見出し画像

どの自分が本当の自分か、という問題について

くめです。どの人といる時の自分が本当の自分なのか。あるいは、どの状態でいるときの自分が本当の自分なのか、悩んだことがあります。

「全部本当の自分だ」というのが結論です。前にも似たようなことを書いたような気がしたので探してみたら、ありました。

人は置かれた状況、その人との関係性などによって、立ち振る舞い方を変えるものです。

「友人」というカテゴリーでも、人それぞれ話し方、付き合い方、関係性は変わってくると思います。

私は友人は多くはありませんが、それでも一人一人立ち振る舞い方が変わってきます。

Aには本音を語れるけど、Bには本音を語れない。なんてこともあります。「Bに本音を語れないなら、それは友人ではないのではないか」なんて考えをあるかもしれませんが、私からするとそれもまた友人なのです。

更に言えば、私は家族にすら本音を語れなかったりします。というか本音の本音を語れる人は、ほぼいないに等しいのかもしれません。でも、だからといって家族が嫌いなわけでもないですし、普通に会えて話せたら嬉しい存在です。当然、信頼もしています。本音を語れないから、イコールその人との関係性が希薄、というわけではないのでしょう。

この「本音を語れない=その人との関係性は希薄である」という図式が自分の頭にインプットされていると、厄介でしょう。私もかつてこの点で非常に悩んだ記憶があります。

が、「全部本当の自分だ」と考えるようになると、非常にラクに生きていけるようになった気がします。

人はみんな、人格を使い分けて生きているわけです。家族といる時の自分。一人で行動する時の自分。会社にいる時の自分。みんな違うと思います。そして、家族は家族でも両親か兄弟かで違うでしょうし、会社は会社でもその人が上司なのか部下なのか経営者なのか同期なのかで、それぞれ異なるでしょう。

さらにいえば、上辺の会話しかしなくても楽しい人はいるし、社会や生き方に対して真剣に語り合って、時には衝突しても、良い関係性を築ける人だっている。そういうものなんでしょう。

「脳内ポイズンペリー」とか「インサイド・ヘッド」とか、自分の脳内にあるそれぞれの感情(怒り、哀しみなど)が人格化された物語があったりします。私は感情に限らず、人にはたくさんの”人格”が住みついていると思っています。

「ぐーたらしたい自分」もいますし、「仕事で頑張りたい自分」もいます。志もあれば、家族との愛も大切にしたい。それが人間というものでしょう。

そして、そんな考えがきちんと概念化されている本に出会いました。

分人は、相手との反復的なコミュニケーションを通じて、自分の中に形成されてゆく、パターンとしての人格である。必ずしも直接会う人だけでなく、ネットでのみ交流する人も含まれるし、小説や音楽といった芸術、自然の風景など、人間以外の対象や環境も分人化を促す要因となり得る。
一人の人間は、複数の分人のネットワークであり、そこには「本当の自分」という中心はない。

多様な人格が存在していることを「分人」と表現されています。気になる人はぜひ読んでみてください。

人はみんな、うずまきナルトである

NARUTOを読んでいてよく思ったのは、「俺も多重影分身の術を使いたい」という馬鹿みたいな願望でした。

忍者といえば影分身。術を使うことで自らの分身が現れ、それぞれ別の行動をすることができるという最高にクールな技です。その影分身の術の上位互換である「多重影分身の術」とは、名前の通り自らの分身がたくさん現われるということです。

分身の術の何が良いかというと、「影分身体が経験したことは、オリジナル(本体)に還元される」というチートみたいな特性があることです。

つまり分身に丸一日勉強させたら、その勉強で学んだことを本体にきちんと還元してくれます。

もし私が多重影分身を使用できたら、分身体にたくさん勉強させたり色んな仕事に就かせてお金を稼がせて、色んな人と出会わせて、本体はのんびりぐ〜たらと生きると思います。最高です。忍者になりたい。

そして当然ながら、そんな夢みたいな機能は現実に存在しません。しかしながら、我々は自分の中に色々な人格を住まわせています。生身の分身は作れませんが、人格の分身はいくらでも作れるわけです。

それぞれの人格の配分をどうするか考える。これがその人の生き方となり、個性となると思っています。分身は作れませんし、24時間を引き延ばすこともできません。でも、配分を考え、調整できることはできます。そこに人であることの楽しさがあります。

配分とは、ファイナンス用語で言うところの「ポートフォリオ」に値します。ポートフォリオとは不確実性(リスク)や可能性を考慮して、資産を分散化することです。これをそのまんま自分の人格に当てはめてみることで、個性を創っていくことが可能になります。

幸いにも現代は、非常に配分のし易い時代になっています。職業も収入も生活も人間関係も、ある程度コントロールすることができるからです。

どの自分が好きか、を考えてみる

ではどのように配分を考えていけば良いかというと、「どの人といるときの自分が好きか」「何をしている時の自分が好きか」を考えてみることです。

逆に考えるやり方も可能です。「どの人といる時にストレスを感じるか」「何をしている時が嫌か」を考えてみる方法です。

私自身を具体例に出したいと思います。

-------------------

・一人の時間が結構好き。読書をしている時の自分が好き。考え事をしている自分も好き。ブログを書くのもわりと好き。一人暮らし最高。

・YouTubeなどの動画は好きだが、ほどほどにしたい。見すぎると後悔する。そんな自分は嫌い。

・掃除をすることが結構好きだったりする。しかし水回りの掃除は嫌い。

・親友とは、一年に数回会って話せたら、非常に満足度が高まる。家族も年に数回旅行にいけたら大満足。あとは時折電話で話すのがちょうど良かったりする。

・EXCELを叩くことは好き。PowerPointでプレゼンの準備をするのも結構好き。Outlookでメールを書く作業は好き。けどWordはなぜか好きになれない(なぜだ)。

・なんだかんだでお金が好き。お金周りのことを考えるのは苦ではないし、お金周りのことで人を助けられたら良いのかも。

・当たり前のことを言うが、理想の働き方をしながら年収700〜1000万くらいもらえたら最高だと思う。

・マネーフォワード、使いやすくてとても良い。Zaimは微妙だった。Bearは好きでEvernoteはデザインと動きがカクカクで微妙。BearのデザインでEvernoteの機能があれば良いのにといつも思う。

・デザインはMac最高だしiPhoneをずっと使ってるが、Macのキーボードに慣れられない。仕事ならやはりWindowsが良い。ついに家のiMacにもBootcampを入れてしまった。

・転職して営業をやってみて思ったのは、お客さんと喋ることは意外と好き。もちろん傲慢なお客さんだったり、自己顕示欲の高いお客さん、単純に相性の合わないお客さんは嫌い。

・逆に5年近く働いて思ったのは、従業員との会話、とりわけ上司とのコミュニケーションが絶望的に嫌い。ストレスでしかない。

上司はゴリゴリに利害関係が絡むからだと思われる。なので、まったく利害関係が絡まない従業員とはめちゃめちゃ楽しく会話できる。例えば一般職の方とか、庶務でしか絡まない方とか、同期とか。立場が全く異なるからこそ、仲良くなれるのかもしれない。

しかしながらプロジェクトや仕事で絡むとなると、やっぱりなんだか面倒になる。上司や部長とかに指図されるのはなんだか嫌な気分になるし、プレッシャーが与えられるからだろう。

その点、顧客との関係性はシンプルである。感謝されたら仕事は継続されるし、結果が出ない、あるいは相性が合わないなら切られる。それだけである。変なプレッシャーを感じない点で、意外とラクである。

・事務作業が多すぎて顧客に向き合えないのは辛い。もっと働きたいのに、生産性向上という謎の名目で強制帰宅させられるのは嫌い。自分の勤務時間は自分でコントロールしたい。

・ノルマや目標のために、自分に嘘をつくのは勘弁。なぜ宝くじを売らなければならないのか、定期預金をとってくる必要があるのか。明確な意義がないものに躍起になりたくない。

・8時間寝れたら最高。6時間未満になると不機嫌になるので嫌。

・満員電車は許容できるが、やはり職住近接が理想。

・東京に住み続ける理由はない。京都に戻るという選択肢もあるし、どこでもいいかも。

・楽毅・晏子・孔子(いずれも戦国春秋時代の偉人)、渋沢栄一みたいな生き方には憧れるが、自分には無理。が、何かしら社会に貢献できる仕事が良い。

・「月と六ペンス」「方丈記」「大原偏理」みたいな生き方も良いなと思ったりするが、さすがに無理。

・「菜根譚」「徒然草」双方とても良い。「老子」なんかも良い。囚われない生活には憧れる。が、やっぱりある程度の収入は確保したい。

・「時の流れに身をまかせ(テレサ・テン)」「Last Hope(Paramore)」「ないものねだり(橋本奈々未)」(いずれも楽曲)に共感する。そういう生き方は良い。

以上を踏まえると、以下のような生き方・仕事がベストかもしれない。
◆金融の知識・スキルを活用して人を助けることができる仕事
→貧困支援・環境改善など、社会的意義がある方が良い。とはいえ、金融にこだわる必要はないのかも。
◆顧客に向き合える仕事
◆個人で完結する仕事、個人の自由度が高い仕事
→ずっとサッカー部だったくせに、チームワークが意外と嫌いであることに気づいてしまった。
◆利害が軽い(責任が重すぎない)
→SEをやって気づいたが、重圧が掛かりすぎる仕事は性に合わないらしい。突然やってくるシステム障害に一生関わるのは御免。
◆ベストな状態でいられる仕事4・個人の時間4・友人や家族2くらいの割合が良さげ。

この条件で絞ると非常に厳しいかもしれないが、例えばファイナンス専攻の教授や大学講師(難易度高え)、企業内研究員、アナリスト、IFA(独立系ファイナンシャル・アドバイザー)、ファイナンシャル・プランナー、個人投資家などが選択肢に入ってくるのかも。

-----------------

このように、好きな(嫌いな)状態、好きな(嫌いな)人が分かれば、いかに好きを増やすか、嫌いを減らすかを考えることが可能になります。

水掃除が嫌いなら、そこだけ外注化する手もあります。友人が少なすぎると感じれば、新しいコミュニティに入ってみるのも有りでしょう。

これからどうするかは自分次第ですが、こうして自分を棚卸しするだけでも一定の気づきが得られると思います。皆さんも是非やってみてください。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?