なぜ私たちは目の前の誘惑に抗えないのか?~ダイエット実践者のケーキ V S 既婚者の浮気~
私は理想の体重を手に入れるために、明日からケーキを食べるのをやめると決意したことは一度もない。
また神父の前で、この女性を一生裏切りませんと誓いをたてたことも一度もない。(そして予定もない。w)
しかし世間を見渡せば、スイーツやジャンクフードを食べれば痩せられないと誰もが知っているのに、人口に占める肥満の割合は世界的に増え続けている。(日本は若干減少傾向)
バレればまずいことになると誰もが知っているのに、ワイドショーで有名人の浮気の報道が絶えることはない。
この二つの現象は、いたって動物的な類似点があるのではないだろうか?
ここでは、少々デリケートではあるが、人の欲求との闘いの話しをしていこう。
食欲&性欲に対する甘い誘惑
食欲、性欲、睡眠欲。
これらは人の3大欲求である。
なぜそう言われるのかと言えば、この3つの欲求を優先的に満たさないと生存と繁殖ができないからに他ならない。
お腹が空いたときのスイーツや、飲み会後のグラマラスな女性。
これら“甘い”誘惑を目の前にすると、私たちが欲求が抑えられなくなるのは当たり前なのだろう。(どちらもお酒というカンフル剤が入るとより助長される)
しかし厳密に言えば、人間はその衝動を抑制できるように進化してきている。
それを可能にしているのは脳。
特に私たち人類の最大の特徴である大脳皮質だ。
この素晴らしいスーパーコンピューターを使って、過去の経験から現在の状況を把握し、未来に起こるであろうことを私たちは常に予測・計算している。
そしてそれに基づいて、行動を決定するのである。
(大まかに言えば、この能力こそ「意識」と「記憶」の進化上の意義なのだ)
ではなぜダイエット実践者は、痩せないし不健康になるとわかっているのに、夜中のケーキをやめられないのだろうか?
あるいは、夫婦喧嘩や離婚に発展するかもしれないと頭では理解しているのに、既婚者はなぜ浮気をやめられないのだろうか?
なぜ目の前の欲求に勝てないのか?|双極割引
ここで注目したいのが、心理学でいう「双極割引」だ。
これは、現在と未来の価値の重さを比較した場合、現在の価値を重く評価する私たちの元来もっているクセのこと。
つまり私たちは、美しく痩せた理想の自分という未来の価値よりも、今このケーキを食べて幸せを味わいたいという現在の価値の方を。
また、円満でもめ事の少ない幸せな家庭という未来の価値よりも、今この女性を抱きたいという現在の価値の方を過大評価してしまうのである。
こちらも進化の過程を考えると、当然のように思える。
原始時代のような過酷な環境では、将来のことを見据えて3大欲求を抑制するよりも、今こうしたい!という欲求に従った方が生き残る確率は高かったのだろう。
自然は双極割引を選り好みするはずだ。
正しい戦略|最高の結果は最高の準備が生む
さてこれで、今までダイエット宣言したにも関わらず、人知れずケーキに手を出したことがある女性は、浮気した旦那を責めることはできないではないか!と、いかにも世の女性を敵に回すような説を唱えたいわけではない。
(浮気がバレた男性も、この言い訳はしないことをおすすめする。w)
大事なポイントは、私たちは特定の状況になった時に、3大欲求に打ち勝つには分が悪いと知ることだ。
そう知ることで、他人にも多少寛容になれるはずだし、何より戦略がたてられるではないか。
コンビニに入って、目の前に甘くてとろけそうなホイップクリームを見たら最後、その誘惑には抗えないと知っていれば、帰り道にコンビニがないルートを探せばいい。
また、家の冷蔵庫に嗜好品の在庫はいらないだろう。
あるいは、よく飲みにいく仲間には、絶対に合コンには誘うな!と強く念を押しておこうではないか。
本当の仲間なら協力してくれるはずだ。
ただし浮気には、それ自体に願望があることが多い(気がする)。
チャンスさえあれば!と願っているパートナーを持っている場合は、他の戦略が必要となるだろう。
どちらにしても、最高の結果は最高の戦略的準備が生む。
まとめ|ケーキVS浮気の決着
今回の記事では、対比してわかりやすくするために、ダイエット実践者を女性、既婚者を男性と想定して書き進めてきたが、もちろん逆のパターンだってあるだろう。
さらに言えば、ケーキを食べることや浮気をすることが完全に悪だとも思っていない。
だが、ケーキは自己破滅で終わるかもしれないが、浮気はそれだけでは済まない。
嫁や家族に迷惑をかける可能性があるということを鑑みれば、既婚者の浮気はダイエット実践者のケーキより罪深いのは明らかだ。
果たして浮気は文化なのだろうか?
いや、もしかするとそれよりももっと根が深いのでは?
つまり、宗教や肥満、貧富の格差のような、人類の進化の産物なのかもしれない。
個人的にはこの先、人類が歩むであろう浮気についての価値観の変遷から目が離せない。
このコラムを書いた神尾健太という人物➤https://wp.me/P9oEaZ-41
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