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インフレが続きにくい理由

構造的な理由で世界のインフレが続くのではないかとの質問が多いです。

例えば、サプライチェーンの脱グローバル化、脱炭素社会に向けた取り組みで生じるコスト増、地政学リスクと食糧危機の恐れなど、供給側には、長期的に価格上昇が継続しそうな理由がいくつかあります。しかし、これらがインフレに与える影響は短期的です。

確かに、輸入品や必需品がどんどん高くなると、一時的にインフレになります。人々は急に生活を変えられないので、貯金を取り崩すのです。しかし、長くは続きません。

例えば、半導体が高くなれば、スマホの機種変の頻度を減らします。全体としては消費が減りインフレにならず、逆に不況になりやすいです。さまざまな理由で、供給側の長期的な価格上昇要因があっても、簡単にインフレにはなりません。

長期的にインフレになるには、所得も長期的に増える必要があります。サプライチェーンの分散やクリーンエネルギーの実現のためにも、生産性の改善で収入を増やし続けることが必要です。

例えば画期的な新技術の拡大、さらに規制改革、教育、適切な税制、失業へのセーフティネット強化で、効率的に働いて高い付加価値を得る仕組みの整備などがあります。もちろん企業が十分な競争力を保ち、利益を十分獲得していることが前提です。長期のインフレは構造改善とともにであれば可能となります。

現在言われるような供給側の価格引き上げ要因があっても、買う方に力がなければ、インフレも金利上昇も短期的に終わることになると考えます。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

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