第27話 あんころ餅と母の名言|2021年9月
乳児の一挙一動は、見る人の心をなごませる。もうすぐ二歳になる繋(つなぐ)は、公園中の視線を集めて、小さな体であやういバランスで歩いていた。よちよちという擬態語がぴったりだったが、よちよち歩きではあっても、その動きは活発だ。草の前にしゃがみこんだり、立ち上がって歩き出したり。少しでも目を離すとどこかへ行ってしまいそうだ。
(幸彦と全然違う)
と、真紀は思った。真紀の人生で始めに出会った赤ん坊は、妹の果穂だった。自分の子が生まれたときには、同じ赤ん坊でも全然違うと思ったが