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【本との出会い 13】震災3部作 「それでも、陽は昇る」真山 仁

陽は昇り、陽は沈む。時は移る。喜び悲しみを乗せて流れ行く

多くの人の喪失感も罪悪感も、それを共有する人がいれば、少しずつ癒される。それが年月というものだ。
私が結果責任を背負ってやれることは、私に怒りをぶつける人たちの思いを受け止め、どうしようもない思いに耳を傾ける。その程度だ。
それが互いを生かしてきたんじゃないか、そう思い始めてる。
✳︎本分「それでも陽は昇る」より


阪神淡路大震災から26年。東日本大震災から10年。それぞれの被災者の年月を慮りながら、いくつかの事柄をストーリーに変えながら、震災を風化させない意味を書いた物語。

震災3部作も、この本で終結です。
一気読みしました。


時は、現代となり、未知のウィルスによって世界中が混乱。

震災10年に関わるイベント、行事、復興五輪も延期を余儀なくされて、被災地、被災者も年齢とともに成長と変化があります。

そのなかでも、筆者が言いたかったのは、失敗についてではないかと思いました。

失敗してもまたやりなおせばいい、という希望を失わないことと、また同じ失敗を繰り返さないために語り継がなければ、承継しなければならないことがあるということです。

大型ショッピングセンター、地場商店の役割と衰退、農業漁業などの地場産業のあり方、産業誘致、ボランティア、カウンセラー、そして学校教育など。

震災の視点だけではなく、現代の地域課題についてもリアルに書かれていて、たくさんの気づきがある小説でした。

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