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IGRいわて銀河鉄道の夜行鈍行列車に乗つてきたヨ

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 表記のとほり、IGRいわて銀河鉄道の夜行列車に乗りました。この夜行列車、扉は開かないものの、各駅に停車します。往年の夜行鈍行列車を再現したツアーです。

 どうか最後までお付き合ひください。

旅立ちは上野駅。はやぶさ41号で北を目指します。ちなみにこの日は夜勤明け、家に帰つてから少しだけ眠りました。出発の前に、鶯谷駅近くの萩の湯のサウナに入り、心身ともにぬくぬくの状態になつてます。
お目当ての車両が近付いてきました。これから新青森駅まで行きます。三時間と少々の乗車です。
車内はそれなりに空いてゐました。コンセントでiPhoneを充電します。今回から、さらに断捨離を進めてモバイルバッテリーを持たなくなりました。
夕食は崎陽軒のシウマイ弁当です。いつも新横浜駅からのぞみに乗る時に食べてゐるので、北へ行く時に食べるのは不思議な感じがいたします。しかし、美味しいです。
新青森駅に着きました。ここから奥羽本線で隣の駅、青森駅に行きます。青春18きつぷ旅行者の敵である701系二両編成でやつてきました。玉川、701系のロングシートを気にしたことはありません。これを敵にしてゐる人は、JR東日本が嫌ひか、旅情がどうのと文句をいふ人か、旅慣れてゐないかでせう。
青森駅に着きました。向かうのホームには、青い森鉄道の車両が見えますね。ラッピングが可愛いので、JR東日本のダサさが際立ちます。そして、さすがは陸奥の果て、寒いです。味噌カレー牛乳ラーメンでも食べませうか…。しかし時間が…。
ところで久し振りの青森駅ですが、様変わりした姿に驚きました。以前のやうな雑然とした感じがなくなりましたが、どこか寂しく無機質になりました。時間まで余裕があつたので、待合室でしばらく待ちました。恐らく同じ列車に乗るであらう人たちもゐました。
23:30 盛岡 といふ見慣れない表示があります。この列車にこれから乗ります。

みちのくの 夜道を行ける この旅は 色は見えねど 楽しかりけり 可奈子
二十三時頃に受付が始まりました。すぐに受付を済ませて改札前で待つてゐると、係の人にウザ絡みをする若者四人組がゐました。質問攻めにしてましたが、見てゐて良いものではありません。
今回のきつぷ?と指定席の案内です。ロングシートS(18,500円)に乗ります。
係の人の案内を聞き、サア、ホームに向かひませう。
ホームにはすでに列車が待機してゐます。なほ、この車両、昼から古の鈍行列車として走つてゐます。
IGR7000系です。JR東日本の701系とほとんど同じですが、こちらの方が格好良いです。ハツキリ云ふて。「盛岡行」の表示が出てゐます。昼から乗つてゐた人もをり、係の人と談笑してました。
扉が開き、中に入りました。けふの宿、といふより寝床は目の前のこのロングシートになります。気分はまさに、銀河鉄道。999です。なほ、銀河鉄道999はゴダイゴが良いですね。土方のカラオケ大会みたいなグループのカバーは気持ち悪いです。
目の前はボックス席です。この席、一人で独占もできますし、複数名で乗ることもできます。マア、私が複数名で乗ることは永遠にないでせう。
この無機質な元701系が夜行列車になるなんて…。しかし、そこが良いです。
昭和五十七年十月頃の時刻表が広告のところにありました。玉川、満年齢で一歳の時です。
吊り革がここだけ星の形をしてゐました。可愛いです。
ガチャガチャもあります。先頭車両は係の人たちの空間になつてゐます。
そろそろ出発です。ワクワクしますね。
サア、間もなく発車します。青森駅を出て、ハイケンスの「セレナーデ」と共に車内放送が流れました。ハイケンスは客車の曲、違和感はありますが、往時の夜行列車を思ひ出します。
たくさんの物をいただきました。「お楽しみBOOK」は面白く、ぬくぬくな内容です。硬券の記念乗車証には後で日付を入れました。
東青森駅です。扉は開きませんが、一つ一つの駅に停まります。かつての山陰やはやたま、からまつなど、乗つたことはありませんがこのやうな感じだったのでせうか。
慈覚大師円仁が開いたといふ浅虫温泉のある浅虫温泉駅です。駅舎の向かうは陸奥湾ですが、ぬばたまの夜の闇の中、見えるべくもありません。
思ひ思ひに過ごす人たち、読書、スマホ、撮影、ゲーム、食事…。ある親子は旅慣れてゐるのか、ボックス席の隙間を埋める台を置き、横になつてゐました。
いよいよ車内の灯りが消されて行きます。
零時になり、車内が暗くなりました。ちやうど狩場沢駅に向かつてゐるころです。私も、ロングシートに横たはり眠ることにしませう。玉川、疲れからすぐに寝てしまひました。途中、八戸駅で長時間停車してゐた時に目を覚ましましたが、夢かうつつかわからぬままに過ごしてゐました。
目を覚まし、外に出ると金田一温泉駅でした。車内の寒さで喉をやられたのか、イガイガします。そして、外も寒いです。
かつて座敷童子が出るといふ金田一温泉の緑風荘に行つたことがあります。座敷童子を見たことはありませんが、彼の存在を信じた人たちが、彼のためにたくさんの玩具を部屋に置いて行つたのを見てぬくぬくになつた記憶があります。
真夜中の駅、カメラを向けて列車の撮影に励む人がたくさんゐます。
イベントの一つとして、行き先の表示が変はります。今回はアンケートをとつていくつかの行き先が表示されました。まづは「蟹田」です。盛岡駅から蟹田駅まで直通したら面白いですね。
続いて「快速新青森」です。
さらに「快速浅虫温泉」になります。空を見上げると、星空が美しくオリオン座も見えました。
「最後は快速金田一温泉」になりました。方向幕だけで楽しめるのは、鉄道好きの特権ですね。方向幕の回しも終はり、列車は盛岡駅方面へと向かひます。玉川、起きて車窓を眺めます。
しばらくは暗がりの車窓。写真は斗米駅です。幼少の頃、母と母の故郷へ寝台特急で帰る時を思ひ出します。
奥中山高原駅に着きました。カップ麺とお茶をいただきました。ここで扉が開き外に出ることができます。
列車を降り、駅舎へ向かひます。跨線橋から眺めて見ると、空が青く、少しずつ夜が明けやうとしてゐます。
なんとも素敵な駅舎です。
駅舎の中でお湯をいただき、カップ麺を食べました。冷えた身体があたたまりました。
奥様の御実家が農家といふ運転士の方が、たうもろこしを振る舞つてくれました。甘くて美味しい〜、生でも焼いても美味しく、いくつも食べてしまひました。ぬくぬくです。
徐々に空が青くなつてきました。
かつての旅人も、夜明けの朝にこのやうな景色を見たのでせうか。
木々の中にぎんがくんときらりちやんがゐました。可愛いくて、ぬくぬくです。玉川、どんなに疲れてゐても、かうした優しさに気付ける人でありたいです。
車内に戻りませう。
再び跨線橋の上から撮りました。わづか二十分で、これだけ空の色が変はりました。
発車前に、貨物列車が通過して行きました。
奥中山高原駅を出てしばらく。五時頃、先ほどのたうもろこしをお土産にいただきました。母へのお土産にしたのですが、ペロリと食べてました。
車窓はいわて沼宮内駅を出てしばらくのところ、朝靄に包まれてよく見えませんが、なんか落ち着きます。
岩手川口駅を出てしばらく、田んぼの中、朝靄がかかり幻想的です。
そして好摩駅を出て少し行くと、朝靄が晴れ岩手山が堂々と現れました。まさに、神宿りたまひし山、日頃の取り組みへのご褒美でせうか。
その反対側、進行方向左手には姫神山にまさに日の大御神がさしのぼり、すめらみ国を照らしてゐました。かつて、

さしのぼる 朝日のごとく 照らすなり 千代よろづ代に あきつみ神は 可奈子

といふ歌を詠み、ある神に仕へる方より「神楽歌の如し」といはれたことを思ひ出しました。
巣子駅のあたりですが、このやうな見事な、素敵な山のある岩手の人を羨ましく思ひました。
朝日に照らされた厨川駅、間もなく旅も終はります。ハイケンスが流れ、車内放送を聞き、盛岡駅到着を待ちました。IGRいわて銀河鉄道、初めての夜行列車に乗れて良かつた。係の人たちの努力にぬくぬくです。
無事に盛岡駅に着きました。玉川、岩手県とつながりがないと思ひきや、学生時代、「銀河鉄道の夜」の舞台に立つたことがありました。牛乳を売る老婆役をやりました。そんなことを思ひ出しました。

 最後までお読みいただき、ありがたうございました。

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