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賃金上昇で米利下げは先送りか

2月2日に発表された1月の米雇用統計では、雇用者数だけでなく賃金上昇率も市場予想を上回りました。1月の雇用統計はいろいろな調整が行われ、天候にも左右されるので信頼性がやや低いのですが、それでも高めに出たことは確かです。

特に賃金上昇率が4%台で高めを維持したことで、インフレ継続・再燃のリスクが続くため、市場が予想していた3月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での利下げは難しそうです。これまで市場予想より遅く4〜6月に利下げが始まると予想してきたのですが、4月(5月1日)というよりも6月(12日)の可能性が高まったとも言えます。

アメリカの利下げの先送りは当面のドル高継続の要因となります。150円を超えるこれまでにないドル高をもたらすとは思いませんが、円高になる時期は少し遠のいたと言えます。ただし、利下げが遠のいたものの、インフレの収まりと利下げは時間の問題でしかないとも考えています。

一方、インフレが収まることと景気が悪化することとは、必ずしも同時に起こる訳ではありません。今回のインフレは、コロナ禍のモノや人不足という特別の理由に始まり、景気の行き過ぎではなく政権の補助金などで需要が増えたことに支えられてきました。

その後、賃金上昇率はピークを超え、モノの価格上昇もすでに限定的で、遅れがちな賃金やサービス価格の上げ止まりを待つところです。高金利継続で設備投資の過熱が押さえ込まれているとみると良いでしょう。

経済のソフトランディングとインフレの抑制は両立するとの見方を変えていません。

〔チーフ・ストラテジスト神山直樹のレポート等は下記URLからご覧いただけます〕
■KAMIYAMA Reports https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-reports
■KAMIYAMA Seconds! ~90秒でマーケットニュースをズバリ解説 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-seconds
■「投資ってなんだ!?」 https://www.nikkoam.com/market/kamiyama-view/kamiyama-investment
■神山解説 https://www.nikkoam.com/products/etf/we-love-etf/#1:category:113 

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