草、食べてますか?
春になると途端に、道端の草を見て「美味しそう・・・・」と呟く女、ことオゼキカナコです。野生児として知られています。
特に今の旬はつくし!
都会のコンクリートジャンゴーに住むビジネスゴリラの皆さん(言い方)には、全く身近でない話題かもですが、一歩外へ出たら川べり、みたいな実家を持つ私やあなたにとって、つくしは「春に食べられる無料の食材」の代表格である。(無職なので無料に敏感)
つくしを採って食べるのは私にとって春のちいさなイベントだ。
今年はあったかいから早そうだな、と思っていたところ、実家(岐阜県山県市)ではまだ出始めといったところだった。
ちょろちょろと、まだ少ない。
川沿いの法面、草ぼうぼうのなかにニョキニョキっとしているのを根本から手で折る。
小さすぎたり、伸びすぎて軸が頼りないのはさけて、頭が固めでしっかりとした触感のあるものを選ぶ。
目が慣れると草むらの中でも見つけやすくなる。
折ると、頭からふぁさふぁさっと緑の花粉が散って、春だなぁと感じる。
田舎ならではの春の楽しみ方だ。
近所のおばちゃんが畑を耕しながら「もう出とるかね」と声をかけてきた。
「出とるけどまだあんま多くないでちょっとだけやよ」
「ほうか。でも初もん(初物)やで。初もん食べると長生きするっていうで。あんたまだ50年くらい生きるやろ。私はもうあかんけど。」
「まだあかんくはないやろう(笑)。また出てきたら初もん食べやーね。」
のどかな会話をしてつくし取りは終了。
採ってきたつくしは、すぐにハカマを取る。
手でくるくるくるっと取るのだけど、爪に汚れが溜まって汚くなる。
この作業が面倒とか汚れるとかいって嫌う人もいるだろうけど、年に1度か2度しかやらない私にとっては、汚れた爪を見ながら「春だなぁ」と感じる楽しみの一つでもある。
(汚れた爪を見て春だなあと思う人、日本に50人くらいはいると思う)
つくしを卵とじにしよう。
ボウルにたっぷりの水をはってつくしをじゃぶじゃぶ洗う。
アクをとるために湯がいて、半日放置→水を変える。
フライパンに出し汁、砂糖、みりん、酒、醤油を入れて湯がいたつくしを入れる。
最後に溶き卵でとじて完成。
(甘辛く煮て溶き卵でとじると大抵のものは美味しくなる)
つくしを食べたことのない友人が先日「つくしってヤングコーンみたいな感じですか?頭のとこポリポリしてそう。」と聞いてきたけど、ぜんっぜん違うのでご注意を。
ヤングコーンではない。
そんなハイソなもんではない。
どちらかというと「しなっとした草の茎」だ。
でもそのしなっと感がなんというか、好きだ。
さらにつくしは苦味がある。
そもそも春の食材(草)はほろ苦さがあるのが美味しさのポイントでもあるので、その苦さが好きな人にはたまらないと思う。
他にはない独特な苦味と甘辛い味付けがぴったり。
「草」「爪が汚れる」「粉が出る」「めんどくさい」「しなっとした草」「苦い」
説明すればするほど本当に美味しいの?と言われそうだけど、(毎日食べたいかというとそうでもないが)春になると一度は食べたい、季節のお楽しみ、という位置付けだ。
興味がわいた方、つくしを食べたことがない方。
採るところからお楽しみは始まるので、まずは近所の土手、または田舎の川べりに行ってみよう。
犬の散歩コースには要注意な!
これ、野生児との約束。
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