趣味としての東京銭湯巡りのススメ②~蒲田黒湯温泉街で行くべき銭湯3選~
シリーズ①はこちらから
先日掲載した記事で東京にはいくつか温泉湧く地域があることを紹介した。
それも多摩地域ではなく、都区内(23区)である。
その中でも代表的な地域、蒲田黒湯温泉街の銭湯を3選紹介しよう。
蒲田黒湯温泉街とは
蒲田駅を中心に多数の黒湯温泉銭湯が立ち並ぶ地域がある。
一般的に温泉街と言えば、ホテルや旅館等の宿泊施設が立ち並ぶ町並みがイメージされる。蒲田黒湯温泉街はそのような温泉街ではなく、520円(執筆時点)の銭湯価格で入浴できる大衆的な銭湯が多数立ち並ぶ地域である。
多くが地域住人をメインターゲットとしており、決して建物も新しいわけではない。だからこそ、どこか懐かしい。
そういった昭和レトロな町並みと近未来的な東京のビルが混じった地域は全国でも稀だろう。ぜひ銭湯を含めた街歩きを楽しんでほしいスポットだ。
泉質
蒲田黒湯温泉街で湧き出すのは真っ黒な黒湯だ。
黒湯は、植物性物質や火山灰を由来とし、メタケイ酸や炭酸水素塩類(重曹)などを含んでいる。
療養泉における泉質の分類上は、炭酸水素塩泉や塩化物泉等に該当する。
海洋性のミネラルを多数含み、お肌がすべすべになることから、一部では「美人の湯」と呼ばれ愛されている(動画で掲載している改正湯は特に濃いと評判だ)。
また、この地域の黒湯は25度以下で湧き出す冷鉱泉と呼ばれるもので、かけ流しの状態では非常に冷たい。そのため、多くの温泉施設では加温して提供している。
一方、近年のサウナブームを契機に湧き出した冷鉱泉を加温せず、冷たい水風呂として提供する銭湯も増えてきている。
サウナの後に冷たい温泉に入ることもできる場所は全国でも少ないと思われる。水風呂の温泉を提供しているところも蒲田温泉街の特徴だろう。
オススメ銭湯3選
①ゆーシティー蒲田
蒲田駅東口から歩いて5分程度のところにある「ゆーシティー蒲田」は、黒湯の露天風呂と宴会場を備える温泉銭湯だ。
ビル全体が銭湯の建物で1階がコインロッカー、2階が銭湯の入口である番頭、3階が宴会場である。私が訪問したときは、上からカラオケの歌声が微かに聞こえた。
温泉に入ると、手前にカランが見え、奥に浴槽とサウナがある。
浴槽は内湯と露天風呂の2構成となっている。
内湯の種類は豊富でバイブラ浴槽・強めのジェット浴槽・ジェット風呂、電気風呂など。狭い浴槽の中にバラエティ豊富な湯船が配置されていて、飽きない工夫が施されていると感じた。
奥にある露天風呂そのものは5人程度のサイズで決して大きくはないが、黒湯が並々と注がれていて効能を非常に感じられた。(外に少し外気浴できるスペースもある)。
駅も近く、露天風呂、サウナ、豊富な内湯とリラックスできる設備がたくさん揃っている「ゆーシティー蒲田」。ぜひ訪ねてほしい。
②桜館
桜館は池上駅から徒歩6分の場所に位置する温泉銭湯。
桜館の特徴は濃い黒湯と広々とした景観の露天風呂だ。
桜館には、壱の湯(展望風呂あり)と、弐の湯(桜が見える露天風呂あり)が存在する。
公式HPによると、毎月 1~14日は女性が壱の湯、男性が弐の湯、15日~月末は男性が壱の湯、女性が弐の湯となる。
壱の湯にある展望露天風呂は非常に大きく、大人数がいても安心。
足を伸ばしてゆったりとした時間を過ごすことができる。
一方、弐の湯は天井の窓から桜を見ることができ、都内にいながら温泉と桜の花見風呂を楽しむことができる浴場だ、桜の時期にぜひ訪ねてほしい。
私が訪問したときは男性が壱の湯のときであった。
浴場に入ると手前にカランと洗い場があり、奥に電気風呂等を備える内風呂が見える。その奥の湯船には大きな窓が空いていて実質的な半露天風呂があり、かけ流しの黒湯が注がれていた。
しばらく内湯を楽しんだ後、半露天風呂の脇にある階段を登り、展望露天風呂へ向かう。
外には前掲したゆーシティー蒲田よりも大きな浴槽が2つ。
周囲には外気浴ができる用のスペースとテレビが放映されており、長時間過ごしても良い雰囲気だ。
実際に私はここで一時間程度テレビを見ながら、ゆっくりと入浴した。
風呂上がりは、黒湯温泉の保湿効果で二時間程度ぽかぽかが続いて最高だった。温泉の効能も含めて、個人的には蒲田温泉街で一番にぜひオススメしたい銭湯だ。
③はすぬま温泉
はすぬま温泉は東急池上線「蓮沼駅」から徒歩2分のところに位置する銭湯だ。2017年に大正ロマンをコンセプトに道後温泉を意識した内装にリニューアルを行い、浴槽も改装。昭和レトロな雰囲気を残しつつも、現代人のニーズにあった銭湯を提供している。
また、はすぬま温泉は全ての浴槽が天然温泉で構成されており、なんと水風呂も"黒湯天然温泉"だ。サウナ好きにはたまらない温泉となっている。
私が訪問したのは冬の寒さ厳しい1月だった。
実際に訪れてみるとまず建物の美しさに驚く。
細部まで拘り抜かれた内装と大正ロマンを感じさせるステンドグラスに包まれ、建物を見ているだけでも非常に楽しい。
脱衣所を通り、浴場に入ると、側面にカランと洗い場が見える。そして、中央には並々と注がれた黒湯温泉と炭酸温泉が存在感を放っている。そして、前面に大きく見えるタイルには銭湯定番の富士山アートではなく、迫力のある滝が描かれていた。確かに道後温泉を思い起こさせる空間だ。
中央奥の黒湯に入ると、しっとりとした肌触りで保湿効果を強く感じられた。他の蒲田地区の銭湯に比べて決して濃い色ではないものの、効能はあると思わせてくれる。
また、別途炭酸温泉も備えていることが、はすぬま温泉の特徴だ。
炭酸温泉は効能を高めるため長湯が推奨されている、そのため、はすぬま温泉の炭酸温泉は他の湯船より温度が低めに設定されており、よりゆっくりとリラックスできた。
最後に、軽くサウナに入った後は源泉かけ流しの水風呂に入浴した。温泉効果なのか普通の水風呂よりもより保温効果を感じられ、サウナの気持ちよさが長く続いた。温度が低すぎないため、つい水風呂にも長く入ってしまう。決して大きくはない湯船なので長湯には注意だろう。
新しくリニューアルされ、浴槽が全て天然温泉で構成されている「はすぬま温泉」。さらに黒湯の水風呂も備えており、まさに欠点が見つからない銭湯だ。
はすぬま温泉は古くレトロな銭湯が少し怖い、という初心者にもまず第一におすすめできる銭湯となっている。ぜひ、蒲田温泉街の第一歩の銭湯として訪れてほしい。
まとめ
以上紹介したように蒲田地区には多数の黒湯温泉がある。
そのどれもが建物、泉質、お風呂の種類と個性があり、蒲田温泉街の多様性を感じさせてくれる風流のある銭湯だ。
もちろん、黒湯の濃さも銭湯ごとによって異なり、蒲田地域で黒湯温泉巡りをするのも楽しい。ぜひ多くの銭湯を訪ねて楽しんでほしい。
また、紹介記事の中に掲載している動画は大田区が作成した「銭湯天国おおた」という大田区の銭湯を紹介している動画シリーズだ。
魅力的に各銭湯が紹介されており、各銭湯の特徴もわかりやすい。どこに行くか迷ったら一度再生してみるのも選択肢の一つだと思う(なお、まだ全ての銭湯が紹介されているわけではないので更新が楽しみだ)。
私は数年前から銭湯巡りを始めているが、まだ蒲田地区の銭湯を全て廻れているわけではない。いつかこのような魅力的な温泉を備えている蒲田の銭湯を全て廻りたいと思っている。ぜひ皆さんも一緒に銭湯巡りを始めよう。
なお、次の記事では、早朝からやっている銭湯を紹介する予定である。
夜勤帰り、クラブ帰り、朝風呂等ニーズは確かにあるはずだが、意外と営業している銭湯は少ない。その中でも厳選した銭湯を紹介するつもりだ。
Next→
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?