見出し画像

上っ面の女性活躍推進は、いらない。そのためには。

日本企業の女性の活躍推進への取り組みの現状と背景、女性の活躍をより実現していくために必要な4つのステップが書かれている。

女性の活躍推進は、経営の選択肢ではなく、必要な経営課題だ、とはっきり書いている。
ジェンダーギャップが完全に是正されると、日本のGDPは13%も増加する、という試算が、ゴールドマン・サックスの副会長から示されているというから驚きだ。

でも、どうして日本で女性の活躍推進は進まないのか。
世界経済フォーラム(WEF)が国別に男女格差を数値化した「ジェンダーギャップ指数2021」では、日本は調査対象となった世界156カ国の120位、G7では最下位だった。
少しずつ状況は変わっているのかもしれないが、他の国と比べると、とにかくスピードが遅いのが現状だ。

日本でも、労働人口における女性の割合は、他の国とそれほど変わりがないにも関わらず、管理職や役員に占める女性の割合がかなり低いという。
その理由を3つ、示している。

① 家庭や学校における男女別の役割への固定観念の植え付けが未だにある。
「夫は外で働き、妻は家庭を守るべき」という考えは、現在でも4-5割の人が持っているとう調査もあるという。

② 就職段階で総合職と、一般職が分かれている。
多くの企業で、キャリアパスが確立されている総合職と、補助的業務の一般職を分けて募集し、採用している。
総合職として採用される女性が2-3割の一方、一般職の大半が女性であり、すでにスタートからキャリアに違いがある状態になっている。

③ 内部からの昇進が多い企業で、長年途中で辞めずに勤務した男性のほうが昇進しやすい。
結婚、妊娠出産、育児というライフイベントの中で、女性は仕事と家族の生活を両立することが難しい。
(この現状もなんとかしないといけないと思うけど…)
ライフイベントを理由に離職した場合、どこかでキャリアを再開しても、キャリアの断続期間があるため昇進はなかなか難しい。

並べてある理由をみると、ため息がでてくる。
これだけじゃないとしても、いろいろな理由が絡み合って、悪循環になっているんだろう。

BCGがあげる、日本企業が女性活躍を推進するための4つのステップは、正直目から鱗が落ちる思いで、
なんとなくの女性活躍!女性役員の割合増加!ではない具体的なものがあって、すごく納得できた。

① 一つ目。女性の活躍推進を、経営トップの主導で取り組むこと。
企業の人事部ではなく、もっと上、経営陣が主導で行い、組織全体に明確に必要性と方向性を伝えていくとよい、という。
人事課は具体的なプログラムを担うなどして、しっかり経営の一部として取り組む必要がある、という。

② 2つ目は、本当に女性が求めている取り組みを実践していくこと。
女性の活躍推進のために実際にどのような取り組みが必要か、ということについて、男女の認識に大きなギャップがある、というデータが、とても面白かった。
BCGの調査で、日本の女性マネージャーが有効だと考える取り組みのトップ3は
・時短勤務が可能。
・法律で決められている以上の育児休暇をとれる。
・柔軟な勤務時間と勤務場所
に対して、

大半が男性である日本企業のシニアマネージャーが有効と考える取り組みトップ3は、
・CEO/経営陣による女性の活躍推進の目標設定/公表
・男女ともに満足度の高い労働環境の実現(制服、オフィス設備など)
・女性の活躍推進/その他KPI(主要業績評価指標)の定期的な測定・評価・報告
で、女性が有効だと考える取り組みは上位に出てこない。

全然違うのね、もう認識が。
本当に欲しいものは、実際の勤務状態なのに、企業目標とか、測定とか。
そりゃ女性の活躍もすすまないわ、と思う。

本当に有効な施策をするために、女性の活躍推進なのだから、
女性のニーズをつかみ、そのニーズに応じた計画を立てていくことが必要だという。
ニーズに対して、どのアプローチが良いのか、どの順番で行うべきか、はそれぞれの企業によって異なるだろうけれど、まず女性のニーズをつかむことが大事なのは間違いないと思う。

③ 男女の差別なく、社員のマインドセットを行う。
育休を取りにくい、時短勤務で申し訳なさを感じる、女性活躍推進は女性への優遇なのではないか、無意識のバイアスで大きな仕事を男性社員に割り当てる…
女性の活躍推進が進まないこと、妨げになるような性別の違いによって生じる不公平さを、
日本の伝統や文化的な側面からのみ捉えるのは、拙速だ、と記事では述べている。

企業でとりくむ女性活躍推進であるから、社員一人一人がどのような葛藤があり、会社にどのような取り組みを期待しているか、をとらえ、
なんとなくはびこっている、性別に関する偏った考えからと変えるために、
全社員に対して継続的なトレーニングやサポートを提供する必要がある、という。

マインドセット、というとかっこいいけれど、つまり、意識の変革ということで、
それが一番難しそうだな…と思う。
“無意識に”行っていることが、女性の活躍推進を妨げているとしたら、それは、すごく難しいところだから。
意識の変革はマニュアルも作れないし、企業によっても違うはず。
でも、年代によっても考え方は違っていて、若い人が企業に入ることで意識の変化が起きていくこともあるのかも、と思いつつ。

④ すべての社員にとって有益な環境をつくる働き方改革をする。
これまでの日本企業は、残業や転職が可能なフルタイム従業員へ依存して成長してきたという。
それはつまり、男性ということ。
独身か、育児や家事はパートナーの女性が担っている場合に、成立するような働き方が基本、その形に依存してきたことを、変えなくてはならないという。

そのためには、労働の量や時間ではなく、成果の質に評価されること。
女性の活躍推進だけではなく、働く人すべてにとっても共通の課題の解決にもなる、という。

そのような働き方により、育児や介護に参加できるようになり、ライフイベントにも影響してくる、と記事には書いている。

4つのステップで、一番自分の中で大事だと感じたのは、
2つ目の、本当に必要なニーズをとらえること、そしてそのために必要な計画を立てること、その計画を実行して評価すること、というもの。

ジェンダーギャップの順位がとてもとても低いことが、テレビなどメディアでも放送されるようになった。
2021年の今年には、ある男性芸能人が「女性差別を感じたことがない」とか発言して炎上してた(というか呆れられてた)けど、
少しずつ変わる方向にあるとして、変えたいと思う人たちがいて、
具体的な方法が示されるものが増えていくといいなと思う。

参考文献
女性の活躍推進を日本企業で達成するには BCG(The Boston Consulting Group)
https://www.bcg.com/ja-jp/default.aspx
ジェンダーギャップ指数2021、日本は120位 G7最下位は変わらず低迷 | ハフポスト (huffingtonpost.jp)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?