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カナヅチ猫
2022年2月22日 18:15
(最初から読む)(前のお話) ずいぶん長く眠ったように感じたが、早朝に目が覚めた。「おはよ」 完全な寝起きではない声色の京佳さんが、口の中だけであくびをする。「外はもう明るい。早いけど、僕はもう行かなくちゃ」 口で言ってはみたが、昨日見た自分の部屋の光景を思うと、動く気力が湧いてこない。水が引いてからそろそろ丸一日になる。時間とともに、汚らしい床が干からびていく様子まで想像できる。