時間切れ!倫理 104 日本の神話 1
(ア) 天地のはじまり
神話を見ていきましょう。日本の神話は『古事記』と『日本書紀』に詳しく書かれています。中心は『古事記』です。
『古事記』に載っている神話について簡単に紹介しておきます。最初に神々が生まれるところから始まります。口語訳で見ていきましょう。
「天と地が初めて別れた時、高天原(たかまがはら)に生まれた神の名は、天之御中主神(あめのみなかぬしのかみ)であった。次に高御産巣日神(たかみむすびのかみ)、次に神産巣日神(かみすびのかみ)が現れた。此の三柱の神は、並独神(ひとりかみ)(性別がない)として生まれ、身を隠して姿を現さなかった。」
男でも女でもない神様が現れて、どこかに行ってしまったというのですね。柱というのは神様の助数詞です。神を数える時に柱をつけて数えます。
「次に地がまだ脂(あぶら)のように水の上に浮かび、くらげのように漂っているとき、葦(あし)の芽のように強い生命力を持って生まれた神の名は、宇摩忘阿斯訶備比古遅神(うましあしかびひこぢのかみ)。次に天之常立神(あめのとこたちのかみ)。此の二柱の神もまた、独神として生まれ、身を隠して姿を現さなかった。」
次に二つの神様が生まれるけれども、これも男でも女でもなくどこかに行って消えてしまったという。これが最初の神々です。不思議ですね。
こんな風にしていくつかの神々が生まれては消えていった後で、本格的な神様が生まれます。これがイザナギとイザナミです。イザナギが男でイザナミは女の神様です。
(イ) イザナギとイザナミ
「天地が別れて神が生まれて何代かたち、イザナギ(イザナキ)とイザナミという男女一組の神が現れた。はじめイザナギとイザナミが天上の高天原から下界を見下ろすと、ドロドロで何もないので鉾(ほこ)を下ろしかき混ぜて島を作りそこに降りていって、日本列島や多くの神々を生んでいった。これが国生み、神生みである。しかしイザナミは自分が最後に産んだ火の神に焼かれて死んでしまい、死者の世界である黄泉(よみ)の国に行った。」
資料集にはイラストが書いてありますが、イザナギとイザナミが鉾を持って、高天原から海に鉾を突っ込んでぐるぐるとかき混ぜて持ち上げると、矛の先からドロドロとした白いものがぼたぼたと落ちて、これが島になったと書いてある。これは明らかにセックスの象徴ですね。白いものがボタボタと落ちたというのは精液の比喩ですね。日本神話には性的な表現が結構たくさん出てきます。
イザナギとイザナミが、たくさんの島や神を生んだと書いてありますが、具体的な描写では、イザナミ(女のほうです)がセックスしましょう、とイザナギ(こちらが男)を誘って子供を産むのですが、障害を持った子供で流れてしまう。またイザナミが誘ってセックスをするのですが、出来た子供には障害があり流れてしまう。なぜ障害を持った子供ばかりが生まれるのだろうということで、女から誘うから駄目だということになり、今度はイザナギから誘ってみると、立派な子供が産まれたという話になっています。この後二人は様々な神々を生んでいきます。最後に生まれたのが火の神様カグツチ。火の神様だから燃えています。この子供を産んだためにイザナミは陰部が焼けただれてこれが元で死んでしまう。
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