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『寄り添うツイッター』のレビュー

発売日当日に買いました。いや、発売日の数日前には店頭に並ぶので、正確には発売日よりも数日前に買いました。

だからってどういうわけでもないんですが、まぁそれだけ期待してました、ということです。内容はその期待を裏切らないものでした

「テプラ」で有名な老舗文具メーカー「キングジム」のツイッター担当者の方が書いた本です。

10年間運営して、現在フォロワーは約36万人⇒https://twitter.com/kingjim

帯にあるように、「担当者1人・ノウハウなし・予算ゼロ」の手探り状態から、どうやって36万人のフォロワーを獲得し、有名ツイッター企業アカウントになったのか、そのコツを惜しみなく紹介しています。

いわゆる「中の人(実務担当者)」が書いた書籍はかなり少なく、私個人としては初めて読んだものでした。収穫がたくさんありました。

企業SNSアカウント担当者にとっては、実務的に参考になる箇所が山ほどあったので、以下、箇条書きで書いちゃいます。

ツイッターをファンとのつながりを強めるコミュニケーションツールとして使っていくのに、とても参考になることばかりだったので、「中の人」は必読の一冊です。

はじまりは社長の一声

社長の一声で10年前にツイッター業務を開始。投稿については、担当者1人(女性)の裁量で、投稿内容について上司の確認なし(現在も同じ)。

▼常に意識してきた目的は「キングジムを好きになってもらうこと」。ツイッターは会社を好きになってもらう場所であり、会社とユーザーの「架け橋」を意識してきたそうです(ちなみにキングジムは商品を自社では販売していない)。

▼開始時に具体的な目標設定は無し。とにかくやってみる。現在では、フォロワー数と年間3,000ツイート(1日あたり約12ツイート)を目標にしている。このツイート数は、企業アカウントとしては少ない方(おそらくこのツイート数には返信やリツイートも含めている)

▼投稿時間は、8-9時、12-13時、18-19時を意識している(一般的な勤務時間中には見られない人も多いから)

双方向のコミュニケーションで信頼形成

▼一方向の話題・バズ狙いや宣伝アカウントではなく、双方向のコミュニケーションを意識しフォロワーとの信頼形成を目指すことで、キングジムを好きになってもらおうとした。

▼キャラとして目指したのは、オープンで親しみやすい近所の人。サザエさんのウキエさんのイメージ。フォロワーとは「知り合い以上、友だち未満」の関係。キャラクター像は細かくは設定しなかったし、今もしていない。

フォロワーとは付かず離れずの関係

▼付かず離れずの距離感を大事にしてきた。コミュニケーションをしても2-3回のやりとりで済ます。ただし特定の個人と深まることはせず、あくまで企業アカウントとして体裁は忘れず。

▼フォロワーからは毎年けっこうな数の年賀状が届くような関係。「出張で金沢いくけどおすすめのお菓子は?」と聞くと、多数リプライがあるような関係。

▼3,000人くらいのプロフィールが頭のなかにある。

▼写真については、パッと撮ってパッと投稿した方がツイッターのスピード感・臨場感にフィット。手間をかけすぎない方が「ツイッター映え」するので、手元のアイフォンでの撮影が100%(実際にアカウントをのぞくとカタログ写真も使っているようです)。

▼キングジムではインスタもやっているが、インスタはプロのカメラマンが一眼レフで撮影した写真を使っている

マニュアルはなく、柔らかめの投稿多め

▼ツイッター運営に明文化されたマニュアルは存在しない。10年間、感覚ベースでやってきた。

▼投稿内容は大きく分けると2つ。
「楽しめること」:生活者の気持ちに寄り添った投稿。
「必要なこと」:役にたつ情報発信の投稿(商品情報含む)。

硬めと柔らかめの投稿割合は「3:7」。柔らかめでは、「今日のおやつ」とかもやっている。食べ物の話は、誰もが共感しやすいのでグッド。

▼アスキーアート(複雑な顔文字みたいなやつ)など、表示のされ方が大切な投稿については、テスト用アカウントを持っていて、投稿前に確認することがある。

▼ツイートは「小学生以上が分かるように」意識して書いている。筆者はプレスリリースも担当しているそうだが、プレスリリースは「中学生以上に分かるように」書いている。

▼他企業とのやりとりは、自然発生的なものが多く、ツイッター上の阿吽の呼吸でやっていることが多い。ツイッター上の交流をもとに何回か共同で商品をつくったことがある(商品はフォロワーに抽選でプレゼント)。

▼パソコンで常にツイッターが開いていて、閲覧頻度は1日1-2時間程度。
 (意外と短い印象)


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