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スカンク屁被害事件簿

先日のNoteで呪詛を吐き散らかしたが、思い出したら、むかむかしてきたので詳細を書くことにいたした。スカンクの話。

我が家の隣人は野生の動物に餌付けをする。我が家は住宅街にあるがなんせ北米の田舎である。野良猫、野良犬などは存在しないが(本当にいない。在米歴も22年になるが見たことがない)リス、ウサギ、鳥(鳩・カラスを含む)などはもちろん、オポッサム(死ぬフリのうまいネズミを巨大化したようなもの)ラクーン(狸)、スカンクなどが我が物顔で闊歩している。もちろん、隣人のせいでうちにも来る。

オポッサムはノミやダニを食べてくれるので良き動物だが、見た目が微妙。こんなもんが普通に住宅街をウロウロしていたらビビる。体長30センチとかくらいでネズミの尻尾のようなものがあるのだ。コイツを見るたびに忍者タートルズのネズミ師匠を思い出す。

そしてさらに田舎に行くとクマや鹿もいる。これは、北米生活ならではのネタでもあろうと思われるので、前回のNoteでは語り切れなかったスカンクへの呪詛を吐き散らかしたい

スカンク(憎)ゴミを漁ったり、放屁する迷惑者。でかくなるのはめっちゃでかくなる。最大70センチくらいにまでなるらしい。

ご存じの通り、スカンクは敵を退けるために臭いおならをする。Wikiによると「ネコ目(食肉目)イヌ亜目スカンク科に属する哺乳類の総称である。肛門の両脇にある「肛門傍洞腺(肛門嚢)」から、強烈な悪臭のする分泌液を噴出し、外敵を撃退することで知られている。漢字を当てて臭獣とも表記された」臭獣、なんとドンピシャなお名前かっ!猫なのか!犬なのか!はっきりせいや!ともうその分類にまで怒声を起こしたくなるほどに憎んでいる。

強烈な悪臭。これは、ムスカ大佐ばりに、目が!目がぁぁぁぁぁ!なるような臭い。バルスができるのであれば私は躊躇いなく100発くらい打ち込んでやりたい。

どのような臭いか、と言われると形容がなかなかに難しい。肥溜め。💩を山盛り集めて1年くらい放置したらスカンク・スメルになあるかもしれない。強烈で猛烈な刺激臭なのだ。しかも臭いが染みつく。なかなか落ちない

たまに車に轢かれたスカンクが道路にいるのだが、その死体の横を車で通るだけで、エアコンを通じて臭いが浸透する。ゴミを漁ったり、花壇や家庭菜園を荒らしたり、色んな病気を持っているので当然のように害獣設定であるが、なんせこの強烈な屁があるため、迂闊に近寄れず、庭に巣など作られたらもう最悪である

この場合、Animal Controlといって、自治体がやっている野生動物に関わるオフィスに電話してきてもらう。ちなみにAnimal Controlはペット虐待の通報や、怪我をした野生動物などの救助などもやっている。我が家でも一度、ベランダの下に怪我をしたスカンクが迷い込み、助けてもらった。なんせそこにいるけど、臭いから自分たちでは、捕まえることもできないのである。瀕死とはいえ、ヤツらには放屁という超攻撃手段が常にあるのだ。

隣人が餌付けするうえ、迷い込んだスカンク一家をガレージで飼っていたこともあり、我が家の犬たち、りんごとまめ子さん、そして私はこのスカンク屁被害にあっている。自宅の庭で(憤怒)

住宅街に住まうスカンクは非常にふてぶてしい。東京に住まうカラスと同じレベルでふてぶてしい。夜行性であるはずなのに、朝も早くから、真昼間でも我が物顔で道を闊歩している。人か近づいても逃げたりしない。散歩中などに遭遇すれば、回避ルート一択なのであるが、回避できないこともある。以下は我が家で3回起こった放屁事件レポートである。

スカンク屁被害事件簿1.私とリンゴ🐶。

あれは早朝のことだった。散歩に行くには早すぎるため、私はリンゴ氏を前庭に出し、おしっこをさせていた。リンゴ氏はいつも通り、そのかわいらしい尻尾をプリプリさせながら前庭をうろついていたが、目の前にのっそりとヤツが現れた。朝4時である。

大声を出せば、ヤツは近づき、放屁する。私は、ひぃっと口元に手をあて、音を立てないようにして、リンゴに駆け寄り、抱っこしてポーチに避難した。おしっこの途中だったリンゴ氏の尿が手についたが、オー・ニョゥなどと下らぬことを口にしている場合ではない。

ヤツとの距離は1メートルほどである。ポーチに設置しているゲート(犬たち脱走防止用)をしめ、中に入ろうとしたのだが。ヤツはなんと我々に向かい、突進してくる。

ぎゃぁぁぁぁぁ。心の中で叫んだ。ちょ、なんで!何でこんなに近くまで来るのよ!慌てて玄関ドアを開けようとする私にヤツはニヤリと視線を向け(た、ように見えた)くるり、とお尻を向けると盛大に放屁した。私と私の抱いていたリンゴ氏に向かって。ちなみに音はしない。

目が!目がぁぁぁぁぁ!

そう、前述のムスカ大佐は実際に私の口から出た言葉なのである。

早朝、ご近所に響き渡る私の声に、向かいのアパートに住む人、隣人(餌付けしてない方の隣)が声を聞きつけ家から出てきたが「こないで!!!スカンク!スカンクいるから近寄らないでぇぇぇぇ」と叫ぶしかない。隣人たちも臭いに顔を顰める間もなく、ぎゃぁ、と言って退散した。

その日、私は仕事を休んだ。「スイマセン、至近距離でスカンクに放屁されたので今日は仕事にこれません(涙)」とそんな言い訳ってある?そんなバカな!的な言葉であったが、ボスは、「いやいやいや!むしろ、来ないで!絶対に来ないで!めっちゃ臭うでしょ?臭い、落ちないんでしょ!オフィス中が臭くなるのは絶対にごめんだから、臭いが落ちるまで来ないで」とまで言われるくらい、この屁は臭く、そして染みつくのである。臭いが!

私は目が!目がぁぁ!のまま、シャワーに駆け込み、何度も何度も自分とリンゴを洗ったが、臭いは3日間残り、ついでに私とリンゴに染みついた臭いのせいで、家中が臭くなった。仕事は翌日には行ったが「くさい、くさい」と言われた挙句、使用していない会議室に個別隔離された屈辱である。

ちなみに「ポーチの階段登ってきたの!不可避だったの!」という私の言葉を信じなかった夫アルゴ。「どうせあなた、ちょっと鈍いとこあるからあわてて逃げ遅れただけでしょ。ポーチとか大げさな。そんな図々しいスカンクがいるもんか(苦笑)可哀そうなリンゴボーイ。とろい貴女の巻き添えだったんだろ」などと言っていたが、防犯カメラに写っていた私とリンゴ氏が放屁される瞬間を見て「え、嘘……まじか」と疑ったことを詫びたが、「ぎゃははは。ウケる。まじ、すぐそこでやられてんじゃん」と大笑いしながら友人らにそのビデオを見せまくったことを私(と、リンゴ氏)はまだ許していない。

スカンク屁被害事件簿2.りんご🐶。

第二の事件は翌年起こった。第一の事件後、私はDe-Skunkなる単語で徹底的にググりまくったので、スカンク臭い消しについていささかの知識ができた。De-Skunk(スカンク消臭の意)などなんの役にも立たない英単語である。まったく、字面だけでも腹立たしい。

万が一に備え、犬用のDe-SkunK用品。つまり、屁の臭いを取り除くシャンプーなどを購入した。多くの犬・猫たちが被害にあっているのであろう。それはそれはものすごい量のDe-Skunk用品が売られている

もちろん、家庭にあるものでもDe-Skunkできる。オキシドール消毒液、重曹、それに食器洗剤を混ぜたもので洗うとか、オキシドール、重曹、酢を混ぜたもの、とか。トマトジュースで洗えとか、マウスウォッシュが効くとか色々ある。嘘みたいな話だがトマトジュース(100%)は確かに効いた。

夏だった。庭でBBQをしていた我々は、「ギャン!!」というリンゴの悲痛な声を聞き、すわっ!慌ててみれば、フェンス越しにヤツがいた……おそらく、リンゴはその野生でいち早くヤツの存在に気づき(私たちはちっとも気づかなかった)近寄ったのだ。そして再度の屁被害に……

第1の事件ではいささかの距離があったものの、この事件では間近も間近の距離でやられたらしい。恐ろしく臭い。ヤツはまたもチラチラを我々を馬鹿にしたような視線を送り、やれるもんならやってみろ、もう一発、かますぞ、とばかりに高々と尻尾を宙にあげ、挑発している。むぐぐぐぐ。

リンゴをやられ、そして臭いでBBQを台無しにしたうえ、去る気配すら見せないこのふてぶてしいスカンク。体長は60センチほどと巨大であった。夫アルゴは、Fワードを連発しながら、家の中からBBガンを持ち出し、ヤツに向かって撃った。くそが!俺のステーキを台無しにしやがって!このクソが!と、サミュエル・ジャクソンも真っ青な勢いでFワードを吐き散らかし、BBガンを乱射した。当たりはしなかったが、ヤツはそそくさと逃げて行った……隣人の家へのガレージへと(怒)

そう、この一件で、隣人がこともあろうか、スカンクを飼っていることが判明したのだ

幸い、夏であったので、可哀そうな(超くさい)リンゴ氏は、庭で洗われた。リンゴ氏は、常に家の中の風呂でぬるま湯で優しく洗われているため、外で、水やりのホースでじゃばじゃば洗われるなぞ、噴飯ものなのである。普段は吠えないのに、この時は激しく吠えまくった。

専門の洗剤を使ったというのに、それでも臭いは残った。首輪にまで臭いが染みついたため、首輪も新調。家の中への臭い拡散防止のため、リンゴ氏は翌日、グルーミング店に連れていかれるまで地下室に隔離され、臭く、可哀そうなリンゴ氏の悲痛な鳴き声が響いていた。許すまじ、スカンク。


スカンク屁被害事件簿3.まめ🐶。

それは第2の事件後、3週間後に起きた。まめ子さんの悲劇である。

第2の事件後、我々は庭のあちこちにスカンクが嫌うという市販の粉をまき散らした。狐の臭いのするソレは臭かったがスカンクよりはマシである。そして新たにより効きそうなDe-Skunk製品を買いそろえた。もう二度とご免だが、二度あることは三度あるである。そして実際、起こったのである(憤怒)

第2事件後、夫アルゴはもちろん、隣人に文句を言いにいった。Fワードはなかったが、勢い的には再度、サミュエルジャクソンが憑依していた。

お宅の庭からやってきたスカンクに、リンゴがやられた。そしてそのスカンクはお宅のガレージへと消えた。もしかしたら、あなた方が蒔いているリスへの餌を食べているかもしれないので、野生動物への餌やりを控えて欲しい、との旨を伝えたところ、隣人は「あぁ、あのスカンクはうちのガレージに巣を作っていて、餌をやっている」と悪びれもせずに言ったのだ。むぎぎぎぎ。

怒り狂った我々は、Animal Controlへと電話をいれて苦情を述べたが、居住者の通報でないと強制的に排除することはできない、と言われ、更にむぎぎと唇をかみしめた。とりあえず、うちの庭には来ないように、金網のフェンスを覆うように木製のフェンスを設置。庭のフェンスに穴がないかもチェックした。

アメリカの夏といえばどうしてもBBQなのだ。その日、我々夫婦は、友人たちを呼び、庭でBBQをしつつ、Movie Nightを開催していた。庭にスクリーンを設置し、映画をみるのである。ちなみに見ていたのはJohn Wick(キアヌリーブスが引退したスゴ腕の暗殺者の映画)。

映画が終了し、そろそろお開き、という時間になってまめ子さんがいないことに気づいた。リンゴ氏は、第2の事件以来、庭をうろつくことを好まず、ずっと私の足元にいた。まめ子さんも最初は一緒にいたのだが、なんせ気まぐれレディ。気が付いたらいない。だが、庭に逃げる場所はないので、庭にいるはずだと、私は探した。

庭には小さな物置小屋があり、それは隣の家に隣接しているのだが、まめ子さんはそのそばに、小さく固まって、ブルブルと震えたいた。

……く★さ★い★!!!……

なんということでしょう。今度はまめ子さんである。むぎぎぎぎぎ。

私は隣の家を覗いてみた(台に登って、塀の上から)な、な、な、なんということでしょう。塀の向こう側には、まめ子さんと同じくらいの大きさのヤツらが3匹。そして前回の超巨大スカンクが!我が家の庭を見張るように、ずらっと並んでいるではないか。

おーいどうした?まめ、いた?と暢気に私の動向を尋ねる夫アルゴと友人たちを完全に無視し、私はものすごい勢いで、BBガンを手に取り、台の上から奴らに向けて発射した。第2の事件で夫アルゴがBBガンを撃ったことをやりすぎだと批判したが、そんなことはすっかり忘却の彼方であった。

あの瞬間のアンタはまるでジョン・ウィックが乗り移ったようだったよ……

そう言った友人たちは、この事件以降、私の事をRIngo(本名)Wickと呼ぶようになった。よほど殺気立っていたらしい。「なるほど、流石、Crazyなアルゴの奥さんだよ。今まで怒ったりしてるの見たことないかったけど、君ってある意味、アルゴよりクレイジーなんだね」とまでいわしめた程に、私は無言のまま、恐ろしい勢いで怒ったのだ。ちなみに私は結構な射撃の腕を持っている。

だって!だって!可哀そうなまめ子さん。おそらく、子スカンク3匹、および、巨大スカンクの合計4匹にやられたのだ!!!

目も真っ赤に腫れ、開けられず、なのにぼろぼろ涙がこぼれる状態。気高きまめ子さんであるというのに、鼻水がずるずる止まらない状態。まめ子さんはショックのあまり声すらあげられずフリーズ状態で一歩も動けないまま、ぶるぶると震えていたのだ。臭いだって、私+リンゴ氏、リンゴ氏単独でやられた時の数十倍は臭かった臭死する可能性だってあったかもしれない!(そんな言葉あるかしらんけど)しかも、まめ子さんは当時、毛が長く、毛が臭いを吸収したのか、臭さ倍増であったのだ。

新たに購入したDe-Skunkシャンプーは前のものよりは効いたが、そんなことより、ショック状態、目を洗っても開けられない、止まらぬ鼻水、ぶるぶる震えたままのまめ子さんを動物救急病院に連れて行ったため、車の中がしばらくスカンク臭く、大層、不快な思いをした。病院では、やはりDe-Skunk処置をしてもらい、目の洗浄、気持ちを落ち着かせるお薬をもらった。それでもまめ子さんが通常のピコピコ元気なまめ子さんに戻るまで3日ほどを要したのだ。

後になって思ったが、アレは、夫アルゴのBB弾にやられたスカンクが子を引き連れて、リベンジのきっかけを待っていたのだ(真顔)あの夜、目撃したスカンク家族は、本当にずらり、と塀にそって並び、こちらの庭をうかがっていたもの。この事件のせいで、まめ子さんは自慢のさらさらヘアを短くした。しつこい臭いが取れなかったせいである。むぎぎぎぎ、スカンク。

結局、この件で我々は再び、Animal Controlに通報し、とにかく何とかしてくれ、と懇願したところ、隣の家へ『苦情が来ているが、まさか野生動物を飼ってはいないか?』と尋問する形式で行ってくれ、そこからガレージのスカンク家族の存在が発覚。無事に奴らを捕獲してくれた。

だが、それでも隣人は今日も元気にピーナツを庭に撒き散らかしている。

家を購入してから6年目になる。私が今、最も懸念しているのは、大五郎さんである。去年の夏はまだ赤ちゃんだった大五郎さん。庭に放っても大して長居はさせなかったのであるが、今はもう好奇心満々、お外大好きのアホ・アホ☆ボーイ🐶である。

今も、ウサギが物置小屋の下に巣を作ったらしく、庭に出すとその周りをぐるぐる回り、吠え捲り、穴を掘り、なんとかウサギを捕まえようとしている。今年の夏は、大五郎が屁被害にあいそうで今から対策を練る私なのである。もういっそ、引っ越ししてしまいたいよ。ふう。


他の我が家の犬話。


















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