自衛隊員と自衛官 じえいたいいん と じえいかん
生物の分類で例えると、自衛官は自衛隊員目制服科のことで、防衛省の職員は自衛隊員目背広科です。その他、自衛隊員目には予備科や学生科などがあります。つまり自衛隊員とは自衛官とその他の職員を合わせた呼称なのです。
これはよく混同される話です。自衛官と呼ばれるのは武官──制服を着ている者。つまり階級が指定されています。陸上自衛官、海上自衛官、航空自衛官の3種類に分かれます。総計は24万人で、特別職の国家公務員の中では一番数が多いです。ちなみによく小説で書かれる警察官は、国家公務員と地方公務員に分類されますが、総計で26万人です。消防吏員は15万人前後です。
また、自衛官は非任期制の隊員(いわゆる定年まで勤める正社員)と任期制の隊員(2年若しくは、3年ごとに契約を延長する契約社員)に分かれます。
自衛官には様々な制限があります。まず自衛官のまま選挙に立候補はできません。営利企業の経営もできません。労働三権(団結権・争議権・団体交渉権)も認められていません。いざ、防衛出動の事態にストライキなどは当然できません。また、裁判員にも選出されません。これは、自衛官は常に不測の事態に対処する必要があるからです。
制服組以外の背広組──防衛事務次官を筆頭とし防衛省に所属する官僚や一般事務官、技官などと、定員外の職員(自衛官候補生、即応予備自衛官、予備自衛官、予備自衛官補、防衛大学校学生、防衛医科大学校学生、陸上自衛隊高等工科学校生徒、非常勤職員)を合わせた者を自衛隊員と呼びます。
自衛隊員と呼ぶときには自衛官のみならず、上記の人々も含まれるわけです。公務員は任用されるとき、タイトルの写真のように「服務の宣誓」(下記参照)というものに署名して宣誓します。自衛隊員は、上記の定員外の職員以外は同じ文言です。
──服務の宣誓──
『私は、わが国の平和と独立を守る自衛隊の使命を自覚し、日本国憲法及び法令を遵守し、一致団結、厳正な規律を保持し、常に徳操を養い、人格を尊重し、心身をきたえ、技能をみがき、政治的活動に関与せず、強い責任感をもつて専心職務の遂行にあたり、事に臨んでは危険を顧みず、身をもつて責務の完遂に務め、もつて国民の負託にこたえることを誓います』
つまり一朝有事の際、危険を顧みず、身をもって責務の完遂に務めるのは、自衛官のみならず、防衛省に勤務する背広組の人たちも同じなのです。役割は違いますが、国防という同じ任務に従事する者たちなのです。
※写真は陸上自衛隊HPより引用しました。
第13回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞して自衛隊ミステリー『深山の桜』で作家デビューしました。 プロフィールはウェブサイトにてご確認ください。 https://kamiya-masanari.com/Profile.html 皆様のご声援が何よりも励みになります!