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Fuzzy Feeling in Head(2)

えらいことが起こってしまった。

このタイトルでNoteを書き始めた時は、私が感じた老人たちとの交流だとか、痴呆や介護についてだとか、老いとか自分の年齢とか思うことを書くつもりだったのだが。(その1はこちら

毎日の生活の中で、漫画かよ!とか、ドラマかよ!みたいなことが時々おこる。メロドラマみたいなことが現在進行中で発生している。

これまでのまとめ。
おば1=妹(おば4)の面倒を見る。  75歳
おじ1=アルツハイマー(弱)のじぃさん78歳
おば4=膝の人工関節置換手術。    52歳
おじ4=アルツハイマー(強)のじぃさん89歳

1)アルゴのおば4が手術をして介護が必要になったので、遠くに住む一番年上のおば1が2週間ほどを予定してわが街にやってきた。
2)おば4には、歳の離れた夫(おじ4)がおり、重めのアルツハイマーである。
3)おば1の夫(おじ1)も軽度だがアルツハイマーなので、今回のおば1の滞在に一緒にやってきた。
4)現在は、歩けぬおば4、アルツハイマーのじぃさん2人、そしてその3人を面倒みるという形のおば1。

年寄りが年寄りと重病人の介護をしているのである。我々、夫婦ももちろん、買い物にいったり、様子を見に行ったり、病院に連れて行ったりとできる限りのことをしている毎日。本日で15日ほどになる。

おば4が手術に行く前日に、たくさんの人が無計画に、無意味に彼女の家に集まったのだけど(その1)、その時に登場したおじ4の息子。この人がしでかしてくれたのである。

おじは87歳、おば(52歳)との結婚は再婚なのである。おばは初婚。二人の出会いは、おばが20歳の時。おじは57歳、前妻と別居中であった。

おばにとって、おじは、最初で最後の男の人なのである。すごい話である。とういか、57歳に恋する20歳というのも謎。おばは若いころ、それはそれは美しい人だった。人懐っこい、親切な性格。その1でも書いたけれど、おじは若いころはピンプ(売春斡旋する人。娼婦にお金を貢がせる人)だったから、手練手管に長けていたのかもしれない。

私は日本にいる頃、22歳の時に38歳の人と付き合ったことがあったが、16歳差でも何かとギャップがあったし、アルゴとは7歳差(私が上)なのだけど、それでもギャップを感じることがある。35歳差って想像もつかない。ともあれ、おじおばは、数年前に籍をいれた。

おじは前妻との間に3人の子がおり、子供と言っても、全員がおばよりも年上なのである。おじの子供たちは継母となった自分たちよりも年下のおばが気に食わない。息子が継母より16歳上なのである。そういう設定、映画とかでみたよぉという感じであるが、現実である。もちろん、大人なので表面的には、ウフフ、アハハな仲良し家族を演じていはいる。

幸い、おじの子供たち3人のうち、2人は遠くに住んでおり(そしてそのうちの1人は服役中である)、1人の息子が近くに住んでいる。とはいえ、息子はおじの面倒を見たりはしない。普段の生活の面倒はすべておばに投げっぱなしだし、金銭的な助けをするわけでもない。家にくることもめったにない。

そもそも息子(68歳)は自分の子供(3歳)の面倒を見るので忙しいのだ。孫ではない。子供だ。ちなみに嫁は元レズビアンの薬中。28歳で子供を産んで1年で薬物厚生施設に強制入居させられその後の消息は不明である。普段は家に寄り付きもしないこの息子が子供を連れて、おばの手術前日に突然、ふらりとやってきた(その1)に私たちはもっと警戒すべきだったのだ……

数日前の話。仕事の後、おば4の家に行くと、おばたちは怒り狂っていた。ちなみにじぃさんたちは、また二人ともポーチに座ってなんか昔の話をしていた。そしてその会話はまったく噛み合っていなかった。その日の朝、おじ4息子が、『老人がネグレクトされている』と機関に通報。街の職員が数名で状況の確認に来たのだという。

ネグレクト……おば1は、看護師の資格を持っており、きちんと看護師免許の登録もしている。おば4は大きな手術をして動けないため、おば1をメインに、我々夫婦やおば4の友人たちが入れ替わり、立ち代わりで家のこと、おば4夫婦の面倒をみている。ネグレクトとは?という状況なので職員たちはすぐに帰った。が、もちろん、後日、別の調査員を送るということだった。

おば4は大層、打たれ弱く、すぐに落ち込む人なので、大打撃である。ただでさえも、手術で心が弱っているのである。そもそもおば1(と、おじ1)がこの街にやってきてるのだって、この息子が全く何の役にも立たないうえに、手伝いをしないからではないか。

最初、おば4に手術が必要をなったと聞いた時、私たちはうちでおばの面倒をみるつもりでいた。おじ4は息子に頼んで。でも息子が何もやらないというので、おば4は、おじも一緒に連れてきていいかと尋ねたが、それはいくらなんでも無理である。なんせうちには、手のかかるアルゴという夫に、3匹の犬がおり、私もアルゴもフルタイムで働いているのである。そんなとこに、介護が必要な人間と、アルツハイマーのおじの面倒を同時にみれるはずがない。こいうことに関しては私がメインにやるのだ。だから無理なことはきっぱり無理と断った。

大体にして、おばは、アルゴのママの家族ゆえ、わかる。だが、おじは、我々(私たち夫婦とおば1夫婦)にとっては他人なのである。そりゃ親戚付き合いはあったけれども、歳をとっているとは言え、元気ぴんぴんなのだから、実の息子が面倒をみるのが筋というものではなかろうか。家族でもない我々が面倒を見ているというのに、通報するとは何事か。そりゃ怒る。

それから2日後。今度は、夜の10時に警察官が来た。『老人が虐待されていると通報がありました』老人たちしかいない家では夜の10時なんて真夜中なんである。全員が寝ていたところをたたき起こされるという形。

いうがもがな、通報したのはおじ4の息子である。とはいえ、当然だが虐待の事実はないので、警察官もすぐに帰ったのらしいのだけど。ここまでするということは、つまり、あれ。

虐待、ネグレクトで通報三昧→おじ4は施設へいき、おばは何かしらの罪に問われる→おば4を追い出す→家を乗っ取る。

と、こういう筋書きが明確に見えてきたわけである。おばたちほどではないが、それでも憤慨しているアルゴがおじ4の息子に電話をして、どういうことか問いただしたら、息子はなんと、弟がやった、俺ではない、と言ったらしい。君の弟は服役中ではないか……何をいっているんだ、このジジィ。服役中の!弟が!どうやって!!!

息子、と書くとなんだか錯覚するけど、この人、68歳なのだ。

その歳で3歳の子供がいるくらいだから、見た目も若いし、ぴんぴんしている。さらには、すでに退職している年齢なので働くこともなく年金暮らしなのだ。オメーの!親父の面倒を!血のつながりもない我々がみてるんだが?オメーが、役立たずで、そもそも助ける気もないから!と罵倒したおしたいところである。大人だからしないけど。

ともあれ、2回通報されているので、虐待、ネグレクトが事実でなくても警察官や福祉関係の人らが随時、家にやってくる上に、おば4は大打撃を受け、しょぼくれているし、おば4と他2人の面倒を見ていたおば1も疲労困憊。そらそうだ、介護だけでなく、こんなクソみたいな案件(そもそも、来た初日から押し掛けた人たちへの対応もあったのだ)私だったら、自分の家に帰る。おば1は来週には自宅に帰るそうなのだが、どうなるというのだ。おば4はまだロクに歩けない。むぅん。

ともあれ、現在進行中なので、これからどうなるかわからないのだけど。Fuzzy Feeling in Head (頭がなんかモヤモヤしている状態)なじいさんたち、おじ4(アルツハイマー強)とおじ1(アルツハイマー軽)1は、今日も今日とてポーチに座り、噛み合わない会話を繰り返している。

私が行くたびに、やぁ、お嬢さん、初めまして。の会話から始めるのである。毎日、毎日、私はこの初めましてからの、この国にきて21年、あなたたちの甥と一緒になって20年になりますよ。今日はおば4のご飯をもってきましたよ、手術をしたからね。と、こんな会話をするのだが。そのたびに、
えっ!21年も!日本から!なんてことだ。
えっ!甥の?!てか、甥ってだれだ?
えっ!そうなの?おば4が手術を?!?!
えっ!何、我々に食事をもってきてくれたの?!
とまぁ、とにかく、気持ちはさながら、タイムリープをし続けるアニメの主人公な気持ちになるのである。

それにしたってこれからどうなるのか。考えられないようなことが立て続けに起こったので、私たちも次に何がくるのか予測すらできず、うへぁという気持ちになっているのだ。

(続く)












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