小学校で教わった歯磨きの方法を覚えていない私と、性教育
26歳で助産師として働いている私の、ちょっと情けない、でも自分にとっていい学びの機会になった歯科受診の話をしようと思う。
先月受診した歯科で「小学校の時とかにやったかもしれないけれど、次の受診のときに歯科衛生士から歯磨きの方法を教えてもらいましょうか」と医師に言われた。
私は、「自分の事にならないと、人ってやろうって思えないんだな。」と情けない思いと、ちょっと腑に落ちたというか、納得した気持ちになっていた。
親知らずが痛くなったことをきっかけに受診した歯科。
親知らずはもちろん抜きましょうという話になったのだけど、同時に、
歯医者さんから20代の歯周病のリスクや、虫歯になりかけの歯もあることを指摘うけた。
歯磨きの方法、そういえば小学生の時にやったな、と思い出した。
皆で体育館に集まって、大きな歯の模型を見せてもらったような。
教えてくれたのは保健室の先生だったか、それとも外部から来てくれた歯科の先生だったか。
歯にピンク色の着色をつけたな、というぼんやりとした記憶。
2回目の歯科受診のとき、思い出した記憶の通り、私はピンク色の着色料を付けてもらい、うがいをし、歯の磨き残し部分だけの着色が残った。
歯科衛生士さんは私の磨き残し部分を確認ししながら、
「前歯の裏側は縦磨きで、他の歯は横磨きをしてください。2本ずつ磨くイメージです。」と丁寧に教えてくれた。
縦磨きに、横磨き、2本ずつ。小学生の時に歯磨きの授業で教わった気がする…。
その時に歯を磨くって大事なんだな、虫歯怖いな、と思った感想もよみがえってきた。
大事だな、教わった通りにやろう、って小学生の私は思ったはずなのに、
10年以上私は、教わったようにちゃんと磨けていなかったし、
虫歯かもって思いながら放置してたし、
親知らずが痛い、という自分の生活に支障がでる症状が出て、初めて歯科を受診したのだ。
私が歯科受診という経験から、自分事にならないと行動しないんだな、と情けない気持ちと、ちょっと納得した気持ちになったのは、
私が興味がある性教育の在り方と重なったからだ。
日本では包括的性教育が世界的に遅れていることを知って、小学生やもっと幼いころから、
自分の身体と心を大事にすること、周りの人の身体と心を大切にすること、といった、理解度や年齢に合わせた性教育をするにはどうしたらいいのか、
世界的にはどんな取り組みが行われているのか、興味があって調べている最中の歯科受診だった。
性教育の内容は幅広いが、自分の身体を大切にすること、生理、男女の身体、妊娠出産のこと、避妊といった多くのテーマを、
その年の子どもたちにわかるようにとかみ砕いて伝えたとしても。
例えばだけど、恋人ができたとき、予期せぬ妊娠の可能性があるとき、自分の事や自分の大切な人の事になって初めて、「そういえばあの時…」と思い出すのかもしれない。
私は性教育に興味があるから、性教育で考えてしまったけれど、
他にも男女の平等や、女性の就職のM字カーブ、セクハラにパワハラ、マタハラ、マイノリティーのことなど、その立場になって初めて、気づくということは、多くあるのかもしれない。
でも、私が、やっぱり歯磨きしっかりやろう、と今思えたのは、
そういえば、と思い出した小学生での歯磨き指導が、頭の隅っこにだけれど、記憶にあったからだと思う。
そんな風に、そういえばそんなことあったな、言われたな、なんか大事なことだった気がする、と
自分事になってからでもいい、思い出してもらえるように、ちょっと種を撒くような
そんな性教育に関わりたい、と思うようになった。
助産師として働く産婦人科で感じること、学ぶこともあるけれど、
日々のなかで気づいたことも大切にしたいな、と思いながら
次の歯科受診では、綺麗に歯磨き続けてますね!と褒めてもらえるようにしようと自分に誓った帰り道だった。
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