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ポストカードが教えてくれた大切なこと

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ポストクロッシングについてのエッセイです。 海外の人とポストカードをやり取りしながら感じたこと、学んだことを書き綴っていきます。
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香水

香水

瑛人の「香水」という歌が流行ったのは、何年前のことだっただろうか。

確かこの歌は、3年ぶりに会った元カノの「ドルチェ&ガッバーナ」の香水の香りで楽しかった日々を思い出すという歌だった。
キャッチーなメロディーにのせられた「ドルチェ&ガッバーナのその香水のせいだよ」という歌詞を聴かない日はなかった。

そういえば少し前、妹が新しいコロンを買った時に
「香水売り場に行くとさ、『あ、これあの人の匂いだ

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逆輸入!?

逆輸入!?

ポストクロッシングをしていると、
今まで気づかなかった日本の良さに気づかされることがある。

昨年の12月、私はポストカードの展示を行った。
海外から届いたカードを手に取る楽しさを他の人にも知ってもらいたくて行ったイベントだ。

このイベントの際にポストクロッシングの掲示板を通じて、海外のポストクロッサーさんにポストカードの送付を依頼したのだけれど、アメリカから何とも不思議なカードが届いた。

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見えないインク

見えないインク

その封筒を開けた時、私は困惑した。
カラフルな可愛らしい便箋。
だけど、それには何も書かれていない。

1ヶ月前、私はとあるイベントのために
10人のポストクロッサーたちに手紙を送って欲しいと依頼した。
残念ながらイベントまでに届いた手紙は3通だけだったけれど、手紙が届かなかった人たち1人ひとりに連絡して、もし手紙が届いたら秋のイベントで使わせてほしいとお願いした。

今回届いたインドからの手紙も

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善と悪の線引き

善と悪の線引き

ポストクロッシングのpostal monitorによると、
日本から郵便を送れない国が現在42ヶ国ある。
そのうちの1つがロシアだ。
理由は言わなくてもわかると思う。

けれど不思議なことに、
日本からは送れないのにロシアからは時々
ポストカードが届く。
くるみ割り人形のヴィンテージカード、
マトリョーシカのカード
バレリーナのイラストが描かれたカード…
ロシアから届くカードは魅力的だし、切手のデ

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笑ってほしい

笑ってほしい

ポストクロッシングはただのカード交換ではなく、
心の交換である。

私は嫌なことがあって落ち込んで帰宅した時、
ポストカードが届いていたら少しだけ明るい気持ちになれる。
身近に嫌なことを言ってくる人がいると自分は大事にされていないのではないかと錯覚してしまうが、こうやって自分のために時間を割いてカードを送ってくれる人がいるのだと思うと少し癒されるのだ。

私がポストカードから癒しを頂いている分、

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小さな優しさは世界を救う

小さな優しさは世界を救う

最近、何だかすごく疲れる。
みんなが忙しくてピリピリしている。

私自身はこれと言って忙しくない。
それなのに何というか、
水の中で息を止めているような苦しさが
毎日まとわりついている。

今日は火曜日。
今日を入れてあと4日も働かないと休日はやってこない。
午前中の勤務が終わって、昼休み。
しばしの息継ぎタイム。

昼休みに一旦帰宅して
ポストカードやら手紙やらが届いていないかチェックするのが潜

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チェコのクレクレおばちゃん

チェコのクレクレおばちゃん

世の中には、本当にいろんな人がいる。

私はあまり交友関係が広い方ではないが、
それでも今までの人生で人に感動させられたり、
ほっこり温かい気持ちにさせられたり、
一方で泣かされたり、はらわたが煮えくり返りそうなほど感情を掻き乱されたりもした。

自分にとっては当たり前だと思っていたルールを
人は簡単に破り、
そして私も誰かのマイルールを破り「非常識だ!」と怒られる。人は「そんなの常識でしょ!」な

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姫だるま

姫だるま

「私が受け取りたいカードは、あなたを笑顔にさせるカードです」
あるフィンランドの女性からのリクエストに、私は面食らった。

ポストクロッシングを始めて、まだわずか2通目のカード。初心者の私にとっては難しいリクエストだ。
そういえば昔、母に食べたいものを聞かれて「何でもいい」と答えたことがあるが、当時の母は今の私と同じ気持ちだったと思う。

そう、要するにこの女性も「何でもいい」のだろう。
私は手持

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