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【映画】『ソウルフル・ワールド』

ピクサーの映画は楽しいなあ。
映像の表現が細やかで、音楽も良くて、観ながら自分の魂もよろこんでいる感じがしました。

描かれている世界がきらきらしていて、すごくきれい。
そして、体があるからこそ味わうことのできるいろいろなよろこびや不便さ、ああ、でもこれが生きる醍醐味なんだよね、っていうところが、とても丁寧に描かれているのも好きでした。

この内容は大人向けでは?なんて声もあるけれど、子どもたちの方がすんなり入り込んで楽しめるんじゃないかな。

個人的には、22番の声をコメディアンで女優のティナ・フェイが担当しているのもおすすめポイントでした。ティナ・フェイはアメリカに住んでいた時に、こんなふうにしゃべりたいなあと理想にしていた人の一人。言葉の選び方がシャープで、癖がなくてはっきりしたわかりやすい英語です。

22番は一応「she/her」の代名詞で呼ばれているんだけれど、ティナ・フェイが大人の声で演じているのでジェンダー・ニュートラルな感じになっています。あとで調べたら、魂なので?性別がない設定みたい。それもいいなあと思いました。

確か、10年ちょいくらい前。
ドラマの『グレイズ・アナトミー』で、登場人物が死にそうになって、すでに亡くなった人たちと再会するエピソードがあって、それを観た時に「医療ドラマでこんなストーリーをやるなんて!」と、ドキドキしたのを覚えています。

個人的には、その頃から臨死体験の本を読んだりして「死んだらおしまいではないんだろうな」と薄々感じてはいたのですが、特にその時住んでいたアメリカでは社会的にそういう考え方はまだあまり受け入れられない雰囲気だったので、放送して大丈夫なんだろうか…と、おせっかいながら心配になったのでした。

(でも今から思えば、死後の世界でもあるんだけど幻覚でもあるような、じょうずな描き方をしていたと思います。)

それが今や、ディズニーが真正面から死後の世界や生まれる前の世界の話をテーマにした映画をつくって、多くの人がそれを楽しんでいる。時代は変わるものだな…としみじみ。

そんなふうに世界は変わり続けていくから、今はあり得ないと思えるような考え方も、意外にあっさりひっくり返ったり社会に広まっていったりするのかもしれないなと思います。

今年は年明け直後に『愛してるって言っておくね』を観て、どうしてこんなに悲しいことが世界でまだ起こっているんだろう、地球は「悲しみの惑星」といわれているのも無理はない…と号泣し、人間でいることの業の深さを感じ入っていたのですが(でもとても良かったです、おすすめ!)、次の日にこの『ソウルフル・ワールド』を観て、生きるよろこびを噛みしめて、気持ちが忙しいお正月でした。

でも、どちらも「生きる」ことの一部なのでしょうね。
限りない悲しみも、限りないよろこびも。

体験していることがなんであれ、大きく見えることであれ、小さく見えることであれ、この世界で生きることを一瞬、一瞬、ただ味わいたくてここにいるんだよね、と、思いました。

先走ったり、ぼーっとしてしまったりしながら、ちゃんと味わっているかな。無駄にしていないかな。自分に問いかけています。

クレヨンでジョーと22番を描いてみたけれど、ああ、ジョーの眼鏡を忘れた…。

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