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Sequel-5

A sequel to the story。後日談。これまでに書いたNoteの後日談もろもろ。過去Note記事は、文中クリックで読めます。今回は、サンクスギビングの話と我々の出会いの話であるOLDE ENGLISHの後日談。

山中暦日

夫アルゴと犬たちを連れて山籠もりしてきた。今年はサンクスギビング中止の宣言をおばにした後、サンクスギビング前日から私の誕生日まで、車で2時間ほどの所にあるスキーリゾートのキャビン。

ちなみに、サンクスギビング中止のお知らせをおばに伝えたのは夫アルゴであったのだが。おば……『今年のサンクスギビングあなた達の家でおじ側の家族も呼んでやりましょ!』(注:おばは料理が苦手で家も物で溢れている)と普通に言ってきたらしい。何するの?とかどうするの?ではなく。もう出発地点からおかしい。大前提で開催場所=うち、料理する人=私、になっている。しかも客はほぼほぼ知らん人。

そこで夫は『うちの妻はケータリングサービスでもねぇし、おじさんとこの家族とか俺らとはなんも関係ねぇし、そもそもうちはレストランとかでもないんだから、自分の“家族”とのサンクスギビングは自分ちでやんな。俺らは山に行くからいねぇよ』とだけ言って放置プレイしてきた。対応してたら泣くか、私たちも一緒に山に行くとか言い出すからとっとと逃げてきたと言っていた。

というか、おばは忘れてしまったのであろうか、この夏、おじ息子(クソ)に老人虐待だと警察に通報された挙句、家を乗っ取られそうになったことを!!(叫)なんでそんなの呼んでディナーしようと思うのか。意味がわからない。彼女の長所はとても懐が深く、許す精神旺盛の人ではあるが……(私なら許さんし、絶対にもう二度と顔もみない)

私の住んでいる街も田舎であるが、アメリカの田舎というのは、本当に田舎なのである。The山!The農場!といった感じで、家があっても隣の家がない、とか。一番近いコンビニまで車で30分とか。文字通り、何にもないところもある。田舎街の我が家から、さらに車で2時間の山である。気温も5度くらい違う。

デジタルデトックス。今回過ごした山のキャビンは、インターネットもなく、携帯も通じないところで、テレビもない。3日間、夫アルゴと犬たちだけでゆるゆるとした時間を過ごせてとても良きなサンクスギビング。

サンクスギビングのNoteに書いた料理せず、オンラインで購入した鹿児島産和牛セット、和牛ステーキセットをメインに、夫から私への誕生日ギフトのキャビアセット。それに合わせてサイドディッシュをいくつかとガーニッシュ用のハーブだとか諸々を持参。キャビンには小さなキッチンと、ホットプレートと電子レンジがあったので、食べる直前に盛り付けてあっためて、肉を焼くといった簡単な流れで大満足の山ごはん。

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初日Dinner: チーズフォンデュ、サーモン&クリームチーズのクラッカーにのっけたものと、自家製レーズンバター(東京にいる時に通ったバーのマスターに教わったのだ)キュウリとディルのサラダ。後はシャルドネ、Boo Doo RangerなるIPAビール(最近のお気に入り)バカルディスパイスラム、プロセッコ。

ちなみに食料も酒も大量に持って行ったので備え付けの小さな冷蔵庫に入りきらなかったのだけど、外はもう寒いのでデッキに置いているだけで冷え冷えになる天然冷蔵庫。野生動物の用心のために外に出して冷やしたのは飲み物関係のみ。山では、狐、たぬき、鹿、熊、コヨーテとか普通に出る。

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翌日Dinner: キャビアは夫アルゴの命により『せっかくだからね!ロシア人が食うみたいにして食べるよ』とのことで、夫に言われて用意したもの。

ゆで卵(白身と黄身)紫玉ねぎのみじん切り、チャイブス(小葱)みじん切り、フレッシュパセリのみじん切りを用意し、サワークリームのようなディップ(セットについてきた)。それに、スペシャルなクラッカーというか、ミニパンケーキのようなもの。これらをお好きに盛り、キャビアを乗っけ、ウォッカと共に食す、というのがグーグル先生が教えてくれたロシア方式。キャビアの瓶は氷を並べた皿の上に載せること、も必至なんだそうだ。

ウォッカはBelvedere Vodka とてもスムーズでそのまんまでくぃっと飲める素敵なのど越し。Grey Gooseよりこっちのが好み。

それにばばんと和牛。最近はオンラインでなんでも買えるから本当に便利。なぜ鹿児島和牛かというと地元贔屓というやつ。オットが地元に近いところのものを取り寄せてくれた。ステーキには家から作ってきたマッシュポテト、バターコーン、マカロニチーズ、蒸し野菜にサラダを付け合わせにして。〆はステーキを焼いた鉄板の油をそのままにごはんを投入。塩コショウして、刻んだ葱いれて炒めた後、卵を入れて、チャーハン。

ちなみに朝ごはんは宿側から提供されるのだけどそれが、ヤギのヨーグルト、卵、シリアル(すべて地元産)と自家製のバター、メイプルシロップ、そしてサワードウブレッド(天然酵母のパン)これらがまた絶品。

大満足満腹のお山ごはん。お肉もお酒も誕生日プレゼントとして少しお高いものを購入したのだけど、後になってよくよく計算してみると、これ結局、毎年恒例のサンクスギビングディナー(6~8人分)作るのと変わらない感じの経費だったので、なんならもう毎年、コレの方がよくね?好きなものを好きなだけ食べておしまいって最高じゃね?となった次第。

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もちろん犬たちもみんなスペシャルごはん。ちなみに大五郎さんとマメはちょっと不安だったのでオムツ使用。手前がまめこさん。真ん中がリンゴで、一番でかいのが大五郎ベイビー。

本を読んで、編み物をして(犬セーター2枚出来)、アルゴと沢山おしゃべりして、山道を散歩して。ジャグジーのお風呂に入って、おいしいお酒とごはん。アルゴはなぜかずっとドイツ語の勉強をしていた。久しぶりのゆったりとした時間を過ごせたとても良きなサンクスギビングであった。

それにしてもデジタルデトックスって大事。まぁ今回は、おばや他の親族からの電話を避けるために、あえてそんな山奥にしたわけだけど。二人でしゃべったり、ゆったりしていて気付いたけど、普段、どれだけスマホを見てるか、パソコンに向かってるか、そうでなきゃテレビをみてるか。そんなことに改めて気づいて、うひゃぁってなった。こんな風に強制的なセッティングじゃないとデジタルデトックスって難しいけど、きっと現代を生きる中でとても大切なことなのかも、なんて思った次第。

ちなみに外の景色は駆け込みで間に合った感じで最後の紅葉を見れたのだけれど。いつもは肌身離さずのスマホも「どうせ通じないし」「どうせ使わないし」なんて感じで完全放置だったため、外の景色写真は無いのである。

さんちゅうれきじつ【山中暦日】俗世間を離れて、山の奥深くで悠々と生活すること。「山中さんちゅう暦日れきじつ無なし」という句の略で、人里離れた山の中で暮らしていると、月日の過ぎるのも忘れてしまうという意。


山簡倒載

創作風味に書いた私たちの出会いの話。それを書いた後、どこかに最近はかのゲットービールも全然飲んでいないなんて書いたのだけど。山小屋から帰宅した翌日、夫アルゴが不意に、最近飲んでないから、OLDE ENGLISHが飲みたい、などと言いだした。たまたま見ていた90年代のギャング映画に出ていたらしい。

「いや、今夜はほれ、私の誕生日、本番だからね?ドンペリ飲むし、取っておいたキャビアと和牛も食べるし、まだお高いウォッカもあるんやぞ?」という私の言葉に、「キャビアも和牛も、お酒も全部、アンタへの誕生日プレゼントだから、それは全部、アンタが飲むといいよ。俺はOLDEが飲みたい気分なの!」

と、そういって店へと出かけて行った。久しぶりに買ったOLDE ENGLISHだが、なんと時代の流れなのか、まずプラスティック。ペットボトルなんである。昔は大瓶か大きな缶しかなかった。ペットボトル!(驚)しかも、冷えていますよって温度か変わると変化するシールまでついている(驚愕)値段も少しばかり高くなっていたらしい。とはいえ、安定の安ビール。42オンス(1.2リットル)で2ドル80セント。やはり安い。

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山盛りのキャビアをゲットービールと共に食す男。ひどい。

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もりもりのっけたのに!実は山でひと騒動あった。キャビアの瓶が入れてあるお皿にある白いスプーン。これは、キャビアを掬うためだけのスペシャルなスプーンで、アルゴがわざわざオーダーしたらしい。だが私がそれを山小屋にもっていくのを忘れたため、アルゴは山小屋でお怒りだったのである。『特別な日の、特別なものなんだから完璧に食べて欲しくって!それでスプーンもわざわざオーダーしたのに!ウォッカだっていいやつ買ったのに!』と怒り心頭だったのだけど。

は? 私にあんなに怒ってたのに!自分はウォッカにゲットービールだと?!ひどい!(大事なことなので2回言う)ちなみに、10数年ぶりのOLDEENGLISHのお味のコメント。『相変わらずひどい味』だ、そうだ。

というわけで、誕生日当日は、2本目のウォッカを空にして、シャンペン飲んで、残ってたワインもビールも一人で全部飲み切った。それを見たアルゴは、ふふふと笑って「たんじょうび、おめでと」(日本語)と言った後に、「やっぱ俺は飲んで楽しそうなアンタが好きだなぁ」としきりにいいつつ、にやにやしながらゲットービールを飲み続けていた。

酒が縁で知り合った私たちは、相変わらず、酒を間に仲良し夫婦をしているわけなのである。ちなみに、創作風のOLDEENGLISHのNoteは、その続きをやっぱり創作風に書いてみているけれど、なかなか進まず。いつかできたらまたNOTEにあげたいなぁなどと思っている今日この頃。ああいう小説風に書いてみるってのは勢いとか諸々必要な感じ。

さんかんとうさい【山簡倒載】
大酒飲みのこと。酒浸さけびたりの人。「山簡」は、酒好きな、晋しんの将軍の名前。「倒載」は、酔って車に逆さに乗せられること。故事中国晋の時代、将軍にもなった山簡さんかんは、大の酒好きで、高陽池に行っては酒をたらふく飲んで、酩酊めいていして帰ったという。

(終)

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