米国株の今年の下落を説明すると・・・
足元(5月20日現在)のNYダウ(ダウ工業株30種平均)は3万1261ドルと、昨年末の3万6338ドルから約14%、昨年3月ごろの水準まで下落しています。
今年1月には、米連邦準備理事会(FRB)の利上げのしすぎを心配する声が強まりました。仮にFRBの引き締めすぎで景気後退に陥る恐れが高まれば、FRBは政策の手綱を緩めることもできますので、心配しすぎなように思います。
2月、ロシアのウクライナ侵攻で西側諸国はロシアに経済制裁を課し、主要国経済には輸送費や光熱費の上昇を通じて消費を痛める恐れが広がり、解消していません。
3月には利上げへの心配しすぎによる下落分は回復したように見えましたが、4月後半から5月にかけて、まずアメリカの巣ごもり需要の一巡が明確になってきました。消費者が巣ごもりに飽きて旅行などにシフトし始め、ネット配信企業など娯楽関連などで売り上げの伸びが予想以上に弱まりました。さらに、ディスカウント小売など消費関連企業がコスト高を販売価格に上乗せできない懸念が高まりました。
ロシア制裁の痛みをカバーするための財政出動が望ましいと思いますが、メディアや世論が金利高やインフレを心配しすぎるので、バイデン政権は板挟みとなり、財政拡大を進めていません。これは中間選挙までに変わるかもしれませんが、今のところ期待は薄いです。
アメリカの消費者の興味が変化しつつある時ですから、インフレや金利上昇だけにとらわれることなく、長期投資拡大の機会をとらえましょう。
〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記からご覧いただけます〕
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