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20180511 大沖さんはすごい

短夜やまだまだ泣けよ聞かん坊
夏霞昨日の空は今日見ない
シャツの文字じっと見ている夕立や
ゆっくりと曖昧にする冷酒かな
伸びた爪そろりと触る衣替え

わたしは漫画家の大沖さんが大好きである。先日、『たのしいたのししま』が発売された。これをきっかけにみなさんにも大沖さんの魅力を知っていただきたいなあと思う。

大沖さんのすごいところ その1 \ (これ) /
この \ こんにちは / みたいな表現は、大沖さんの作品でお馴染みである。キャラクターがしゃべるときは、吹き出しの中にもセリフが入るのだけれど、それと並行して、つぶやきなのか心の中なのかちょっと曖昧な、\ すげえ / みたいな手書きの表現が描かれている。これ、本当に好きで、わたしは普段こどもたちに渡すものにこっそり紛れて書くことがある。こどもの間で流行らないかなとひそかに思っている。

大沖さんのすごいところ その2 人間関係のいいゆるさ
大沖さんの漫画には、魅力的なキャラクターがたくさん登場する。大まかに分けると、「でたらめなひと」と「真面目なひと」に分かれる。「でたらめなひと」は、独自の感覚を持っていて、それをそのまんま提示して生活している。「真面目なひと」は、「でたらめなひと」ワールドに対してちょっとおかしいな…とか思うのだけど、次第にペースにのまれていき、それもたのしくなってしまう。この人間関係のいいゆるさに憧れる。いいなあ。

大沖さんのすごいところ その3 \ おしゃれ /
キャラクターがかわいい。こどもは三頭身、おとなは四頭身くらい。頭身、目鼻立ちは黒いシンプルな太線で描かれている。枠線も背景も同じくらいの線で描かれており、ページを引いてみてもとてもすっきりとしている。セリフもまた、簡潔でどれもが的を得ている。

わたしは漫画がとても好きなのだけれど、内容と絵柄が濃くて、外で読むのは躊躇してしまうことがある。『たのしいたのししま』は、買ってすぐ阪急電車で読んで、残りのページを地元の珈琲店で読んだ。漫画というより、かわいい絵本を読んでいるような感覚がある。近くにいる知らないこどもに読ませてあげたいくらい。

ギャグも上品、言葉のロジックが組まれていたりして、こどももたのしく豊かに読める漫画作品だと本当に思う。学級文庫に置きたい。

『たのしいたのししま』第1巻、ぜひ読んでみてください。『ひらめきはつめちゃん』(全6巻)、『はるみねーしょん』(現7巻、続刊)など、他の作品もとても面白いです。ちなみにわたしは『わくわくろっこモーション』(全3巻)がいちばん好きです。

そんな大沖さん、noteもやってらっしゃるんですね。


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