マガジンのカバー画像

小さなお話たち

7
さらっと読める小さなお話
運営しているクリエイター

記事一覧

【短編小説】少女はヤギの夢をみる

「お母さん! ヤギにする!」 学校から帰ってくるなり、玄関から大声で小学校一年生の娘、皐…

sammy
5か月前
8

【短編小説】重い鞄

                      「雨の日ってキライよ。じめじめして、髪の形は…

sammy
6か月前
2

【短編小説】赤い実

  ありきたりな毎日。時計の音を恨みながら目覚め、電車に詰め込まれ、会社に通う。文字通り…

sammy
6か月前
4

【短編小説】すべては忘却の彼方

 俺は幼いころから物覚えが悪い。いや、悪いというより、記憶力が無い。  物心ついたとき、…

sammy
6か月前
4

【短編】言わぬが花

※落語っぽい会話文での話です  一、 「おやぶーーーん! てぇへんだてぇへんだ!」 「ま…

sammy
6か月前
6

短編小説 「掌-てのひら-」

小さな白い 「どこにも行かないから。ここにいるから」と、女は言った。そんなこと頼んでいな…

sammy
6か月前
6

クリスマスはもうこない

-1- 「ご飯だから、お母さん呼んできて」  お祖母ちゃんは、流しのほう向いてボクには背を向けたまま言った。ボクはさっきから見たいテレビが無くて、忙しくチャンネルを変えたりしていた。 「テレビを見ないなら消しなさいよ。ご飯だし」 「うん……でも、コレが終わったら見たかったのやるから……」と、答える。テレビを切ってしまったあとの真っ黒な画面がボクはちょっと怖い。今までそんなこと思ったこと無かったのだけど、静かな家の中で、テレビ画面だけがボクを見ていてくれているような気がする