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花
ある日私は、赤い花を見つけました。
それに触れると、私の肌は真っ赤に染まりました。
それがすごく綺麗でした。
色んな花に触って、自分の肌の色を変えていきました。
そして、黒い花を見つけました。
黒い花なんて見たことない。
私は興味津々でそれに触れました。
世界がぐにゃりと曲がり
視覚と聴覚がごちゃ混ぜになったような
不思議な感覚がありました。
それはすぐに終わってしまって、肌も黒くなりませんでした。
でも、またあの感覚を味わいたくて、
私は何度も何度もその花に触れました。
やがて、自分の身体が少しずつ小さくなっていることに気づきました。
1週間経つ頃には、ダンゴムシくらいになりました。
それでもあの花に触りたくて、
花の茎をよじ登り、
また触れました。
私の身体はついになくなって、
花の中に溺れていきました。
私は花になりました。
あなたが触れてくれるのを待っています。