いなくオレはこの端末自身と話をしているのだ。
「そろそろ出てきたらどうだ、ファイ」
オレが端末へと呼びかけると、画面の左の方からひょこっと、3頭身程度のキャラクターが顔をのぞかせた。誰が見ても明らかにロボットだと分かる、そんなデザイン。4足のローラー付きの足に、モノアイを装着した円柱型のヘッド&ボディパーツ。

コイツはナビゲーションプログラム、簡単に言えばAIだ。ナビ自体はほとんどすべてのデバイスに搭載されているプログラムだ。ヘルプであったり、音声入力であったり、複雑化した機器操作を簡単にするためのインターフェース。オレがこの端末にインストールした数少ない外部プログラムの1つである。

業務用であれば姿かたちのない簡素なものも多いが、学生であればクマやイヌなど仮想ペットとしての遊びを付与させたナビプログラムが人気で、ナビのためのスキン――洋服やメイクで着飾るなどして自分専用のナビを楽しんでいる。
まぁ自分のそれは、ロボットらしいロボットのスキンで、ペットというよりは作業用ロボット。そのほとんどは初期値のものか、ダウンロード販売で売られているものを使っているが、オレの生徒手帳をうろついていたAIはオレ自身がプログラミングした自作のAIだ。ファイという名前の由来は、当時自分がΦ(ファイ)というギリシャ文字を妙に気にいっていたので。ネットに転がっていたオープンソースを元に、自立プログラム(自分の意思)を持って成長するナビとして、中学生の頃に興味本位で組み上げてみたのだ。当初はただのナビゲーションでしかなかったが徐々に単語や人間を学習し、今では一般的な会話くらいは可能な所まで思考を学習しており、時折人間のようなふるまいを見せている。自我を持たせない方がシンプルでよかったかなと思う事もあるが、ガチャガチャと話しかけてくれる【友人】がいる方が必要以上に内に籠らずに済むのかな、と1人暮らしを始めてから思うようになってきた。

『人生ノ無駄遣イ。ダラダラト時間ヲ浪費スルダケノ日々デアナタハ幸セデスカ?』

――訂正。やっぱりこいつ、リブートしようか。
オレは端末をテーブルに置くと、画面表示の切り替え操作――設定画面をタップした。すると画面上にいたキャラクターが3D表示というべきか、モニターの上に浮かび上がるようにして飛び出した。まるでテーブルの上に本当にそのキャラクターがいるかのように、空中に立体表示される。先ほどまで画面上を歩いていたキャラクターはキョロキョロと周囲を確認するように(実際は見えていないから意味のない動きのはずだが)視線を動かすとこちらへと向き直る。
『オッ? 昼御飯デスカ?』
「大したものはなかったはずだけどな」
その場から立ちあがると、長く座ったままゲームに没入していたからだろう、自然と体を上に向けて伸ばしていた。体を伸ばすと頭の先からスッと血が足元へと降りていくような感覚があって、意識が少しはっきりしてきた。唯一の部屋から短い廊下へと続く扉を開ける。扉を開けてすぐ左手に備え付けのミニキッチンがある。電気式のコンロが一口に、こちらも小さめのシンク台、一般的なキッチンセットといった所だ。足元には食器類が入れてある戸棚と、備え付けの小さな冷蔵庫、容量はホテルなどについているものと同じレベルで全然保存できないが、コンビニもスーパーマーケットも近いし、お茶さえ冷やしておければ構わないのであまり困ったりはしていない。そんな小さな冷蔵庫から、昨日買っておいて、食べなかった「ぶっかけうどん」とかいうパッケージを取り出した。
『一体ナンデスカ、ソレハ?』
テーブルに戻ってパッケージの包装を外しているとファイが気になったのか声をかけてくる。
「これはかけうどん、のお手軽商品。うどんに付属のめんつゆと天カスやネギをぶっかけたら食べられるんだよ」
『ブッカケウドン……アーカイブ検索……カテゴリ・インスタントヌードル……』
昨日の夜に買いだしに行った時、なんとなくいつでも食べられそうだと思って買っておいたが、これならお昼にちょうどいい。そう思って割り箸で麺をほぐしていると……

『コール。翼、電話デス』
ファイが通知すると同時に、端末下部のライトが白く点滅する。
オレに外部から連絡? なんだろう、そんな電話がかかってくるような知り合いはいないはずだけど――
「誰から?」
端末を手にする事なく、ファイへ話しかけるようにして対応する。
『藤沼絵美里(ふじぬまえみり)、クラスメイトデス』
――絵美里か、でもなんで。
『ドウシマスカ?』
「……分かった、繋いで」
『リョウカイ』

プツン、と音声入力が切り替わる際の切断ノイズがあって、まもなく電話が繋がった。
「あ、もしもし翼? 今大丈夫?」
電話越しに同級生である絵美里の声が届く。後ろの方で少し雑音がする。人の声、歓声のような……そんな音。
「大丈夫、ぶっかけうどん食べてたところだけど」
「はぁ? 今頃昼ごはんなの? 1時過ぎてるじゃん、ちょっと遅くない?」
「ちょっと色々あってさ」
「色々って何よ……もしかして単にゲームやってて寝落ちした挙句、昼前になってようやく目が覚めたとか、そんなレベルの話じゃないの?」
ぐっ……こいつ、オレの事をどこかから見てたのか? 当たりすぎていて返す刀がない。
「まぁ、そんな事はいいわ」
絵美里はそれまでの話をリセットするかのように一旦話題をぶった切ると
「それよりどうせヒマしてるでしょ? ちょっと出てきなさいよ」
そう続けた。
「どうせってのは心外だけど、出てこいって……どこにいつ?」
「学校に、いまから」
今からは予想出来たんだが、行き先が学校というのは考えていなかったため意表をつかれた。
「はぁ? なんで休みなのに学校に行かなきゃいけないんだよ?」
「今日さ、ウチのグラウンドでサッカー部の練習試合やってんのよ。相手は前回の神奈川県ベスト4だから相当強いんだけどね」
絵美里の後ろから人の声がしていた事に合点がいった。サッカーの試合の応援をしている生徒が沢山いるんだろう。
「なんとウチのクラスから大野と杉山の2人が先発で出ててさ。結構いい試合すると思うんだ。アイツら結構やるんだよ」
同級生という事は、その2人は2年生でサッカー部のレギュラーなのか、それとも練習試合だから試されているのか。どちらにしてもクラスメイトがその試合に出ているのなら応援したくなる気持ちはわかる。だけど名前を言われても、パッとその顔が思い浮かばない。
「……あ、翼。さては名前と顔が一致してないな」
思案で生じた間に対して、絵美里はこちらの不体裁を読み取るとすぐにそれを指摘する。
「しょうがないだろ、オレその学校に転入してまだ1カ月しか経ってないんだから」

そう、オレが桜山学園に転入をしたのはこの春――4月の事だ。
ちょうど2年生の始まりという事で、区切りとしては綺麗だったのではないか、と思っている。クラス替えもあったので他のクラスメイトもみんながみんな知り合いという事はなかったはずなのだが、それでも1年間の経験の蓄積は貴重なものらしい。ある程度みんな顔と名前が一致するところからスタートしている在校生らに対して、完全にゼロからのスタートとなったオレとは比べ物にならない差が1カ月の間に生じていた。
「いいや、1カ月も経ったのに全然クラスに溶け込めていない翼に問題があるんだよ。クラスでも私と……あとはカメくらいしかまともに話してるの見かけないけど」
確かに絵美里が言うとおり、あまりクラスメイトとは話が出来ていないかもしれない。

絵美里はさらに語気を強めて
「こういう時がチャンスなんだって。スポーツとか一緒に熱くなれるなにかを観戦しながら、盛り上がって話しているうちに友達100人できるかな、みたいな」
「クラスどころが学年に100人もいないだろ。ただでさえ少子化で生徒不足してる学校多いのに」
「アホか。たとえでしょたとえ。揚げ足取りなんてしてたらクラスの女の子と全然仲良くなれないよ~」
「なんで女の子限定なんだよ」
「えっ!? ……翼くんって男の子もいけるの?」
「アホか。分かってて言ってるだろ」
別にオレがクラスのメンバーと仲良くなりたい、なんて絵美里に頼んだ事はないし、そもそもそういう空気を出した事もないはずだ。
この1カ月は初めての1人暮らしという事もあって、生活のリズムに慣れるだけでなかなかに大変だった。そんな中でこうやって気を使ってくれる絵美里の存在はありがたいことだとは思う。
――だけど。
「でもさ、サッカーのルールよく分かんないんだけど」
「はぁ? サッカー知らないの? 男なのに?」
「サッカーは知ってるけど、コーナーキックとかオフサイドとかニュースで何を言ってるのかよく分かってない」
サッカーだけじゃない、野球もルールはよく分かっていない。単に勉強不足というか、それらに触れる機会が少なかったからというのもあってスポーツ全般知識が足りていない自負はあった。
「はぁ、もう……ルールとかもちゃんと教えてあげるから、とにかく早く来なさいよ。試合終わっちゃう前に絶対に来なさいよね! できる限り早く! ってかもう5分以内に!」
バツンッ、と乱暴に切れる音がした……様な気がした。実際に聞こえていたはずの電子音は静かなものなので気分的な錯覚なのだろう。

『――通話終了シマシタ』
明らかにわざと機械っぽい無機質な声で、ファイが通話が終了した事を告げる。ファイは画面上で両手を頭部の後ろに回しながらニヤリと口角を上げて、続けて
『ドウスルノデスカ、行クノデス?』
「そもそも5分で学校まで行けると思う?」
『ソレハ絶対ニ無理デスネ』
オレの住まいから学校までは自転車で20分はかかる距離、どんな手段を使うのか分からないけど出かける準備込みで5分なんてのはちょっと無理があった。
「――だよね。で、どうするのがいいと思う?」
AIであるファイにそんな事を聞くのはどうかとも思うが、オレは回答を先延ばしにするために問い返す。

『アーカイブ検索・最適解算出……終了。行クベキ、デス。翼ノ事ヲ考エテ連絡シテキタ絵美里ニ気ヲ使ッテオク方ガ得。加エテ、ドンナコミュニティデモ、トリアエズ早メニ周囲ノ人間ト、【表面上】ダケデモ馴染ンデオイタ方ガ得策、ト出マシタ』
「何それ嫌な結果だな。それってファイの意見?」
『確率統計ニ基ヅク、シミュレーションノ結果デス』

ナビゲーションプログラムのファイが言うならそれで間違いないんだろう。

なぜか深いため息が出たが、とりあえずオレは食べかけのぶっかけうどんを早々に胃袋へと流しこんだ。

chapter.1-1 (終)

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