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もの、記憶、手放す

こんにちは。きっかけアクセサリー作家の、音海奏乃です。

今日は金曜日。音海奏乃が、感じたことや思ったことをつづっていく、かなのわーずの日です。

さて、突然ですがあなたには大切にしているもの、またはしてきたものはありますか? それは今でも、大切でしょうか。今回は、そんな大切なものに関するお話を。

形のあるもの、ないもの

形があるものと、ないもの。どちらが優れているとかではありません。ただ、ものに形があるほうが、大切にしやすい傾向にあると思います。

例えば、楽しかったライブの半券。あなたは、とっておく派ですか、それとも、写真に撮るなどして手放しますか? どちらであっても、あなたに合っているのならそれが一番適した方法です。今はデジタル化の時代で、ほとんどのものが電子化されているので、ライブのチケットも電子化しているかもしれませんね。

話はそれましたが、形があるものは、手に取るたびに、なんだか心の奥が暖かくなるような、目を閉じればあの感動がよみがえるような、そんな気がします。写真でも、目で見てその存在を認識することはできるので「あ、このライブ楽しかったな」という気持ちにはなるでしょうが、何となく、あまり見返さないで埋もれて行ってしまうような感じがします。

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一方で、形があるから強く思い出に残るかというと、そうでもありません。私が介護している親族は高次脳機能障害で、記憶部分に障害が見受けられるのですが、昔のことは鮮明に覚えています。何かきっかけがあると、すぐに昔の思い出話をしてくれるのですが、それはもう、ものすごくいい思い出だったんだな、と感じられるくらいです。それを見ていると、なんだか、記憶ってとても不思議なものだと思いました。形があるものも、ないものも、きちんとどこかには記憶されていて、何かのきっかけで思い出す

きっと、その人の中で印象が強ければ、形が残っていなくてもずっと、ずっと残り続けるのでしょう。それが例え、いい思い出でも、そうでないものでも

今、それは大切?

小さいころに使っていたおもちゃ、まだお手元にありますか。多くの人は、引っ越しや成長するのに伴って、手元には残っていないと思います。もし、残っている人がいたら、それは物を大切にしている証拠ですね。

大人になった今では、おままごとセットやミニカーなどを懐かしいと思うことはあっても、「今でも大好き!」と大きな声でいう方は少ないでしょう。

でも、思い出してみてください。そのおもちゃは、おもちゃ売り場で、泣いて泣いて、やっと買ってもらったおもちゃではありませんでしたか。クリスマスや誕生日におねだりした、おもちゃではなかったでしょうか。

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もちろん、全員がそうではないと思いますが、きっとそういうシーンを経ておもちゃを買ってもらった方は多いと思います。そのおもちゃは、その時のあなたにとっては大切でしたが、今はあまり、大切ではありません。言い方を変えれば、その物はなくても、記憶として、思い出として紐づけられて残っている。なので、その物がなくても、いつでも思い出すことができ、大切だったあのころの記憶がよみがえるのです。

片付けや断捨離に取り組もうとすると、どうしてもうまくいかなくなる瞬間が訪れます。そんな時は一度、「それは今の自分に、どのくらい大切だろう」と問いかけてみるといいかもしれません。

まぎれもなく、その時のあなたには必要だった、数々の物たち。そのとき必要だったんですもの、家の中に物が増えて当然です。でも、いざ、今になって向き合ってみると、「これはなくても生きていけるかも」というものがあるかもしれませんね。重要なのは、これからではなく、今この瞬間に、大切と思うかどうかです。もし、この瞬間は必要ないと思って手放しても、必要なものは何らかの形で手元に戻ってきます。それは、この先も必要な可能性があるので、そのときは取っておくといいでしょう。「いつか使うかもしれない」で先延ばしにしてしまっておくと、結局、劣化などで使おうとしたタイミングで使えないこともあります。それなら、写真でも残ればいいものは、写真に撮るなどして、上手に物と付き合っていきたいですね。

物がそこにないと寂しい、という方もいるかもしれません。よほどそれに思い入れがある場合は無理に手放す必要はありません。が。その手放せないと思っているものを、最近、何回思い出しましたか。手に取りましたか。もし、すぐに答えられない、忘れている場合は、今のあなたには必要がない、なんて場合もあります。自分の心に、聞いてみてください。

よみがえるのは、酸いも甘いも

今は物がなくても、記憶がよみがえる。それは、つらい思い出にも言えることだと思ったのです。

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生きていれば、つらい思いをすることはたくさんあります。その中で、すごく深く傷ついたことが、あると思います。それに似たようなシーンに遭遇すると、その時の光景がよみがえるほど、つらい思いをした方もいるかもしれません。私にも、あります。つらい経験をしてからは、その経験にとらわれすぎて、前を向くことができていませんでした。似たようなシーンに出会うたび、その時の記憶がよみがえる……。抜け出したくても抜け出せないループのようになっていました。

しかしある日、気が付いたのです。もう、その人からは離れた。ということは、同じことを言う人はもういない。それなのに、どうしていつまでも記憶し続けているんだろう、と思ったのがきっかけでした。そして、起きる物事は学ぶためだというのが信条なので、「学ぶことは大切、だから、あの記憶からも学ぶために、保管しているんだ」と気が付いたのです。そこから冷静に客観視して、どうしてそれを嫌だと思っているのかを深く掘り下げました。結論が出たら、「もう、これは学んだことだから、大切じゃない、手放そう」と決めてみました。

もちろん、これが嫌な経験をした後、すぐに出来たわけではありません。効果もすぐにあったわけではありません。ですが、時間はかかっても、手放すこと、苦痛を和らげることはできたのです。

今、何かに悩んでいる人やつらい思いをしている人は、無意識のうちに、大切、のゾーンにそれらを入れてしまっているのかもしれませんね。もし、落ち着いて、少しずつ、自分と向き合う時間がとれたなら、試してみてください。そうすると、「なんだ、あれは思ってたほど大切じゃなかったんだ」と気が付いて、少しだけ気持ちが軽くなるかも……

今すぐ手放せたらいいのですが、それは難しい。けれど、少しづつでも手放して、軽くなれるのなら、試してみませんか。本当につらい場合は、背負い続ける必要はありませんから、無理をせずに周りの助けを求めてくださいね

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ここまで、手放すことについてつづってきましたが、いかがだったでしょう。物理的なものを手放すのは早い私でも、つらい記憶を手放すのには時間がかかりました。同じように、つらい記憶で困っている人の助けになれれば幸いです。

きっかけアクセサリー作家

音海奏乃

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