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助けられたのは私です

講演させてもらいました

先日、宇佐更生保護女性会の研修会で講演をさせていただきました。
更生保護女性会というのは、非行や犯罪に陥った人の立ち直りの支援を行うことを目的とした女性組織です。
私が、元刑務官で現在保護司なので、現場での経験と更生保護について話して欲しいというご依頼をいただきました。
私は、刑務所職員としてかなり変わった経歴を持っていて、刑務官の99パーセント以上が所属する保安警備関係業務の経験が極端に少なく、職業訓練や作業、教育など、それに社会復帰に関する仕事を主にやってきました。
その関係で、更生保護婦人会や保護司などの方と会う機会に恵まれていました。
なので、お役に立てるお話もできるのではないかと引き受けさせていただいたのです。

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ここでも紙芝居www

とは言っても、現在は絵本屋で、紙芝居師でもありますので、普通の講演会にはなりません。
私の経験を元に作ったお話に、豊後高田の美術教室アトリエアルテさんが絵をつけてくれた紙芝居から講演をスタートさせました。

このお話は、note でも書いてますので、ご興味があれば読んでみてください。
ご依頼いただいた当初は、刑務所で行っている社会復帰プログラムについてお話して、「こんなに受刑者と刑務所職員が一生懸命頑張っているので、社会での受け入れをお願いします」というような話にしようと思っていたのです。
しかし、よくよく考えてみると、そんなことは私がお願いする話ではありません。
確かに職員だった頃は、保護司会や更生保護施設、自立支援施設の挨拶の場においてそう言った話を何度もしました。
また、職員に対する研修において制度説明もしていました。
しかし、もう私は、刑務所から送り出す立場ではなくなっています。

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「なぜ絵本屋を始めたのですか」の問い

宇佐更生保護女性会の会長さんから、刑務所職員をやめて絵本屋を始めた経緯について質問がありました。
普通に考えれば、安定して社会的地位もある公務員を、定年まで数年残してやめてしまうなんて変な話です。理由を聞きたいと思って当たり前です。
そんな人がいたら私だって気になります。「馬鹿じゃないか?」と。
じゃあどうしてだろう。
いろいろ理由はありますが、最も端的に言うなら「挫折した」のです。
「公務員」として「法務省矯正局」の職員として、いられなくなったから逃げ出したのです。
「ここには自分の居場所がない」とか「理解してくれる人がいない」とか「誰それが悪い」とか、文句を言ったりきれいごとを並べても「負けて逃げ出した」それが真実です。

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人は人の中で立ち直ることができる

講演でお話しする内容を変えました。
「負けて逃げ出した」のに、楽しそうに暮らしているのはどうしてなのか?
そのことをお話しした方が、更生保護女性会の研修としては役に立つのではないかと考えました。
犯罪を起こした人、刑務所や少年院から出所した人が一番最初に考えることは、こんな自分を受け入れてくれるかということです。
それは家族や職場、地域においてどのように扱われるか、不利益を受けるのではないかという恐怖です。
人によってはそこから逃れるために反社会集団に戻ってしまいます。
再犯を起こさせないためには、周りが受け入れて、立ち直ろうという気持ちを認める必要があるのです。
自分一人で、なんとかなるほど人間は強くありません。受け入れて、間違っていたら教えて、くじけそうになったら応援してくれる人がいないと無理なのです。
そう思うと、私も周りに支えられてきたのです。

できることを返していきたい

移住してきた時は、心身ともに人生最低の状況でした。
今までやってきたことがなんだったのだろうと思いましたし、これからどうしてらいいかもわからない。
紆余曲折あって絵本屋を開業しましたが、元々やろうと思っていたこととは全然違いました。
それでも、町の方々が受け入れてくれて、知り合いも増えて、保護司にもなって、活動が認められて、ちょっと調子にノリすぎて現在に至ります。
何人もの出所者に「頑張れよ」と送り出してきました。が、私は彼らと比べると、ものすごく恵まれています。
それでも自分の居場所を作ることが、どんなに大変で辛いことか。立場が変わってやっとわかりました。
ですから、私を助けてくれた人たちやこの場所、これからここで暮らしていく人たち、育っていく子どもたちに、自分ができることの全てでお返ししていきたいと。
講演会ではそういったお話をさせてもらいました。
さらに、サービスで紙芝居と鼻笛の演奏を行いました。
喜んでもらえたでしょうか。
宇佐更生保護女性会のみなさん!本当にありがとうございました。


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