AZKi 4TH LiVE『REPEAT THiS LiFE WiTH U』レポート~開拓者と共に~
2019年12月29日、池袋harevutaiにてAZKi 4TH LiVE『REPEAT THiS LiFE WiTH U』が開催された。このライブは開催前からAZ輪廻と呼ばれ、#行こうぜAZ輪廻 というハッシュタグと共に開拓者を中心に大きく盛り上がっていた。彼女のファンネームである開拓者をフォロワーにもつ人ならきっとどこかで見かけたことがあるだろう。
今回はまさに開拓者と共に作り上げたと言ってもいいAZ輪廻のレポートだ。
写真 : ayo kajino
AZKiとは
AZKiはエンタス生まれ、エンタス育ちと自称するように、過去三回のワンマンライブ「The Shitest Start(クソAZ)」「A GOODDAY TO DiE(AZ葬)」「last ENTAS LiVE(レペゼンエンタス)」を全て秋葉原のエンタスで開催してきた。3thライブをもって、AZKiは古巣エンタスを卒業。更なる高みへ進むために、さらに大きい箱である池袋harevtaiで4thライブが開催されることとなった。
このようにAZ輪廻は2019年のAZKiの総決算であると同時に、AZKiにとって更なる一歩を進むための大きな挑戦であった。それは同時にAZKiと共に新たな世界を開拓してきた「開拓者」にとっても、新しい開拓地である。
池袋harevtai-170-
2019年11月にリリースした初の1stフル・アルバム「without U」を引き連れて、その日AZKiは現れた。
もはや恒例となった、AZKiの降臨シーン。ズンズンと胸に響く音が大きく期待を膨らませる。開拓者の掛け声と共に待ちに待った一曲目は「コトノハ」。一曲目に相応しい軽快なロックミュージックで、AZKiらしいスタートを切った。さらに「虹を駆け抜けて」「ひかりのまち」と続き、「ひかりのまちへ!」という定番のコールと共に会場の熱量は最大限に達した。
今回の会場、何より驚いたのはその映像美であり一体感であった。Vtuberライブを想定して設計された池袋harevtaiの本領発揮と言うべきか、後方にまで見えやすいように配置された特大スクリーンはAZKiと開拓者を一つに染め上げていた。チームAZKiが作り出す「harevtai」はAZKiが本当にそこにいるかのような感覚をもたらしていて、正真正銘AZKiの晴れ舞台を共にしているようだった。
三曲連続したロックミュージックの後にMCが入る。
「今日AZKiのライブ初めての人!!」とAZKiが問いかけた。今回のライブはsightseeingチケット(なんと1000円!)を販売していたこともあり、AZKiのライブが初めての人が多いことが予想されていた。実際に後ろを見てみると、多くの手が上がっていた。多くの開拓者がこのsightseeingチケットを友人や知人に広めている様子を見てきたこともあり、この満員御礼のライブはまさにAZKiと開拓者が作り上げてきたものなのだという気持ちが一層増した瞬間だった。そして、ここから更なる世界を開拓していける布石なのだと、そう確信した。
そして、MC後、最初の曲は「Reflection」。ここからAZKiはアルバムで見せた新たな一面をのぞかせる
バーチャル音楽シーンで有名なTEMPLIMEが作詞作曲した「Reflection」はオシャレなダンスミュージックで、思わず体全体で踊ってしまう。
その次はしっとりとしたバラードである「Starry Regrets」で会場をチルに落としつつ、ゆったりと体を動かしやすい「Midnight Song」が続く。
二回目のMCでは、同日に開催されていたコミケの話で会場を沸かせると、続けて、1stpioneerチケットの特典CDに収録されている新曲「猫ならばいける」が披露された。特徴的な「にゃー!!」という仕草を取り入れたこの新曲は、かっこいい曲が多いAZKiにとって、ギャップ萌えと言ってもいい破壊力がある。
そして、多くの開拓者が倒れる中で、「フレーフレーLOVE」「Shiny Smily Story」という予想外の二曲が歌われた。みんなが予想できなかったのも当たり前、「フレーフレーLOVE」は同じくホロライブに所属し、SorAZのユニットを組んでいるときのそらの曲であり、「Shiny Smily Story」はホロライブの全体曲である。多くの楽曲を持つAZKiだからこそのサプライズに頭を打たれた人も多かったことだろう。
そして、三回目のMCを挟みつつ、新曲「Eternity Bright」が披露される。疾走感があり、カッコいい新曲は胸を打たれた開拓者を再び熱狂に包まれた会場に戻してくれた。
ここで四回目のMC。AZKiは常に己の存在価値を問い続けるバーチャルシンガーであった。「バーチャルとはなんだろう?」「Vtuberは職業なのか人格なのか」……そのような疑問を持ち、しっかり向き合うのも彼女らしさの一つだ。そして、それを歌で表現することを彼女はずっとやり続けてきた。
この後に続いた、「光」「世界は巡り、やがて君のものになる」「いのち Acoustic ver」はAZKiの自己証明と言ってもいいだろう。
写真 : ayo kajino
特に、「いのち Acoustic ver」がずるい。まさに、AZKiを代表する一曲と言っても過言ではない名曲だが、ますます感情の込め方が進化している。「わかんないよ、ねえ」の部分なんて、毎回聞くたびに泣きそうになる。
私はこの「いのち」がAZKiの楽曲の中で最も好きだ。Vtuberを推すものなら一度はぜひ聞いてほしい一曲である。
ここで五回目のMC。「のんびりと、」を改変したコールの練習。私自身も隣の初見の開拓者と共にしっかり練習した。このようなものは本当に有難い。
そのまま、「のんびりと、」「リアルメランコリー」とポップチューンが続く。ここで、1stの服装にチェンジ。歌唱中に衣装変更ができるのはVtuberの強みであり、一気に会場のボルテージは最高潮に達する。
写真 : ayo kajino
そして、畳みかけるように、「自己アレルギー」「嘘嘘嘘嘘」「Fake.Fake.Fake」という怒涛のアッパーチューンが続く。飛び上がる者、大きく手を振る者、全力で声をかける者、多くの開拓者が最後であろう瞬間を全力で楽しんだ。
ラスト二曲、と銘打ち、「from A to Z」と「ちいさな心が決めたこと」が披露される。
「from A to Z」はアルバム「Without U」に収録された曲であり、開拓者とAZKiの道のり(A→Zまで)を表現した歌だ。最後の「ちいさな心が決めたこと」はAZKiが作詞した曲で、AZKi自身を体現する曲と言ってもいい。最後にこの曲を選ぶのがなんともにくらしく感じる。この曲はAZKiの魂に一番触れられる曲だからだ。「これからもここでいきていく」と言い切った彼女はステージを後にした。
写真 : ayo kajino
アンコールはテンポの速い「AZKi!!」コールで始まった。「早い!」といいながらもやり切った開拓者の前にAZKiが現れる。
写真 : ayo kajino
一曲目は、アルバム「Without U」の表題曲である「without U」、続けて「フロンティアローカス」が歌われる。
アンコールの後に表れたAZKiはさらに一歩大きくなったような雰囲気を醸し出していた。赤い閃光と黒いスクリーンに打ち出されたモーションタイポグラフィーが彩を添える。ここはAZKiの空間そのものだ。
そして、次の曲に行く前に少しMCが入る。
「バーチャル」を問い続けてきたAZKiにとって、目の前にいる開拓者が存在すると実感していると述べられた。自分もAZKiがそこにいると感じていた。
ここで、AZKiからの手紙が開拓者に向かって読まれる。エンタスで続けてきたAZKiが池袋harevtaiという一歩大きな箱にたどり着いた、その感謝の言葉だ。続けて、AZKiのマネージャーであるツラニミズ氏への感謝の手紙が朗読された。この二人のコンビは水と油のようで、どこか尊敬しあっている、そう思わされた手紙だった。
そして、最後の曲はもちろん、「Creating world」。
1stの衣装を身にまとったAZKiはここまで作り上げてきた世界を、そしてこれから作り上げていく世界を歌い切った。
振り返ってみると、AZKiの曲の奥深さに気付く。ロックミュージックから始まり、ダンスミュージック、アイドルソング、そして、バラード……
そのどれもがAZKiの表現力なくしてなしえなかったものであり、改めてその歌唱力に感服させられた。また、その感情の根幹に開拓者と共に歩んできた時や思い出が強く含まれている。アルバム「Without U」がそうであるように……いや、バーチャルがそうなのかもしれない。その自己存在を問うAZKiだからこそ成しえたものがAZ輪廻なのだ。「演者と観客」の枠に収まらない世界を、開拓した世界を、示してくれたライブであった。
・<セットリスト>
1.Overture
2.コトノハ
3.虹を駆け抜けて
4.ひかりのまち
5.Reflection
6.Starry Regrets
7.Midnight Song
8.猫ならばいける
9.フレーフレーLOVE
10.Shiny Smily Story
11.Eternity Bright
12.光
13.世界は巡り、やがて君のものになる
14.いのち Acoustic ver
15.のんびりと、
16.リアルメランコリー
17.自己アレルギー
18.嘘嘘嘘嘘
19.Fake.Fake.Fake
20.from A to Z
21.ちいさな心が決めたこと
EN1.without U
EN2.フロンティアローカス
EN3.Creating world
※脚注のない写真は筆者撮影です。
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?