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読書家の善悪

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2022年7月の記事一覧

夏目漱石の『三四郎』の話。情報が錯綜する。手が伸びずに鼻が伸びる。とらわれちゃだめだ。

 夏目漱石の著作、『三四郎』に次のような一節がある。

「熊本より東京は広い。東京より日本は広い。日本より……」でちょっと切ったが、三四郎の顔を見ると耳を傾けている。
「日本より頭の中のほうが広いでしょう」と言った。「とらわれちゃだめだ。いくら日本のためを思ったって贔屓ひいきの引き倒しになるばかりだ」
 この言葉を聞いた時、三四郎は真実に熊本を出たような心持ちがした。同時に熊本にいた時の自分は非常

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安易な方法で空想を消費している

 最近、文章が書けていない。
 理由は明白。フラストレーションが足りていないんだ。渇望、欲望、書きたいという気持ち。それが欠けているから手を伸ばそうという気持ちがない。

 自分は小学生の時に小説家になりたいと思った。
 なりたいと思うとは、なれないと思ってるということだ。なれるなら、なると思うんだ。
 なりたいという希望は、なれないという現在から背を向けることからはじまる。

 生まれながらにし

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