映画クレイマー、クレイマーのファッション
ダスティンホフマンが子育てに奮闘する父親を演じる映画、クレイマー、クレイマー。妻役はあのメリル・ストリープ、彼女の衣装のスタイリングがとにかく素敵なので、改めて注目したいと思います。
1979年の作品で、私はリアルタイムではないですが、10代の頃に観た記憶があり、両親の離婚に翻弄される幼い男の子がいじらしくて、涙した名作という認識だったのですが、今考えると、そういえば妻役はメリル・ストリープで、衣装が素敵だった印象がありました。最近個人的に70年代のファッションのエレガントな雰囲気がツボだった事もあり、久々に観てみることに。。
先に本題の衣装のお話ですが、メリル・ストリープの若い頃で、かなり明るめのブロンドのストレートヘア。この時代、日本でも石田あゆみさんとか、みんなこういうワンレングスっぽいロングの女性が多かった気がします。大人の髪型という感じで、そのブロンドの色に合わせるように、全ての衣装がベージュトーンで、時にブルーグレーを差し色に使っていたり、髪、肌、眼の色にお洋服も合わせた、全体の優しいトーンに憧れてしまいます。
とろみのあるオフホワイトのブラウスや、バーバリー のトレンチコートにロングブーツ。裁判のシーンではグレージュのセットアップにブルーグレーのブラウスとブーツ。まるでルメールエルメスのコレクションに出てきそうな雰囲気です。
そして私がこの映画で最も好きなアイテムが、ラストシーンのベージュのコート。ラグランショルダーのロングコートで本当に素敵。。!役どころが、少しメンタルが不安定そうな母親役で、いつも半泣きなので白い肌の目元が赤く染まっているのも美しく、グレーなのかブルーなのか微妙な色のアイカラーや全体の柔らかい色合いも、彼女の繊細なパーソナリティを表しているように感じます。
そして夫役のダスティンホフマンも、まさに70年代のメンズファッションの王道という感じで、私は嫌いじゃないんですよねー。股上深めの浅い色のデニムにマオカラーのシャツ、黒いジャケットとか、うんうん、日本だと当時の布施明さんを彷彿とさせる。。インテリアやマンハッタンを走る当時のアメ車も、この時代のエレガンスを感じさせて、たまらない美しさなのです。うふふ。ほら、観たくなってきませんか?
肝心のストーリーですが、ネタバレにならない程度に触れます。笑
大人になって観ると、この元夫婦のそれぞれの葛藤、愛、選択が少し理解できて、本当に良い話です。ドラマの視点は取り残される父子に焦点を充てているので、昔観た時はメリル・ストリープ演じる母がひどいキャラに思えたけど、今観ると改めて、悪い人はひとりもいない映画だと、私は感じます。この男の子がまたチャーミング過ぎて、さらに涙を誘うのです。。そしてラストシーン、え?!こんな結末だったっけ??完全に忘れていたのでビックリしました。。邦題はクレイマー、クレイマーですが、原題はクレイマーVSクレイマーだということも今回初めて知り、ストーリーと相まって奥深いタイトルです。
さらに、ひとつ興味深い事がわかりました。
エンドロールにCostumerという肩書きの名前が2人記載されていたのですが、調べたところ、そのうちのおひとりが、Marilyn Putnamという女性、もう亡くなっているようなのですが、この方ゴッドファーザーやアニーホール、グロリアの衣装にも携わっていたようで、納得のセンス。なんとご自身も女優として出演した作品もあったようです。アニーホールのファッションは有名ですが、グロリアもカッコよくて好きなので、点と点が繋がり、こんな方がいらっしゃった事がわかってなんだか得した気持ちになりました。ほんと世の中、まだ知らない偉大な方がたくさんいて、今のファッションやカルチャーの礎を築いてくださったんだな。。
70年代のファッションはとてもエレガントで、今の時代よりも大人っぽいスタイルが多く、改めて新鮮な要素が多いと思いました。
気になった方、ぜひ観てみてくださいね!
株式会社アンティー・デザイン⑤Vintage Laboratory
水野可奈子
インスタの個人アカウントでは、私の普段のヴィンテージコーデもご紹介しています。
https://www.instagram.com/kanachanseijin/
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